忘れ物は命の恩人
今回は初めての投稿です。まだ、キーボードも上手に使えていないので変な部分があるかもしれないので、アドバイスお願いします。
――ふぅ~。
小さく気弱なカマキリをぎんぎらと照らすタイヨウ。
今日、カマキリは長く住んでいた原っぱを離れ……新しい原っぱにやってきた!
こーんなに暑い日でもカマキリは新しい生活にひそかに胸をおどらせていた。
なぜかって?
それは、このカマキリは前の原っぱでは友達が少なかったからだ。
毎日、つまらなくて仕方がなくて、いつも原っぱを出て行くことばかり考えていた。
しかし、このカマキリにそんな勇気、あるはずない。
そんなとき、唯一の友達だと思っていたカマキリに侮辱された。
もう、「がまんできない!」そう思ったカマキリは……
ついに、原っぱを出て行ってしまった。
そんなこともあり、今度こそ友達をつくり、楽しく生活する、と意気込んでいた。
そのために、会う虫たちに笑顔であいさつ!と心に決めていたのだ。
……早速、カマキリはテントウムシに会った。
カマキリは、「やあ!よろしくね」と極めて明るくあいさつをした。
けれど……テントウムシはなんと無視。
カマキリは「聞こえなかったのかな?」と思い、たいして気にしなかった。
しばらく歩くと次はカナブンと会った。
すると、カマキリは「こんにちは!仲良くしようね」と声をかけた。
今度は、びくっとされただけだった。
今度は、チョウチョに会い、あいさつ。けれど、またもや、頭を軽く下げるだけ。
さらに、幼いハチにあいさつすると……泣き出された。
カマキリはその日誰とも話せず、笑え合うことができなかった。
――はぁー。
カマキリは、ふか~いため息をついた。とても、悩んでいたのだ。
ここ何日間、いったいどれだけの虫に話しかけただろう……。
みんな、最初の日とリアクションは同じ。
そりゃ、落ち込みもするだろう。
そこで、このカマキリは、決断した。
必ず、明日みんなに僕を受け入れてくれない理由を聞こう!と。
次の日……
カマキリは、原っぱのみんなが、集まり、遊んでいるところに近づいていった。
もちろん、カマキリは、その中に入っていない。
カマキリは、勇気を出して話しかけた。
「ねぇ、みんな。なんで僕に対してそんなに冷たいの?」と。
すると、みんなは口々に「宇宙人みたいだから。」「僕たち、虫の仲間じゃない。」
「出て行け!」と言い出した。
カマキリは、心をスプーンでえぐられたような気がし、反論する気も失せてしまった。
とぼとぼと歩いていたカマキリは、小さな池にたどり着いた。
――ぽちゃんっ。
魚がはねた。カマキリは池をのぞき込んでみた。
のぞき込むと、池に自分の顔が映った。
緑のからだ、逆三角の顔、鋭いかま、どれもどう見たってカマキリじゃないか、
と、カマキリは自信を持った。
この日もカマキリはある決断をした。
きちんと僕のことを説明して、れっきとした昆虫だと信じてもらおう!と。
――それからというもの、カマキリは、毎日毎日「自分はカマキリという昆虫だと」訴え続けた。
しかし、昆虫とは用心深いものだ、とカマキリは思った。
「うそだ!」はしょっちゅう。
「その真緑のからだ、エイリアンだろ。」と言われると、
カマキリは「バッタだってそうじゃないか!」と言い返す。
でも、また「緑の体に加えて、三角の顔、そのかま、どう考えったてエイリアンにしか見えない。」
と言い返される。
カマキリは考えた。どうしたら認めてもらえるか?ということを。
一晩中、考えたカマキリは、いい考えを思いついた。
「簡単なことじゃないか。他のカマキリを見つけて、一緒に証明すればいいんだから。」という考えを。
――次の日から、カマキリの他のカマキリ探しが始まった。
原っぱを他の虫たちに避けられながら、探し回っても一匹も見つからなかった。
なぜなら、この原っぱは、他のカマキリの中で噂になっている「カマキリが入ってはいけない原っぱ」
だからだ。
以前にここに住んでいたカマキリが、今のこのカマキリのようにとても辛い目にあい、それ以来こう呼ばれるようになったのだ。
しかし、友達が少なかったカマキリはこの噂を知らなかった。
一方、今もこの噂を知らないカマキリは、まだ探し続けていた。
そんな時、虫たちが集まっているのが目に入った。
みんなが注目していたのは、人間の家族。
この原っぱは、滅多に人が来ないのでみんな大騒ぎだったのだ。
カマキリも、子供がかわいくてその家族が帰るまでずっと眺めていた。
人間が帰った後もみんなはあの家族の話で持ち切りだった。
そのとき、カブトムシが人間の忘れ物に気が付いた。
忘れ物は「昆虫図鑑」だった。
昆虫図鑑をみんなで眺め始めた。興味がないカマキリは、そろそろ帰ろうかな思った。
そのとき、アリがあるものを見つけた。
それは、カマキリの写真と説明だった。
みんなは心底驚いていた。
カマキリはやっと自分を認めてもらえる、と叫びだしたいほどうれしくなった。
そして、年老いたバッタが口を開いた。
「わしらが間違っていた。悪かったな。君はれっきとした昆虫だ。」
他のみんなもカマキリに「ごめんね」や「ほんとに昆虫だったんだね」「これからよろしくね」など口々に
優しい言葉をかけてくれた。
その後……
カマキリは、宣言通りたくさんの友達をつくり、充実した毎日をおくった。
このお話はどうでしたか?
私の経験を少しだけもとにしていて、空想の世界の話にしてみました。
心が温まってもらえたら幸いです。