第三十九話 ハイスコア・ゲーム(8)
この前、体育館で戦った時とその状況は異なる。
ここは生徒会室の狭い場所、そして暗いままの部屋。
それでも飛んでくる羽田の腕、手の動きを捉えるのは容易だった。
その拳のベクトルを力で変化させ、俺は攻撃を受けない。
ただ、前回同様、攻撃を与える事も出来ない。
「羽田!何度やっても同じだ」
「前も言ったはずだ。お前の体力が無くなるまで、戦うのみ・・・」
「マジで言ってんのかお前!」
羽田の右脚が飛んでくる。それを俺の左腕で叩く。
次は右手が飛んでくるので、俺は右手でチョップして叩く。そうすると今度は羽田の左手が突き刺すようなスピードでやってくる。
それを俺は左足で抑える。
知らぬ間にツイスターゲームみたいに身体がこんがらがって、互いの力が拮抗している。
「どちらが先に崩れるか、試してみるか?」
「そのつもりだ」
体格差は羽田の方が有利で、筋肉の詰まった体重が俺に襲いかかっている。俺は羽田が使っている以上の力を使って押し込んでいる。
これ、マジで体力の問題だぞ・・・
「奏爽律。悪い事は言わん。生徒会に入れ。一度辞退したようだが・・・」
「やだね。いいからシールを渡せ」
朝まで戦うつもりだったが、もう既に右腕がすごい辛い。
「シールは渡さん。お嬢様に負けという言葉はない。完璧な策略のもと、勝利する」
「自分達でルール作って、卑怯な手使って、何が勝利だよ!」
「まだ分からんのか。これでも譲歩しているのだ。ここは永遠乃財閥の配下・・・お前らなどすぐに消しとばす事が出来る。それをしないお嬢様に感謝しろ」
「うるせぇ!」
俺は渾身の頭突きを喰らわせる。
会話で不意をつく。俺の頭が羽田の脳みそを震わせ、羽田は倒れた。
「見たか!永遠乃のお嬢さん!俺の勝ちだ!」
そう言って永遠乃芽衣の方を振り向く。
机に雪崩れ込むように倒れている永遠乃芽衣。
「お、おいっ!?どうして!?」
肩を揺さぶる。目が虚だ。
「・・・か、・・・からだがあつい・・・です・・・わ」
「おっ、お前、凄い汗だぞ!」
こ、これ、ヤバくね!?
もしかして流行りのヤツ!?
救急車呼ぶか!?
いや、今学校に呼んだらおかしい・・・
俺は永遠乃芽衣を抱き抱えて、走り出していた。
羽田、とりあえず学校は頼む。
お前が怒られてくれ。
それにしても永遠乃、おっぱいの分なのか、小姫よりちょっと重いな。




