2話
夜が明けた様だ。
俺の隣でポチが寝息を立てている中、カモフラージュで使ったツルを退けてそっと外の様子を見る。
(ま、当然居るわな…)
パッと見何の変哲の無い静かな森にしか見えないが、確かに感じる。
数にして15から17…群れて襲おうして居る所から、昨日の遠吠えの奴…多分狼かなんかだろう……
立地的に、こちら不利、囲まれているから一人では捌けない…。
「なら、囮か…」
作戦は大体決まった、後は行動するだけ……まずは、
「スキル[肉体操作]発動」
スキル肉体操作、
生命の構造や性質を自由に弄れる能力。
これを使い、俺とポチの肉体構造を改造。
左腕の骨硬度を上げ、腕を剣状に変化させ、ポチの両腕を切る。
痛覚を感じない様に操作した為、気付かずに眠っている……
「…………」
[肉体操作]でポチ止血をした後、血塗れになったポチの腕を外へ投げる。
腕はブンブンとプロペラのような回転をしながら、飛んで行き、そして落ちた。
落ちたポチの腕からは、未だに大量の血が流れ落ち、血溜まりを作っている。
「後は待つだけ…」
そんなに時間はかからないだろうが、駄目推しでもう一本も投げておく。
ドクドクドクドクドクドクドクドクーーーー
二本に増えた事により更に広がる血溜まりを俺は見ながら、待つ、待つ、待つ、待つ。
ガサッガサッーー
だだひたすらに待って居ると、右側の方の林が音を立てた。
一匹の痩せこけた狼が腕に走り出して来た。
「来た!!」
狼の後続く様に走り出し、払う…
左腕の剣が痩せこけたオオカミの前脚を両断し、
走ってきてた狼は勢い良く、地面に顔を埋め、
勢いよく噴出し、二つ目の血溜まりを製造する…
所詮は畜生だ…こうなったら大体仲間見捨てて逃亡するのがセオリーっの、はずなのだが…
「グルルル…………」
茂みから、片耳の老狼が同胞と共に姿を現わす。
老狼を含めた全ての狼が皆が恨みの篭った目で俺を見ている…
静寂に支配され、鉄臭い匂いが充満する。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………ぷっ」
あははははははは!!!、もう駄目!死んじゃう。
獣風情が、一丁前に、睨み効かせながら仲間の敵討ちとか、くふふふふふふふふ、、、、、、、違うだろ。
お前ら。
[肉体操作]で体を弄り、走り出す。
先頭に立っていた老狼が、応戦しようと、臨戦態勢に入るが、
「遅ぇんだよ!!!」
ブアシャアアーーーー
下から、抉り取る様に振り上げられた、その剣は一時の間に、老狼の首を跳ねる。
天高く舞い上がった大将の首に驚き、恐怖を滲ませる駄犬共…………
あぁ、そうだ…その表情!その目!!それでこそ獣だ………
「ふふ、ふふふふ、あはははははははははは!!!!!!!!!」
恍惚な表情を浮かべ、その刹那の快楽を堪能した
俺は、お礼にこのショーをプロデュースしてくれた、愚かな犬共の首を撫でてやる。
首元から赤い綺麗な花が咲き乱れる…………
最後の最後まで、俺の異世界転移を祝うかの様にもてなしてくれた花達に感謝の祈りを捧げ、洞窟に戻る。
洞窟には、ようやく目を覚ました、俺の可愛い奴隷が、五体満足の姿で、俺を待っていた…………