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ダンジョンマスターズ  作者: 髙龍


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二十話

ヒイロのダンジョンに1匹の蝙蝠が入り込んできた。

ヒイロはその蝙蝠に対して話しかける。

「ようこそ、我がダンジョンへ」

ダンジョン族はある程度、自分のダンジョンに入り込んだ相手の実力を見破ることが可能だ。

その結果、この蝙蝠が普通ではないことがわかっていた。

「ダンジョン・・・。つまりお主はダンジョン族か」

蝙蝠は影になったかと思うと人型に変化した。

蝙蝠の正体は吸血鬼。

変化前の蝙蝠がさほど強くない、というかコバットだったのであまり高位の存在ではないだろう。

「我は騎士爵を拝命しておる。我の分体を奪い取ったのはお主だな」

吸血鬼は基本的に不滅の存在だ。

本体が死ぬことは滅多にないが滅んだとしても分体を用意しておけば意思をそちらに移すことで復活することができる。

「夜なのに狩りにいくこともなく留まっていたのはそういうことですか。それは申し訳ないことをしました」

ヒイロが契約したコバットはこの吸血鬼の分体だったらしい。

契約したことにより主導権を奪い取ったがそれでもこの吸血鬼の体であることには違いない。

その繋がりを辿ってこのダンジョンに辿り着いたのだろう。

「これは契約違反ではないかな?」

ダンジョン族と吸血鬼。

共通するのは人を食い物とすることだ。

両者は共にほぼ不滅の存在であり過去には主導権を奪い合って酷い争いを繰り広げたこともある。

しかし、不毛な争いを嫌いある協定が結ばれた。

それはお互いに不干渉であるということだ。

ヒイロがしたことは知らなかったとはいえ協定を破る行為だ。

ヒイロからすれば相手は瞬殺できるほど弱い存在だ。

しかし、吸血鬼の特性上それをしても逃げられるしそうなれば大物が動き出しダンジョン族と吸血鬼の争いになってしまうかもしれない。

「どうすれば許してもらえますか?」

「見たところこのダンジョンは出来たばかりのようだ。我を居候させてくれるなら手打ちとしよう」

吸血鬼のこの要請は拍子抜けするほど簡単なことだった。

「そんなことでよろしいのですか?」

「正直、我の力で人を食らうのは大変なのだ」

吸血鬼は人の血を吸うことで力が強くなってゆく。

コバットの体で人里に行き血を吸うのも大変なのだろう。

吸血を街で行えば人々は吸血鬼の存在に気付くかもしれない。

警戒されればその間、血を吸うことが難しくなる。

ダンジョンで血を吸ってもそれは魔物であるコバットに吸われただけだと思うだろう。

ヒイロに断る理由は特になかった。

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