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26話 帰城報告

「ルディ、よく来ましたね」

 馬から降りたルディを、ラズは外へ向けた笑顔で(・・・・・・・・)歓迎した。

 彼の隣では不機嫌な顔に、無理矢理笑みを貼り付けたローラが立っている。

 足は順調に治ってきて、もう支えとなる杖は必要ないまでに回復している。時折足運びが上手くいかずバランスを崩してしまうと、ラズがさり気なく支えた。

 その姿にルディは安心した。ローラ自身のことはラズより知らないところもある。ローラがヒスメド地方を取り戻そうと必死に情報を集めていた頃をルディは知っている。

 気持ちがくあまりに無鉄砲で無茶ばかりしてくれるローラが囚われないよう、ラズと協力して影ながら支えていた。

 第一王子であるルディよりも、自由の聞いたラズの方が女装して支えていた。

 屋敷の中へ招かれると、ローラが玄関の段差に足をつまずかせ、ラズが支えた。

 ラズが支えたことで、恥ずかしさのあまりにローラが放った心許ない一言をラズがからかうと、ちょっとした言い合いがルディの前で勃発した。ローラはただただ赤面して、ラズは余裕な笑みでこの状況を楽しんでいる。

 ローラを支えた手が突然離され、支えを失った身体が、倒れる前に咄嗟にラズに手を伸ばす。その手を力強く掴み引き寄せた。

 君は僕が居ないとダメですね、と囁き、ローラの羞恥で顔どころか、鎖骨までも赤く染まる。

 ラズは明らかに分かっていてやっている。

(参ったな)

 どこかで、ルディがいることを知らせなくては。

 二人のイチャイチャぶりを目の当たりにし続けてなくてはならないのが、とても居た堪れない。

「こほん」

 目線を玄関先の奥へとさり気なく移し、わざとらしく大きく咳払いをしてみる。

「あっ!」

 先にローラが気がついた。ルディのそらされた視線になにを悟ったのか、ラズの胸を押し返した。

 それが抵抗と取られないことをルディは知っている。

「ちょっと、離しなさいよ!」

 幾度か抵抗して、ラズはやっとローラを解放した。

 恥ずかしさをひた隠して佇まいをだだし、スカートの裾を持ち上げる。

「挨拶が遅れました。ルディラス様。よくおいでくださいました。ご足労をおかけして申し訳ありません」

 ローラは十日前に領主になったばかりと思えない礼儀正しさで、挨拶をした。


「早速で悪いが、ラズ借りれるか?」

「どうぞ!!」

 これ幸いとばかりにラズをルディへ押し付けてきた。

 ローラは足取りゆっくりに、玄関を出て行く。数少ない使用人へ「行ってくる」と言った。

「何処へ行くんだ?」

 ローラの後ろ姿を見送りながら、ラズへ問う。

「近くの町。ヒーオメの被害が特に酷いんですよ」

 ラズは屋敷の中へルディを招いた。

 人払いをした一室だ、紅茶を前に険しい顔つきになる。

「ルディ、聞きたいのはウルマリー王国のことでしょう?」

「まぁ、な」

「ここなら関所通ればすぐだから、色々と知れたよ」

 ウルマリー王国へ通じる関所を通ったとしてもウルマリー王国の王都は近くない。辺境となるヒスメド地方にいて、情報をしる手段を教えてほしいところだが、今はそれよりも。

「たとえば、あまり友好的と言えない帝国との突如浮上した婚約の件、とかですかね?」

 ルディがそうだ、と頷くとラズはここ最近の王国の情勢を話し出した。


「父上が近々一度戻ってくるように、だそうだ」

 一通り話をし終えるとルディは最後に頼まれていたことを伝える。

「ミアリさまと君の婚約の話でしょう?」

「……二週間後だ」

 時間はあまりない。国同士の婚約を大々的に発表してしまえば、アカリを正妻にすることが難しくなる。

 そうなる前に、あちらの問題を解決させなくてはならない。解決させるには、ラズの交渉力が必要になってくる。

「その前に――」

「戻りますよ。……ローラを連れて」

 そこで言葉を切ったラズが冷めきった紅茶を飲み、席を立つ。ルディが首を傾げつつ、鞘に手を伸ばす。部屋のドアを開けると、耳をそばたてているローラの姿があった。

 突然開いたドアによろめいて、ラズに支えられる。

 いつのまにか戻って来ていたようだ。

「た、立ち聞きするつもりはなかったのよ!」

 狼狽えるローラがあまりにも可愛らしかったようで、額にキスをした。

「ただ、アカリのことだったらって……なにすんのよ!」

 額だけにとどまらず、今度は顎を持ち上げて上向かせたところで、手が出た。

 ぱしり、と平手打ちをしようとした手がラズに捕まる。

「恥ずかしがるところも可愛いですよ」

 暴れるローラの唇を無理矢理奪って黙らせたところで、ルディは目を閉じて両耳に手を押し付けた。




 二日間滞在しヒスメド地方の視察を終えたルディは、ラズとローラを連れ帰城した。

「ラズ、ミアリ王女を国へ帰せるように助けてくれよ?」

「僕の交渉術、学ぶといいですよ。役に立ちますから」

 ルディより言葉巧みなラズは、王城へ着いて早々、両親へ挨拶するより先にミアリの部屋を訪れた。

 両親に会う前に確認しておかなければならないことがある。

「ミアリ様、突然の訪問失礼いたしました」

 部屋へ招かれたラズは出迎えたミアリに手の甲へキスをした。

「まあ、ラズファロウ殿下。ヒスメド地方へ行かれたと伺っていましたのに、いつお戻りに?」

「先ほど戻ったところですよ」

 ミアリはラズが連れてきたローラへ向き直り、満面の笑みを向ける。

「どちら様でしょうか?」

 ミアリが相手をするべきはレフィール王国の王子たちであって、地方領主であるローラではない。見たことがある程度には覚えがあるだろう。

 ルディとミアリはまだ正式に婚約を発表していない段階で、婚約相手の国の領主まで覚えておく必要がない。婚約が正式に決まり、王城へ住むこととなった暁には覚えなくてはならないが、今は必要ない。

 ミアリのローラに対する態度は当然と言えた。

 ミアリの問うている相手はローラではなかった。彼女はラズを向いている。

 誰かと聞くにはまず、王子であるルディかラズだ。もっというなら、第一王子であるルディが先になる。

 ローラは紹介されるのを待っている。先に声を出してはいけないのだ。いくら言いたくても。

 それを分かっていてか、ラズはローラの肩を引き寄せ、落ち着くようにと肩を二度叩く。

 ローラはミアリへ怒りが湧き上がってくるのを必死に抑えこみ、自然と肩に力が入っていた。深呼吸をして、力を抜く。

 扉が開いて、ローラは城へ残してきてしまった大切な妹、アカリの姿を探した。ミアリの元で働いているのだから、へやにいると思っていたのに、何処にもいない。

 ただ、用で部屋にいないならいい。

 もし、そうではないのなら――。

 どうしたって気になるのに、聞くことができずイラつきと心配がないまぜになって、嫌なことばかりが頭を過ぎる。


 国王から、ヒスメド地方の領主はローラと言われた後、ヒスメド地方で苦しめられている人の為にもローラは直ぐに行かなければならない。領主から伯父を引きずり下ろした後、不当な通行料を元に戻し、帰国出来ないウルマリー国民を帰国させなくてはならなかった。

 ローラが城を出る当日。

 城に残るにしてもミアリの世話係は良くない、他に残り方があるとアカリに提案したが、自分のためだから、何があっても見守ってほしいと先に言われてしまった。

 ルディへアカリを託し、城を離れたのに、アカリは一向に姿を見せない。アカリの姿が見られればと、訪室に同行したというのに。

「ラズファロウ様? お聞きしてもよろしかったのでしょうか?」

 問いに対する答えが貰えず、聞かれたくない事だったのかと、ミアリが思案した。

「僕の婚約者ですよ。ヒスメド地方の領主でナヒロ……」

 紹介し始めるラズの声を遮って、ローラがわざとらしく大きく咳払いをした。

 きっとアカリは何かの用事で戻って来られないだけ。大丈夫だと自身に言い聞かせ、ミアリを見据えた。

「ミアリ様、ご挨拶が遅れました。わたくし、ナヒロ・ヒメルカ・ジェバリアと申します。この度、ヒスメド地方領主となったばかりです」

 ラズの肩に乗った手をぱちりと弾いて、どかせると腰を折った。一領主として他国の王女に無礼は許されない。

 ローラの叔父によって、自国民が戻れない事態を招いてしまった元領主の姪だ。

 向こうとて、いい顔はしないだろう。

「ああ、あの時の……」

 ローラの予想通りに、ミアリは冷徹な目をローラへ向けた。

 ヒスメド地方領主だと国王から言われた日のことを指している。ミアリはその場にいた。

 ミアリはローラが前領主の姪だと知っている。

「僕の婚約者です」

「いずれわたくしの義妹いもうととなられるのですね。末永く仲良くしていただけると嬉しいですわ」

 仲良くなどしたくないと、表情から声音からいやという程読み取れた。

(まあ、そうだろうな)

 ローラは自国民が戻れなくなった原因を作った前領主の親族。領主が変わってひとまず安堵はすれど、

 ルディはローラとの付き合いがアカリよりも長い。ローラが名を偽って、城下町で情報収集していた頃からラズと協力して、彼女が領主の座へ戻れるように陰から手助けをしていた。

 ローラの性格は知っている。

「貴女がご指導(・・・)してくださっているアカリの義姉でもありますが、隣国に接する領地の主として、仲良くしてくださると嬉しいですね!」

 嫌味をたっぷりと含んだとげとげしい言葉で挨拶をした。しかし、ローラの嫌味をさらりと受け流し、ミアリは礼儀正しい挨拶をした。

「まあ、そうでしたの」

 わざとらしさが滲む声音にむっとしたローラの口をラズが後ろから手で塞いだ。今にも暴れ出しそうなローラを羽交締めにする。

 相手は隣国の王女。デニレローエ村長と違い、ローラの立場で物申せる相手でない。

「ナヒロさん、落ち着いて下さい。せっかくの綺麗な顔が台無しです」

 ラズはあろうことか、ローラの耳たぶにふっと吐息をかけて、大絶叫させる。

 顔を赤くして、右耳をおさえるローラはまるで威嚇する猫のようだった。

「ラズ、話が進まなくなる」

 まあ、良くさらっといえるものだ。しかし、のんびりと話をしている場合でもない。

 帰城報告をしなくてはならないのに、時間はあまりない。

「ええ、そうでしたね。それではミアリ様、訊ねたいことがあります。話せる範囲で構いませんから、話を聞かせてもらいますよ?」

 ラズの問いに淡々と答えるミアリから、アカリは三日前、王妃の怒りを買ってしまい、夜のうちに城から追い出されていったと三人は知ることとなる。



 ルディは旅装を解き、ラズを伴い父の前に立った。

 報告するだけにしては、その場にそぐわない人物を連れて。

 双子王子に続き、ミアリとローラは、しっかりした足取りで入室した。

「帰城報告ではないのか?」

「それと別に報告があります」

 ルディがそう切り出すと王は眉を顰めた。

 後にしろと言われないということは、聞いてくれるようだ。

「報告は聞こう。だが、無関係者を外へ出してからだ」

 そう指した人が誰か、自ずとしれる。双子王子以外の二人だ。ローラはヒスメド地方領主であり関係者であるが、報告の場にいる必要がない。

 ミアリはルディと婚約予定であるが、それはあくまでも予定。現状は他国の王女。

 王からしてみれば、関係ない人物は早々にお引き取り願おうと暗に言っていた。眼光が鋭くなる。

 警備兵が慌てて扉を開ける。どうやら合図だったようだ。

「皆関係者です」

 王の一言をルディがばっさりと切り捨てた。

「ほう? 関係ないと判断したら即刻出て行ってもらおうか。お前たちもな」

 冷酷に告げられ、誰もがひやりとする。王が関係ないと決断したら、報告途中でも追い出すと宣言されたのだ。

「あまり時間はとれんが、構わないか?」

 王はこの後、外せない執務がある。

「すぐ終わらせます。時間は取らせません。父上の返事次第です」

 まずはルディ、ラズが帰城報告をすませる。

「何か困ったことでもあったか?」

 ローラの姿を確認して、問いただす。

 ローラがヒスメドへ戻り、領主となってから日は浅い。現状を昔のように戻すにはまだ時間がかかる。

 王の問いにローラは微笑みを返すだけでなにも話さない。ラズからの報告を待てということだ。

「うむ。二人ともよく戻った。……ラズファロウ。報告は」

 報告に親子のような柔和さはない。

 ピンと張りつめた空気の中、ラズは王を真っ直ぐ見た。

「ヒスメド地方を視察途中ですが、現状を報告します」

 ルディ同様、王族の服に身を包んだラズが淡々とヒスメド地方のことを話し始めた。

 ヒーオメが領主となってから領地の整備を怠っていたために悲惨に荒れた道の整備からまず始め、徴収しすぎた税金は領民へ還元。そして通行料は元の額へ戻されたことをラズから報告される。

 細かなところは報告書としてあげるとし、手短に話を終えた。

「では私からの報告です」

 ラズのヒスメド地方の報告が終わると今度はルディが口を開いた。

「なんだ」

「私からはウルマリー王国のことです」

 ピクリと片眉が上がった。それも一瞬のことで元に戻る。

「父上、ウルマリー王国との縁談ですが」

「変更はない。既に近隣諸国へ招待状を出してある」

 ルディが何かを言うのを遮り、王が先手を打った。またその話か、と呆れている。

 ルディはすでに相手はアカリと決めている。王の決定が絶対であるなら、王の考えを変えてしまえばいい。

「ではその相手をアカリ・リラへ変更していただきましょうか」

「なに?」

 王の声音が低く変わった。

「既に婚約の儀を執り行う日取りを決めている。その相手がミアリでは不満だと言いたいのか?」

 王の目にはルディが悪足掻きしているように見えたらしい。

「そうではありません」

 ミアリとて王女。国同士の結びつきを強くするために、レフィール王国へ嫁ぎにきている。

「わたしにはミアリ殿と婚約を交わして問題ありませんが、相手側に問題があるのですよ、陛下」

 含みを持たせると、王はミアリを凝視した。

 ミアリはその目を受け、申し訳なさに目線を床に向ける。

 その意味するところを王は感じ取った。

「どういうことか、説明してもらいたいですな」

「申し訳ありません、騙すつもりはなかったのです」

 ミアリは震える唇を開いて、謝罪した。

「陛下は、我が国は共和国と隣接していることをご存知でしょう?」

 王は静かに肯定した。

「わたくし、実は帝国との縁談が持ち上がる前にすでに共和国の王族との縁談が決まっていました。国内と、共和国との内密な決まりではありません。二国の間では誰もが知る事実です。ですが、最近我が国で新たな資源が多量に見つかりました。それは我が国が帝国側から輸入をしているものです」

「それは、原油、ですかな?」

 ミアリがはっきりと言えない新たな資源を王は確信を持って聞いた。

「……ええ、そうですわ」

 ミアリは驚きつつも、やはり知っていたのかと、苦笑した。

「貴女をこちらへ嫁がせる際に直接聞きましたからな」

 王は然程さほど驚かなかった。

「まだ一月前のことです。原油が採掘できる地域は決まっています。今までは帝国だけだった原油が我が国からとれるようになり、更に共和国と我が国が婚姻という形で、国の繋がりをさらに強めると、共和国は原油を帝国から言い値で輸入しなくでよくなります。原油は婚姻を結ぶと決まった国からとれるようになったのですもの。原油がとれると知った共和国側から婚姻を早めたいとの打診が来ました」

「ああ、そうなるな」

 新たな資源がでればその資源を求めて違う国がウルマリーと繋がりを持ちたいと名乗りをあげる。そうなる前にさっさと結婚してしまおうというのだ。

 幼少の頃から決められていた婚姻を原油が出たからといって反故にするわけにいかず、ウルマリー王国は婚姻を早めることに承諾した。

「いざ、婚姻を結ぶためにわたくしが共和国へ出立の準備をしている最中に、帝国側から使いが来られたのです。わたくしを帝国へ嫁がせろという、命令文章と共に」

 どこが嗅ぎ取ったのか、帝国はウルマリー王国の新たな資源を知っていた。

 まだ採掘方法の知らないウルマリーへ、採掘を帝国側がする代わりに、帝国へ嫁いでこいというものだった。

 原油の採掘方法は原油が採れる帝国しか知らない。採掘方を理由に帝国へ嫁ぎ先を変えるつもりはウルマリー側にはない。

 帝国の思惑、ウルマリーを取り込み、共和国へ戦を仕掛けさせることを阻止せねばならなかった。

 一時凌ぎになってでも、今回のことに関わりのない国へミアリを行かせ、その間に採掘方を見つけられれば、ミアリは帝国へいかなくて済む。

 その間、帝国からくる使者が頻繁になることを予想して、足踏みする場所へミアリを連れ出さなくてはならない。

 帝国側とも共和国側とも波風の立っていないレフィールへ、ミアリを婚約者という建前で、国から出したのだ。

 他国へミアリがいる間、帝国、共和国の目はミアリとレフィールの王子の行き着く先、動向を気にし始めた。婚姻しないのに、いつまでもレフィールに王女をおくわけにいかない。国王へ事情を説明であったとしてもだ。レフィールにミアリが行ったからとて、二国の目が完全にウルマリーから離れたわけでもない。

 国内にいる採掘に精通する専門家を現地に呼びだした結果。

「先日、ようやく原油の採り方がわかったようですわ」

 帝国がウルマリーと結べば、ウルマリーを拠点として、帝国は共和国へ喧嘩という名の戦をしかねない。

「実はこの後、帝国と共和国の殿下方……貴女と婚姻を結びたいという二人と面会の予定となっているのです」

「ハルト殿下、ですか!?」

 ミアリは頬を紅潮させて、王へ訊ねる。

「ええ、そうです。ルディラスの見聞を広げるには良い機会と、別室でお待ちいただいている間、ルディラスに相手をしてもらおうと思っていましたが……」

 両殿下が城へ来ているとならば、用のある相手が客人の相手を務める。今回は王に謁見を求めてきたようであるが、国の王子を二人纏めて相手をするわけにいかない。どちらかが王と謁見している間、客人が暇とならぬよう、第一王子のルディが相手になる。

 ミアリは共和国の王子との話す時間が必要だ。

 帝国の王子とも。

「わたくしが致しますわ。いえ、わたくしにぜひともさせてくださいませ。ハルト殿下に謝らなくてはなりませんの。陛下のご厚意、ありがたく受け取らせていただきます。ルディラス王子。わたくしは、ハルト殿下と結婚したいのです。以前からそう決めていました」

 騙してごめんなさいと、謝罪の言葉を言うミアリにルディは構わないと許した。

 ルディも相手は決めている。

 帝国の王子と面会する際にはラズを連れて行くことをお勧めするという王の助言を受け、ミアリは必ず同席してもらうと頷いた。



 両殿下方との面会を終え、ミアリが無事共和国の王子と婚約することとなった翌日、三人は城下へ向かった。

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