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第四十三話 芽衣ちゃんランド(2)


その建物に入った途端、造りモノのドラキュラが現れた。

〝ヴァッハッハッハッ!!!ようこそ凄い呪いの館へ・・・〟

その台詞を繰り返していた。チ、チープだ!


暗い場所では、目を慣らす必要がある。

俺はゆっくりと歩き出した。

しかし困ったもんだ。こんな所に小姫を狙う奴がいるのなら、対応に困るぜ。まぁ、最悪は逃げるしかねーけど・・・



急に静まり返る道を歩く。

ブシューーーッ!テレビでよく見る白い煙が突然噴き出して驚いた。ふぅ。心臓に悪いぜ。煙から現れたミイラ男が腕だけを動かしている。


や、やはりチープだ!


「ぜ、全然怖くねーな!」

俺は強がってみた。小姫・・・そろそろ、良いんだぜ。俺を頼ってくれても・・・手なんて握っちゃったりして!おっぱいなんて当てられたら尚よし!



・・・って、小姫?




振り向くと、小姫はいなかった。




「小姫!!!!」

俺は来た道をもどる。目はもう慣れていた。

入り口からはそう距離は離れていない。


あまりにも眩しく感じる外へ出た時。

黒服の男2人が小姫を引きずっている姿が見える。


何やってんだ俺・・・


小姫は涙を流していた。



それは他人に触れられた痛みだけじゃない。



俺の鍛えた足のスピードは、すぐに黒服たちに追いついた。



「今すぐ小姫を離せ!」


「助けて!痛い!!痛いよ!熱い!!」


苦しんでる。小姫が・・・

俺は自分の不甲斐なさを合わせ、怒り狂っていた。


ひとり目の男に殴りかかろうとしたその時。

血飛沫が舞う。




「オマエさぁ、何の為にいるの?」




俺の目の前に突如現れた長身の男。

黒の衣装は血だらけだ。

両手にナイフを持ち、男はそれを無造作にポケットに閉まった。小姫は倒れ込む。意識を失っていた。



「あ、貴方は?」


「俺は暗躍班の者だ」



小姫の緊急時・・・敵の殲滅を目的とする〝迎撃班〟・・・そのうちのひとつ、暗躍班。これまで俺が意識していなかった、その他のボディガードのひとりが姿を現す。


俺は目の前で2人の男が血を流して倒れていると言う状況、そして自分が役に立たなかったこと・・・なにより目の前にいるその男との力量の差に何も言葉が出なかった。



「オマエさぁ、ボディガード名乗んなよ」 



そういって後ろを振り向いて、その場を去ろうとした時・・・




「クソ兄貴!!!」



そういって、その男に向かって、優花里が殴りかかろうとする。


あ、兄貴!?


それを翻すように、男は優花里の身体を容赦なく投げ飛ばした。



「出来損ないのクソアマは黙ってろ」




俺は・・・いや、俺たちは何も出来なかった。




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