第四十八話 強くなりたい(5)
「優花里・・・これ、マジで実弾だよ・・・」
俺は驚いていた。
「あのハゲ・・・私達を完全に舐めてやがる」
「何かの間違いじゃないのか?」
「おい童貞。時間は限られてるんだ。早いとこ、あのハゲに1発見舞わせるぞ」
「いやいや、ヤバいでしょ!」
「じゃあ引っ込んでろ!童貞!」
優花里は俺の腹を殴り、すぐに階段を降りていった。
引っ込んでろ・・・?
そんなワケねーだろ。
俺だって練習をしてきたんだ。
負けてたまるか・・・ガンマンきよしにも、そして、優花里にも。
更には、優花里の兄貴にも・・・
俺も階段を降りる。
きっとガンマンきよしなら・・・どこに逃げるのか・・・
間違いない、駐車場だ。銃弾が本物なら尚更。
ゴム弾程じゃないけど、跳弾の可能性を避けたい。
そうなれば外だ。
この訓練のルールは研修センターの敷地内。
となれば、外。駐車場付近・・・もしくはこの建物の周りとなる。
俺は開いたままの扉目掛けて走り、外へ向かう。
その瞬間、ピーンと張られた糸が俺の足に引っ掛かる。トラップだ!
俺は前のめりになり、そのまま前転の姿勢を取って、振り向きながら立ち上がって、トラップを確認して身構える。誰もいない。
まずは優花里を探そう・・・
俺は駐車場を見るが気配がない。
建物の裏側に回る。
優花里がいた。
「腰抜け」と優花里。
「先生、どこに行ったんだ?」
「敷地内って言ってたけど、もしかして、広いのか?」
だとすると・・・この研修センターの周りは広すぎる・・・残り20分。ガンマンきよしを見つけられる自信は無い。
その時。
バン!!!!!
銃声がなる。
俺は咄嗟に、優花里を庇っていた。
数秒後、想定していないような位置に銃弾が飛んできた。地面だ。それが跳ねて飛んでいく。
ふたりで上を向く。
建物の屋上に人影。
「大丈夫か優花里」
「お前・・・いや、今はあのハゲをぶっ倒す事だ」
?
「先生は屋上に逃げたのか」
建物の外から屋上に這い上がったって事か?
ハシゴは無い・・・よく見ると配管のパイプがある。それしかない。
「ゴキブリみてーな事しやがってあのハゲ」
「屋上へ向かおう」
ふたりで再び、建物内に入る。
(優花里・・・俺たち2人で屋上行っても、先生は地上に降りてくると思う)
(分かってるわ。アンタは建物の入り口付近にいて)
(うん。屋上、頼むね)
そういって優花里だけ屋上へ向かわせて、俺は1階入り口付近で耳を立てるように待機した。




