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第二十一話 秘密(8)


「ちわーっす」

生徒会室のドアをノックし、廊下で女の子二人を待たせ、俺は永遠乃芽衣に挨拶に行く。


「ごきげんよう」

生徒会室の真ん中に永遠乃芽衣がいて、その取り巻き・・・いわば俺らとは違うがボディガードみたいな奴らが数人いた。


「お花の水やり終わったんで帰りますよ?」

「あら?随分と時間がかかったわね」

「不器用なもんで」

「ん?よく見ると貴方、良い体してるわね」

舐めるように永遠乃芽衣が俺の身体を見る。


「鍛えてますから!」

俺はおどけた感じでシャドーボクシングを始めた。


「よし、羽田。相手をしておやり」


え?


え?どういうことー!?



知らぬ間に学校の体育館にいる俺たち。



羽田と呼ばれる男と対峙している。



「お嬢。コイツをどうしろと?」

低い声、ゴリゴリのマッチョ羽田が問いかける。

その方向には永遠乃率いる、生徒会軍団が10名ほど集まっていた。


「怪我が残らない程度に、ノしなさい」

いじめのやり方じゃねーか!


「ちょっと!律!応援してやるんだから勝てよ!」

対する俺の方には、優花里と小姫の2人が立っている。


何、この構図???


「光栄に思え。奏爽律。これはお嬢のスカウトだ。もし力を見せる事が出来ればお前も生徒会入りが出来る」


「はっ!?生徒会?そんな、真面目なモンやるかよ」

こっちは小姫の警護で手一杯だっての!


「それじゃあ、始めますわよ!はじめ!」

永遠乃がそう言い放つと、羽田が突進してきますよと言わんばかりにドカドカと走ってくる。



ー〝相手の動き、フェイクも含めてその軌道を読むんだ〟ー


ガンマンきよしとサッカーの練習をした事を思い出す。


真っ直ぐに走ってくるコイツのアホみたいなその軌道・・・いや、どこかでフェイクを仕掛けてくる筈だ。


俺はまず、構えた。しかし、羽田はそのまま突撃してきた。デカい頭が俺の視界に入る。


よっ、いっ、


どんっ!!!!!!!


しょーっ!


「な!何!!!」


俺は、俺自身をバネのように動かし、羽田の両手を肩にあげ、ビヨーンと、身体を伸ばす。そうするとコメディギャグ漫画さながらに羽田の大きな身体が浮き、べしん、と音を立てて倒れた。


ー〝いいか。俺たちは守る事が一番だ。相手の力を無効化すること、力を0にするなんて、無理かもしれないが、攻撃のベクトルを変えるだけで、ある意味無効化できる〟


ガンマンきよし先生の教えが活きた!



つーか、なーにが生徒会だアホ。

こっちは命かけさせて貰ってんだよ。



「こんなもんか、羽田ァ!」

「な、何だ今の?」

羽田は混乱している。


「羽田!馬鹿正直な戦い方はしなくてよいですわ良いですわ!」

セコンド永遠乃芽衣が羽田にアドバイスを送る。


立ち上がり、即座に腕を振る羽田。

その拳の軌道、そのベクトルが俺には見えていた。

俺はチョップでその作用点に力を与え、拳の方向を変えた。


空振りする羽田。


「おいおい、見込みねーよお前」


と、言いつつも困った事がひとつ。

俺は相手の力の方向を変える術は教わったけど・・・



相手の倒し方は、知らん!





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