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第二十二話 秘密(9)

飛んでくる拳、その矢印を意識する。

その軌道を変える。何度も飛んでくるその攻撃を違う方向へ弾き飛ばす。


攻撃を明後日の方向へ飛ばすやり方。

それが俺の修行の成果だ。


しかし、この目の前のゴリゴリマッチョの倒し方は分からん。というか、一般人だよなコイツ。別に小姫を狙ってるわけじゃ無い。加え方、分かんねーけど、危害を加える事も出来ねーよこれじゃ。


「奏爽律!凄いなお前は!」


「ありがとう」


なんだこの少年漫画的な、戦いを通して互いを高め合う感じ!俺は羽田に何も感じちゃいねーよ!


「羽田?これいつまでやる感じなんだ?悪いけど俺はお前の攻撃を避け続けるぜ」


羽田はパンチを繰り出すフェイクをし、足を上げてきた。その足の爪先、その力の方向、矢印が見える。それを俺は足でズラす。


「ふん。生意気言うな。俺は毎日鍛えている。お前の体力が無くなるまで攻撃してやる」


羽田・・・見た目通りの暑苦しい男だぜ。


「おい!防御だけじゃなくて仕掛けろよもやし童貞!」

優花里がアドバイスを投げ入れる。

いやその通りだけど・・・やり方わからんし。


その間も飛んでくる足、拳、たまには裏拳や頭も飛んでくるが、俺にはその全てに矢印が見える。


「奏爽律。優しさはアダになるぞ。殴ってこい、俺のこと」

羽田が挑発する。





あー。早く終わらねーかな、これ。

やられたフリするか?

コイツのパンチ・・・ゴム弾よりは痛く無いだろ、きっと。。。



と、その時。




「律くん!絶対勝って」




コォ!小姫が立ち上がって、俺を応援している!!!!

そうか・・・これは言わば鹿美華財閥と永遠乃財閥の代理戦争・・・

小姫は涼しい顔をしていたけれど、ムカつく態度や命令される事、実はイラついていたんだ。



俺は技術なんて関係なく、不恰好ながらも渾身の右ストレートを羽田の腹にお見舞いしていた。



ガンマンきよしの言葉を思い出す。



ー〝守りたい人の為、出来る事はやる事〟



その一撃は羽田の鍛え上げられた筋肉に吸収されてしまった。



「ああっ!生花の時間ですわ!撤収!」

永遠乃が騒ぎ出した。


えっ!?ここからだぞ!俺の覚醒する描写!

これからエネルギー弾とか出すつもりなんだが!


「・・・ふん。お嬢の生花に救われたな、奏爽律」


そう言いながら、よろめいて歩いていく羽田。


お開き、みたいな空気が流れて、永遠乃達が去っていくなか、優花里が叫ぶ。



「芽衣ちゃん!?この勝負は!?引き分けって事!?」



出口付近で振り向く生徒会メンバーと永遠乃。



「それぐらいはあげても良いかしら。引き分けにしてあげる」



む!ムカつく!!!!



「律くん、お疲れ様。私的に勝ってたよ」

小姫にそう言われて、救われた気がした。



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