さあ、スポーツクラブへ
(さあ、スポーツクラブへ)
寿里はスポーツクラブ体操ジムに入り、気も心も体ものびのびと思う存分動き出した。
ちょうど、背が伸びる時期でもあり、少々足の動きに痛みがあったりしていても、それを
物ともせず練習に打ち込む姿は、けなげなしいばかりであった。
太陽学園,中高部でのさまざまな動きは、ぎこちないものであったが、しかし、そのわずかなことが基本になっていた。捨てたものではないと考えた。
中学入学時に憧れで入部した新体操では、リズム感と美しさを求める動きをあじわった。
イジメにも遭遇したが乗り超えて、そんなものどうでもよくなった!
二年生のクラス編成では成績順に分けられ、寿里は超優秀クラスで佳織は優秀クラス、
亜紀と優奈は普通クラスになった。寿里の成績はほとんど一番で、運動も出来て、後は顔になると、自身のない寿里であったが、近頃は体が引き締まって来てスタイルが良い分、色が黒くても鼻が低くても、持ち味になってきているようである。
特に高等部体育館での男子器械体操部との見よう見まねの動きは大胆であったから、ジムでの動きも最初から十分に付いて行けた。そのことが、ますます、寿里の本能をくすぐってやる気を起こしたようだ。
寿里の跳躍は持ち前のバネと平均感覚で誰もが認める凄さを持っていた。
コーチの早田もすぐ寿里のバネの良さに目を付けた。
「寿里、もう一回走り込み跳躍前転をやってみて!」
「ハーイ行きます」寿里の声も伸びてくる。
危険が伴う技なので真剣である。
「ヨーシ、良く頑張った!高度な技の一つのこれが出来たら、床も跳び箱も平均台も応用できるからな、寿里がやっているトランポリンのおかげかもしれない!」
早田コーチは満足そうに寿里に言った。
寿里は自分で考えて周2回、トランポリン教室に行くようにした。これもまた、体の平均をとりながら体を宙に浮かすことになるから、楽しんでやっているに過ぎない。
何もかも、身の回りの事は全て体操の為にするようになった寿里。
一番の難関技が出来るまでに始めてから3か月とかからないスピードであるから、他の競技者やコーチ達は驚くばかりである。
二年生の秋には、日本全国にあるエナミスポーツ教室主催の中学の部で優勝して注目された寿里。
寿里が高等部体育館で、基本のマット運動をしていると、体育館の床側面窓口から、亜紀と優奈が覗いている。
「優奈、私たちやっぱり寿里を羨んでいたのかしらネ!意地悪していたでしょう……
だけど、器械体操に移っちゃってから、すごく頑張っているじゃん!」
「そうね……悔しいけど……ああ、悔しい!お勉強までできるなんて!」
「ほら、見てごらん、相変わらず準備運動の簡単なマット運動だけやっているのよ」
亜紀と優奈が床側面の窓からいつまでも覗いている姿があった。
「話もしないで、良く一人で出来るわねえ」
「一人ではないわ、男子部員が沢山いるじゃないの、羨ましいなあー、そう思わない?」
「それはそうね、だから、寿里は、きたえられて我慢強くなったのかも知れない!あまりにも上達が早いし……第一隈隼人って云う生徒会長が幼馴染だって、何もかも恵まれているのよネ」




