第五十三話 パープル・カード(3)
翌日。
いつもの場所。
ハイヤーから降りてきたのは、小姫ともうひとりの黒縁眼鏡の男。
「おはよう、小姫」
「優花里ちゃんは大丈夫なの?」
挨拶よりも先に友達の心配をする小姫。いいねっ!と心の中で叫ぶ。
「うん、ピンピンしてるよ」
「私は2週間、代理で警護をする、東仁志といいます」
アズマ、ニシ。ベタにメガネをクイっとしている。メガネキャラか。
「よろしく」
「大体の話は伺っております」
「うん」
「私は生徒として転校してくるには、余りにも無理があるので、基本的にトイレの個室で待機してます」
「えっ?」
東は制服を着ていたが、確かに急に2週間だけやってきて転校するのは確かにおかしい。
「ご心配なさらずに。お弁当もちゃんとトイレで食べますから」
「そこは心配してねーよ」
「私は有事の際に奏爽さんのサポートをするのが主な役目ですので、小姫様は基本的にはお任せする形になります」
「ああ、分かった。任せてくれ」
東仁志・・・コイツを信用していいのかも分からない。
とりあえず変なメガネキャラだなって事だけは認識しておくか。
ー
朝のホームルーム前。
「ええーっ!優花里ちゃんが脱臼!?」
永遠乃芽衣は驚き、心配している。
「ああ・・・安静にしないといけないらしくて、2週間休むってさ」
「お見舞いに行かなくてはなりませんわ!」
「私も・・・行きたい」と小姫も言う。
うーん。どうしたら良いんだ?
その時。ガラガラガラ、と扉が開いて、教室の空気が変わる。
現れたのは優花里の兄貴・・・大遅林優介。
「はーい、オマエ達の先生が骨折したんで臨時で担任やらせてもらうぞー」
ざわつくクラス。
担任の先生が骨折???
いやこれって・・・優花里兄がやったんじゃねーのか?
このクラスに・・・小姫に接近するために。
優花里をあんな事に出来るのなら・・・
「あー、あと、小早川優花里ちゃんって子が肩脱臼したみたいで、しばらく休むみたいだな。復帰したら暖かく見守ってやってくれよー」
軽々しい物言いで言う先生に、他の生徒たちが騒ついている。
「えっ!脱臼!?」
「なんでだよ!」
「昨日は普通だったよなぁ!?」
その生徒たちの疑問に、大遅林が言い放つ。
「まぁな〜。この学校は何が起こってもおかしくない!そうだよなぁ!永遠乃財閥のお嬢さん?」
えっ?
どうして永遠乃芽衣に語りかける?
コイツ・・・小姫と永遠乃芽衣の対立を煽ろうとしてるのか?
芽衣ちゃんランドの一件も・・・
やっぱりコイツが仕組んでる。
せっかく生まれた友情を壊そうとしているのか?
何のために・・・動きが全く見えねぇ。




