第十六話 秘密(3)
悶々とした気持ちとその処理などに時間を使い、昨日は寝不足だった俺。今日も優花里と小姫を追いかけるように登校する。
校門を通るや否や人気者の優花里が他の生徒に捕まってしまったので、俺は適切な距離をとりながら小姫に近づく。
昇降口の下駄箱で並んだ。
「お前」
相変わらず、小姫は俺を呼ぶ時にお前呼ばわりする。酷いやつだ。
「ん?」
「昨日はどうもな」
優花里から守った事か?まぁな。
「当たり前のことをしたまでだよ」
カッコつけて俺が台詞を吐く頃には、小姫は階段を上がっていた。
・・・つか、こんな事言いたくねーけど、何が楽しくて学校通ってんだアイツ?
ー
「おい童貞」
「その呼び方やめろ」
休み時間。俺と優花里は机に突っ伏した小姫を見ながら会話している。
「あの子、友達作る気無いのか?」
「俺に聞くなよ」
「う〜ん」
「人には人の生き方があるだろ」
「まぁ、良いけどさ」
優花里みてーなキラキラした奴には分かんねー、複雑な気持ちってものがあるわけだ。
と、そんな会話をしていると、小姫に近づいてくる女子が1名。俺たちは即座に位置を変えていた。会話を盗み聞きする。
「鹿美華さん?」
その声に小姫は顔を上げる。やっぱりお人形みたいで可愛い。
「なんでしょう」
「確認したいことがあって」
「なんでしょう」
「貴方、鹿美華財閥の娘さん?」
「・・・」
黙り込む小姫。鹿美華財閥!?金持ちの秘密はコレか・・・
「私は永遠乃財閥の永遠乃芽依。よろしくね」
な!なんか!少女漫画っぽい展開きたー!
財閥の娘同士の挨拶!そして既に広がっている微妙にギスギスした感じぃ!
「そうですか」
それだけ言って、興味無さそうに遠くを見る小姫。その態度にイライラしている永遠乃芽依。警戒しなきゃ・・・ってあれ?優花里・・・?
「えっ!?今永遠乃財閥って!?」
優花里は永遠乃芽依に接近していた。小姫から意識をそらす事、そして万が一の可能性に備えて警護対象の近距離に位置した。
近くで見る永遠乃は、少し茶色がかった長い髪をアニメさながらの縦巻きロングにしている。分かりやすいぐらいのお嬢様スタイルだ。顔はまぁまぁ可愛い。
「そうですの」
「永遠乃グループの家電使ってるよ!芽衣ちゃんて凄いんだね!」
「あはは、そんな事ありませんわ」
お嬢様に絡むギャル・・・なんか優花里がより〝庶民的〟に見える。
優花里を無視し、永遠乃芽依が小姫に向かって言う。
「この学校はね、永遠乃財閥の資金援助を受けていますの」
「そうですか」
「・・・甚だ疑問ね。どうして鹿美華家のお嬢様がわざわざ〝敵地〟に乗り込むような事するのか・・・」
ギ、ギスギスしすぎだ!
でも永遠乃芽依の言葉も気になる。
きっと身を隠す為に敢えて敵地に飛び込んだのだろう。今の俺の知識じゃ、それぐらいしか見当たらない。
鹿美華家が同じように学校に資金援助をしているかは分からないけど、わざわざそんな、学校通えないよな・・・
狙ってくださいって言ってるもんだし。
まぁ、厄介なことにならなきゃいーけど。
その日、俺の下駄箱に一通の手紙が。
〝オマエノヒミツシッテイル〟と書かれている。
え?何これ?




