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薬師ギルドにも「どうぞ、どうぞ」というだけの理由があった

昨日は「今日中にもう1話投稿します」詐欺になってしまいましたm(__)m

今日こそはお詫びにと思いますが、予定は未定ですので、あまり期待しないでくださいねー

 ここまで回復魔法が求められるのには理由がある。

 

 まず、この世界は医療行為が確立されていない。細菌などの存在は知られているが、毒とは別に体内に入って悪さをするものがあるという程度の認識だ。まぁ、これについては私の知識も大して変わらない。

 つまり、素人程度の現代知識を持った私と、この世界の医療関係者のトップクラスの知識が同レベルなのだ。だから治療は回復魔法にほぼ依存している。


 私のスキル【回復魔法】は現在レベル2だ。

 たったの2かと思うかもしれないが、回復魔法の持ち主は少ない。この世界の回復魔法と私のスキルが同じかどうかはわからないが(回復レベルが同程度だということは調べがついている)、たまにこの町を訪れる治癒師はレベル1相当だ。

しかも治療費は、3000ルークから。何もしなくてもすぐにふさがるような傷でその金額なのだ。一般人が気安くかけてもらえるような魔法ではないのだ。


 この辺りのことは、自力で調べ上げた。自分のためにも回復魔法はとっておきたかったので、スキルポイントを使って得た。

 そして昨晩、訓練で傷の絶えない衛兵を相手に【回復魔法】の実験と実践を繰り返しているうちにレベル2へとアップ。効率よく発動させるコツのようなものをつかんだと思ったら、【魔力操作】というスキルも得ていた。効率よく魔法を発動できるスキルで、感覚的にあった魔力の無駄使いが少なくなった。


 それもこれも、すぐに治るからと訓練という名のじゃれ合いを始めた酔っ払いたちのおかげだ。……いや、スキル【根性】が利いている方が大きいのか!?


「ロミー。未成年なら無料だって聞いていたよね。慌てなくていいから、みんなをここに連れてきてくれるかな。無理そうな子はいる?」

「ね、ねぇ、本当に本当にいいの?お金ないよ?」

「他の人からも取らないんだよ?ロミー達からだけ取るなんておかしいよ」


 泣きそうな顔をしていたので、ちょっとだけふざけた調子で返してみる。


「ありがと!とにかく、全員連れてくる!歩けないような子はいないから、あ、でも赤ちゃんは大丈夫?」

「大丈夫。一緒に連れてきて」

「なら、俺も着いて行こうか」


 遅れてやってきた若い衛兵が話を聞いていたようだ。一緒に行ってくれるなら安心だ。彼らを送り出し、次の希望者に向き合う。


 それからは、軽い傷、捻挫、頭痛、腰痛といった、症状の軽い人が続いた。レベル2では完治までいかないものでも症状が楽になったと喜ばれる。ステータス欄にに魔力残量などないから、消費の少ないのも正直助かった。



▽▲▽▲▽▲▽



「そろそろ休憩にしようや。悪いな、新たに列に並ぶのももうなしだぞ!」


 ゴードンの一声で休憩を取ることに。

 【回復魔法】(ヒール)の連続使用は、魔力の消費も多いが、同じくらい精神的に疲れる。一人一人の症状を確認し、より効果的に発動するためにかなりの集中力を要するからだ。


「ほれ、このポーションで魔力を回復しとけ」


 ゴードンが手に入れてきた薬師ギルドの魔力回復効果のあるポーションを受け取る。ザ・薬草といった味に顔をしかめながら、グッと飲み干す。

 

「それで、薬師ギルドとはどんな風に話をつけたの?」


 非番だったゴードンは、この青空治療院的な催しをするにあたって業務妨害になってしまいそうな相手、薬師ギルドに話をつけに行ってくれていた。

 あくまでも私の代理なので、交渉の条件として「ここまでなら」というものをいくつか話しておいたのだ。それよりも悪条件となるならば今回の企画は違う形で行う予定だった。

 

 しかしゴードン達は広場にいた。これは、交渉がうまくいき、魔力回復に使用するポーションも予定通り無料で手に入れられたことを示している。


「これといったことはなかったぜ。打ち合わせ通りに話したら、どうぞ、どうぞって揉み手しながら了解してくれたぜ」


 「治療は回復魔法に依存している」とは言ったが、薬師ギルドという存在も忘れてはいない。名前の通り、薬を作ることを専門としている集団だ。ポーションという名の回復薬を何種類も製造・販売している。

 ポーションは保存・携帯ができるという点で優れている。症状にあったポーションでなければ全く効果はないけれど、いつ受けられるかわからない回復魔法よりは頼りになる存在だ。


 ただ、この町の薬師ギルドは大きな問題を抱えていた。後継者問題だ。効果の高いポーションを作れる若いものがいないため、高齢者に負担が偏っている。後継者を育てたいがレベルアップに必要な素材が集まらないために、弟子はいても必要な経験を積めずにいるのだ。


 青空治療院的なものを始めるにあたって、薬師ギルドの存在がネックになることはわかっていた。あまり派手にやると敵対関係と捉えられてしまう。だから、すぐに薬師ギルドの現状について調べたのだ。

 ラッキーなことに、彼らが求めていたのはフォレストスネークの新鮮な内臓。そう、昨日偶然に仕留めたあいつだ。


 「それにしても、俺らが知らないことまでよく調べたよな。条件にフォレストスネークの新鮮な内臓を1週間毎日納品する、代金は魔力回復ポーションと交換とする、必要であれば回復魔法を無料でかける、その代わりに1週間は青空治療院を黙認する、だっけか?」


 1週間経てば状況が変わっているだろうから、その後は改めて交渉することにしている。こちらに都合よすぎると言えなくもないが、それほどにフォレストスネークの内臓を新鮮なうちに手に入れるのは難しいのだろう。


 しかし、問題点がないわけではない。どうやってフォレストスネークを狩り続けるのかということだ。

 実はこれも、解決済み。残っているスキルポイントを使って【索敵】を入手したのだ。レベル1で半径110メートル以内の魔物を感知できるスキルだったので、これを発動させたままスライム狩りをしたのだ。


 今日の狩りの成果はスライム核153とフォレストスネーク3匹。【索敵】の効果でより効率よく得物を探すことができたので、短時間で大きな成果につながった。

 加えてフォレストスネーク2匹でスキルポイントが1増えていた。持久力も上がって、トップスピードを維持するのも楽になった。少しばかりチートが過ぎるかとも思うけど、与えてくれた存在に感謝して、有効活用するだけだ。


 ではそろそろ、ヒールの続きと行きますか!





現在のステータス


スキルポイント 1


スキル:知性 4 教養 2 言語エキストラ 6

    俊敏 1 持久力 2 体力 1 打撃 2 根性 2

    回復魔法 2 索敵 1


ギフト:スキルポイント操作

称号:イレギュラーな存在


装備 

廃材で作られた頑丈な木の棒

簡素で質素なワンピース 

手作り感満載のサンダル


 







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