第四十七話 強くなりたい(4)
明くる日も・・・明くる日も・・・
「またここで寝てたのか君たち!バキュン!」
俺たちは怒りや不甲斐無さをサンドバッグに打ち付けていく。毎日毎日、体力の消耗が激しい。
「ここで突然のバキューン!!!!」
でも、不思議と筋力や体力は付いていった。
「隙あり!バキュン!!」
知らぬ間に反射神経も。
無駄と思えた、ただひたすらに力を使うその修行は、全身を動かすということ、そしていかに消費を抑えて身体を動かすかを学んでいた。
叩き込んだ分、それはサンドバッグではなく、自分の身体に打ち込まれていたのだ。
ー
「今日は違う事やるぞ」
そう言って、いつしかの練習で使ったランダムロンガンを渡してきた。
これは引き金を引き、音が出てから弾の発射までの時間がランダムという銃だ。
「またこれですか?」
「久しぶりだな」
「今日は、お前ら2人で協力して、俺を狙え」
ガンマンきよしがカウボーイハットを取った。てっぺんがハゲてる!
「この研修センターの敷地内。制限時間は30分。はじめ!」
そういった瞬間、俺たちの方を見ながら、ガンマンきよしは器用に後ろへ走っていく。そしてすぐに武道館を出て姿を眩ませる。
「まずは追いかけよう」
「私に指示すんなよ童貞!」
そうだ。嫌でも互いの呼吸は合っている。
俺たちは走り出す。
ここは2階で、この建物はそんなに広く無い。
1階へはエレベーターか階段で行ける。
エレベーターを見ると2階で止まったままだ。
ガンマンきよしは階段で1階に降りたのか?
いや、2階は他の部屋もある。
ー〝追いかける時は逃げる側の思考になる事〟ー
その教えを思い出す。
俺たちは何も言わなくても階段へ向かった。
2対1だ。逃げる側としてはなるべく広い場所に行きたいはず。そらなら外へ出て、駐車場あたりに身を隠す・・・そんな気がした。
そして、階段を降りようとしてすぐに、
その姿を捉える。
えっ!?
ガンマンきよしは階段の踊り場でスマホをいじっていた。何やら深刻そうな顔をしている。
「舐めやがって!あのハゲ!」
優花里はそう言って、銃口を向け、引き金を引く。
バン!!!と音が鳴り、その3秒後。
弾が射出される。
ガンマンきよしはノールックでそれを避け、走り出して逃げた。
「ちょ、ちょっと待ってよ・・・」
驚いた。ガンマンきよしが弾を避けたことじゃ無い。
「これって・・・」
踊り場の壁には、本物の銃弾が埋まっていた。
この前はゴム弾で撃ち合ってたのに・・・
「殺しても構わねーって事か?」
余裕の表情の優花里。
いや!ダメだろ!!!




