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たぶん、きっと、この町だから成立すること

 加齢臭が染みついた毛布をどけて体を伸ばす。


 酒臭い男たちが転がっている間を抜けて表へ出ると、昨夜同様に、仲間たちの醜態をよそに2人の衛兵がしっかりと物見台から門の内外の様子を確認していた。


「おーい、よく眠れたか?」

「毛布のおかげでぐっすり!ありがとう!」

「よくあの騒ぎのなかで眠れたなぁ」


 ゴードンの誘いに応じて夕食にあやかろうと北門に来てみれば何故か衛兵が14~15人集まっていて、詰め所の脇に焚火の用意をしたり、大鍋に野菜を切って入れたりしていた。

 フォレストスネークの鍋が食べられると集まってきたらしい。


 フォレストスネークは滋養効果が高く、お酒によく合うとかで衛兵たちの好物だったのだ。確かに食して見れば、(蛇は食べたことがないけど)蛇というよりモツに近い食感でクセになる味わいだった。

 彼らは何かといえばこうやって北門に集まって、真面目に夜勤をしている仲間を目の前に宴会をするとか。


 なぜ北門なのかという疑問には、


「西門だとうるさい輩が通る可能性があるからな。領主様は理解があるが、面倒は起こさないに限るだろ?」


と、悪びれることなく答えた。


 でもこの宴会で衛兵の知り合いが一気に増えたし、他にもいいことがあった。そのおかげで、今日から数日はめちゃくちゃハードな一日を過ごすことになるけど、昨夜みたいに詰め所の隅に寝かせてもらえる。

 衛兵がこんなにルールにゆるくていいのかとも思ったけど、ギブアンドテイクの関係が成り立っているから、短期間であれば問題ないらしい。

 ……どこまで本当か眉唾だけど。


 井戸水で顔を洗い、身支度を整える。

 昨晩に食べ過ぎたので、朝食は抜いても問題ないだろう。


「じゃあ、行ってくる!」

「おう、無茶はするなよ。こっちも準備して待ってるから」

「うん、お願い。ゴードンにもヨロシクね」

「まかせとけ!」



▽▲▽▲▽▲▽


 

 それにしても、よくあそこまで打ち解けられたなと思う。

 私は口数が少ない方ということはない。ぼっちに慣れきっているため、知り合って間もない人とは最低限で会話するのが楽なだけだ。

 

 でも、昨夜は途中から酔っ払いが相手だったこともあって、自然と口数が増えた。ゴードンだけでなく、テオともたくさん喋った。他の衛兵も、子供だからを馬鹿にすることなく話を最後まで聞いてくれた。

 そして彼らは、計画実行の最大の理解者兼支援者になった。

 


▽▲▽▲▽▲▽



 冒険者ギルドで午前中の成果を売り払う。

 一部は解体を依頼して、終わるのを待たずにギルドの近くにある広場へと急いだ。


 広場にはすでに人が20~30人は集まっていて、昨夜知り合いとなった衛兵とゴードンがその集団を必要に応じて整列させている。

 西門担当の衛兵も頼んでいたことを忘れずにいてくれたようだ。ロミーの姿もそばにあった。


「ロミー!来てくれてありがとう。話は聞いてる?」

「あっ、ヒカリ!よくわからないんだけど……」


 衛兵からの伝言ということで心細かったのか、私を見てホッとした顔をする。


「今からすることを自分の目で確かめて欲しいの。そして、すぐに行動に移して欲しい」

「とにかく見てればいいんだよね?」

「うん。まずはそれからだね」


 ちょうど準備が終わったようだ。


「ヒカリ、じゃあ始めるぞ!」


ゴードンンの声に、ロミーの手を引いてそちらに駆け寄る。

さぁ、ここから始まるんだ!





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