第五十四話 パープル・カード(4)
放課後。トイレの個室から現れた東仁志と共に、小姫を警護する。帰り道。
優花里のお見舞いは明日にしよう、と適当に話をつけた。俺はやらなきゃいけないことがある。
優花里がいる時は3人で並んで帰ってたのに、今日は小姫を先に歩かせて、俺たちは後ろを追いかける形だ。なーんか、悲しい。
「どうでしたか今日は」東はメガネをクイっとして話しかけてきた。
「いつも通りだったよ」
コイツを信用していない俺は特に何も話さなかった。
つうか、コイツ、よく1日トイレの個室で過ごせるよな。
ー
小姫を見送り、東も去っていく。
今日の警護終了。
そして俺は踵を返し、学校へ戻る。
行くしかない。あの男の所へ。
よく分からねーけど、聞くしかない。
薄暗くなった校舎の入り口・・・玄関に、お望み通りと言わんばかりに大遅林先生が立っていた。
「どうした?学校は終わったよ」
「確認したい事が何個かある」
「なんだ?」
「お前は、優花里の兄ちゃんなのか?」
「ああ」
あっさりと返ってくる答え。
「どうして、ここに来た」
「暗躍班として仕事をしにきたまでだが?」
なっ・・・
そう言われてしまうと、それ以上でも以下でもない。
「嘘だね。お前には何か理由がある」
「オマエさぁ、生意気なんだよな」
その瞬間、姿が消えたと思いきや、大遅林は俺の隣にいた。
「大した仕事も出来ねー奴が、他人の事情に突っ込んでんじゃねーよ」
く、・・・来る!
大遅林が俺に腹パンを食らわせようとしてきた。
その腕を反射的に掴んでいた。
「なんだ?ちょっと成長したのか?」
直ぐに腕を引き抜き、体勢を変える大遅林。
「もう、失敗なんてしたくない」
ちょっとどころじゃない。
そうだ。思い出せ。訓練を。
「汚名返上って事か!?」
蹴りが来る。そう、予測する。
そうすると俺の腕が自動的に動いていた。
蹴りを、蹴りで弾く。
自分でも信じられない。
力・・・ついてる!
次は肘・・・エルボーが来る!
俺はそれを身を翻して回避し、その勢いで裏拳を大遅林に向けて打ち込む・・・!
が・・・
「捕まえたぜクソガキ」
俺のグーは、大遅林のパーに握られていた。
凄まじい握力だ・・・拳を離せないどころか・・・
潰れそうなほど・・・
「さーて、あのクソアマは肩を外したし、オマエはその指を粉々にしてやろうか?」
や、ヤバい・・・
痛い・・・




