一章:癒し系?
遅れてすいませんでしたorz
「ここの、“メロスは激怒した”とあり、あと“人一倍正義感が強かった”とあります。その後、城に乗り込みましたが、激怒した理由は、何ででしょう」
ハイ、ただ今昼休みから約5分後、五時限目の国語の時間であります。
前で話している名も知らぬ教師は、中年の男性でいかにも
「メタボですが何か?」な体型の人なのよね。
さて、こんなバカバカしい話を聞くよりも、妄想の淵に沈んでた方が、若者の精神的成長を促せると思うので、Let’s 妄想スタート
「それじゃ、間月君。答えて下さい」
アウチ! 沈もうとした瞬間に、海上保安官達に引き上げられたヨ。
「妹が結婚するのが、シスコンのメロスには堪えられず、妹の結婚相手を社会的に抹殺しようとして罪をでっちあげ、それを王に知らせるために王城に乗り込んだと思います」
「君の、設定を最大限に利用しての妄想は、大変見事です。しかし、ここは貴方の二次創作の発表じゃなくて、教科書に書いてある事実を述べる問いです。そんな人を蹴落とすような歪んだ正義感は要りません」
「スイマセンデシタ」
片言で謝る。それにしても、あのつっこみは優秀だな。さすが名も知らぬ国語教師。だてに国語教えちゃいないぜ。
「座りなさい」
そう言われて俺は座る。
さて、改めて妄想の淵に沈もうかね。
イヤ、妄想っても思春期特有のピンク色の妄想じゃなくて、アレよ? 哲学的な妄想よ?
妄想、妄想うるさいので、もう、ニュートラルな単語“もの思い”にふけろうと思います。
キーンコーンカーンコーン
「じゃあ、今日はここまでです。号令」
オイ、何だよ。俺の崇高なる思考を邪魔ばかりしやがって。
『ありがとうございました』
礼をした後、俺は、机に突っ伏す。
休み時間なら、大丈夫だろう。
改めて、Let's 思考の淵へ
「ねえ、間月君。次は、理科室だよ?」
左手で顔を押さえて、
「運命は、時に厳しい」
某ゲームの某キャラクターの某台詞を言った。何で、お前が知ってんだ? って聞かれたらこう答えよう。作者により、ボケ&つっこみ用の記憶を挿入された、と。
「どしたの? 早く行こうよ」
神科が左手で押さえた俺の顔を覗き込む。大きく澄んだ瞳が、指の隙間から見える。やっぱ、アレだなあ、かなりモテるってのは分かるなあ。何つうか、癒されるもん。ハッ、これが、今回のタイトルの由来か!
「ホントにどしたの? 大丈夫?」
そんな事を考えていると、神科の瞳に不安の色が混ざる。俺が、手で顔を押さえたまま、動かないからだろう。
うわぁ、何かすげえ罪悪感に駆られる。
「イエッサー、問題無いであります。大佐! ところで、斬埼は?」
いきなり、背筋を伸ばし軍隊的な、敬礼のようなポーズをする。
「ひゃっ!? あ、うん、斬埼君は、先にトイレに行ってから行くって言って、終わったと同時に飛び出してったよ?」
神科は、一瞬ビクッとした後、こちらに向いて答える。
斬埼、昼休みの後、理科室知らないから案内しろって言ったのに
「チッ、あの野郎、案内しろ言ったのに。神科、代わりに案内してちょ」
舌打ちをした後、知らないまま理科室に、休み時間内にたどり着ける確率は低いので、神科に頼む。
「うん、いいよ、それじゃあ、行こう?」
「ありがとうございます! 軍曹殿!」
「どういたしまして、って格下げ!?」
神科は了承した後、俺の礼+ボケにつっこみを入れる。おお、予想外なつっこみのスキル。作者は、ほんわかした癒し系を計画していたのに。
そんな感じで、俺達は教室を出た。
私達は、みんなが談笑している休み時間の廊下を歩いている。
私が案内するって事で間月君は、私の数歩後ろにいる。
私達の間に会話はないけど、休み時間の喧騒のおかげで、それほど気まずくはない。
「なぁ、神科、廊下で話してる体育祭とかっていうのっていつやんだ?」
「ふぇっ!?」
間月君が、話しかけてきた。
いきなり、問い掛けられたので、ちょっとびっくりしながら間月君を見る。
長めの髪は、寝癖かなぁ? ボサボサになっている。顔も整っているけど、アイドルみたいなじゃなくて、なんて言えばいいんだろ? 普通に整っている感じ?
そんな感じで一つを除けば、どこにでも居そうな人。そして、一つ平均から外れてるとすれば、髪の毛の半分以上占めた白髪。
「オーイ、神科ぁ、どうしたぁ? 聞いてっかぁ」
「えっ? あ、ゴメン、体育祭は、9月の2週目の土曜日だよ」
考え事をしていた私は、返答が遅れて間月君が妙に間延びした声で聞きながら私の顔を覗き込んできた。
「ふーん、体育祭……ねぇ。こんな暑いのによくやるなぁ」
「あはは、そうだね。私も運動苦手だから」
間月君のダルそうな言い方に、私も苦笑いを浮かべながら話す。
体育祭かぁ。うぅ、やだなぁ。
間月君は、暑いからかもしれないけど、私は本当に運動が苦手。
お祭り事は結構大丈夫なんだけど、みんなの足を引っ張っちゃうかな、と思うとちょっと憂鬱になる。
「まぁ、なんとかなるでしょ。当日は温暖化のリバウンドで氷河期到来とかで」
間月君は、暑いのを回避できれば、どうでもいいらしい。
「それは無いと思うよ」
「じゃあ、学校全体にクーラー設置するとか」
「広すぎるし、屋外だから冷風はみんな逃げちゃうよ」
暑いのは、ホントにダメらしい。
「神科ぁ、こういうのは、想像するだけで良いんだ。辛い現実を見せつけないでくれ」
間月君は、「うあぁ」とか言いながら、両手で頭を抱えてうずくまっている。
精神的ダメージは、かなり大きいらしい。
復活するのを待ちながら、ふと考える。
似ている。コウちゃんに
半分以上占めた白髪。ずっと傍に居てくれた人が頭を掠める。
けど……
ありえない。パパから聞いた。あの人はもう居ないって。
死んだんだって。
けど、名字は違うけど、名前は同じ。見た目だって面影が残っている。
だから、どうしても頭のどこかで期待してしまう。
自分でもバカな事だって思ってる。これじゃ、間月君を見ていない。自分自身を見てもらえないのが、どれだけ辛いのか分かってるはずなのに。
「ホラ、何やってんだ神科。遠い目をして。遠隔透視か? まさか、君も〇眼の使い手なのか? この学校、血継限界いすぎだろ。しかも、〇眼に限って」
「だっ、大丈夫だよ。ちょっと昔を思い出してただけ。チャクラの流れなんて見えないよ」
「ウワォ、知っていたとは意外だな。っつーか、チャクラは、少し伏せ字にしろよ」
「あはは、ゴメン」
「因みに、神科が回想している間に、チャイムが鳴りました」
悪戯っ子みたいな笑いを浮かべながら、間月君は、爆弾発言をする。
あの笑い方も、一度意識しちゃうと既視感を覚える。
その前に
「えぇっ!? もう鳴っちゃったの!?」
うわぁ、遅刻だ。早くしないと。
「早く行こう、間月君っ!」
「ウィース」
そう言って、いつの間にか、みんなが教室に入った廊下を走る。
理科室は、もう見えているから、間月君も後ろじゃなくて、並んで走ってる。
もう少しで……
遅刻ギリギリのような描写だけどもう遅刻してるんだよね。そんな余計な事を考えていると
「わわわっ」
足がもつれて転んだ。
うう、痛い。 立ち上がる瞬間に、間月君が
「これって、癒し系なのかなぁ、見ている分には癒されるんだけど」
数歩先で、そんなことを口に出していた。
? 癒し系って?
理科室に着いた俺達は、先生の注意を受けながらも、自分達の班の所へ行った。
「遅ーぞ。間月に神科さん」
「ごめんなさい」
素直に謝る神科、君の心は、純粋だよ。だがオレは、
机にそんな事をのたまう斬埼の脳天に肘を落とす。
「遅刻したのは、謝ろう。だけど、テメエにも謝罪の言葉があるだろう?」
置いていったバカに謝罪を促す。
「頭がっ、ヤバイ、記憶がっ、飛ぶって」
「オラ、悶えてないでさっさと答えろ」
「ホントッ、痛い。っつーかさぁ、お前ヘタレだったじゃん。なんでそんなに攻撃的なんだよ」
「なんとな……逃げ切るためには、ある程度敵を弱らせないとな。さっさと答えろと言ったはずだが」
「なんとなくって言おうとしたよな!? なんで謝らなくちゃいけねんだよ。八つ当たりは良くないぜ?」
「あぁ、約束を破るところか、忘れてることはヒジョーに良くないな」
「約束? お前とそんなんしたっけ?」
「神科、今日の授業って硫酸使うよな?」
「うん、今日は、金属の分解だから使うよ」
「うわぁ、ちょっ、待っ、思い出したから! 案内するの忘れててゴメン! だから、硫酸は、カンベンして!」
「やっと思い出したか。だけど、不良に2回もエンカウントしたり、約束破られたりしてムカつくから断罪」
「ふざけるなあぁ!」
「大丈夫だよ、斬埼君。ギャグキャラの回復力は、ラスボスより高いから」
「ちょっ、神科さんまで。っつーかオレ、今までのトータルするとつっこみじゃん!?」
「たかが、登場して3話目で何を言うか。今までのは、作者の技術が未熟だっただけだ」
そう、全ては設定を活かす文章力&構成力のスキルがまだ未熟な作者が悪い。
よって俺が斬埼を処罰しても責任は、作者になる。
では――
「さよーならぁ」
「やめろおぉぉぉっ!」
「何をしてるんです? さっきからあなた達は」
悲鳴をあげる斬埼を無視して、硫酸の入ったビーカーを振ろうとすると、俺のビーカーを持った方の捕まれた。
「あなた達、そんなに硫酸を浴びたいのなら、かけてあげますよ?」
俺の手を掴んでいる反対側の手には、やはり同じように、ビーカーに透明な液体が入っている。
「イヤ、そんなのは、俺じゃなくて、M気質な斬埼君だけが望んでます」
「Mじゃねぇ! 先生、コイツが浴びたいらし「これはですねぇ、私の自信作でして、私独自に考えた方法で濃度をあげましてね。おそらく、教材用の原液より2、3倍は高いでしょう。怖くてまだ試していませんが」……はい?」
斬埼も、俺になすりつけようとするが、それを遮って説明し始めたそのビーカーの中身に、斬埼は続きを忘れ、その液体の概要を聞き返した。
「いやぁ、苦労しましたよ。化学部そっちのけで準備室に引きこもって調整してたんですが、試作品なんかビーカーまで溶かすようになっちゃいまして」
いたよ、こんなマンガみたいな狂った化学者が。
しかも、こんな普通の公立中学校に。
「先生、とりあえずボク達は、バイオ〇ザードみたいな身体にはなりたくないんで」
あんな筋肉とかが露出した生物にはなりたくない。
「強力でまだ有機物には、使ってないんですけど、生徒が志願してくれるとは」
「いや、志願してませんよ。っていうか、生徒を実験台にしちゃダメでしょ!」
次は、斬埼がつっこむ。マジで生徒を実験台にしたらまずいだろ。
「で、最初どこにします? 手にしますか? それとも腹? あぁ、粘膜には、どういうことになるのかも試したいんで口の中にもやってみたいんですが」
聞いてねえぇぇ!
「オイ、間月、聞いてないぞ!?」
「分かってるっ!」
ヤバイ、どうする? 俺。前後左右の班は、避難している。みんな、怯えた目で「お前等がどうにかしろ」な、目線を送ってる。
ヤバイ、援軍は望めない。先生は、目が据わってきている。
「先生、とりあえず授業を続けましょう」
斬埼が今更なことを言う。
「フフフ、コレが成功した暁には、オレを追い出した大学にコレを……、フッ、ククククッ」
「先生えぇぇっ!?」
ヤバイ、本格的にヤバイ。一人称が変わってるもん。っつーか、大学追い出されたのかよ!
「こうなったらあぁ……」
こうなったら? 策でも思いついたのか?
「神科さんの癒しパワーで止め「アホかあぁぁ」グハッ」
コイツに期待した俺がバカだった。
アレ? さっきまでいた神科は?
「うぅっ、今回は、私の紹介なのにっグスッ。いつの間にか忘れられて、イレギュラーで出来た理科の先生とのコメディになってる」
……居た。避難している他の班に混じりながら拗ねてる。
しょうがないじゃないか、全部未熟な作者が悪い。
「神科さん! あなたの力であの狂った化学者を止めて下さい」
斬埼も、見つけたようでいつの間にか神科に懇願している。
「グスッ。えっ? 私が?」
ムリに決まってんだろ。忘れてたんだぞ? 普通は断るよ。
「できるかどうか、分からないけどやってみるよ」
マジで!? めっちゃ心が広いよ。聖母やぁ。
神科は、コッチを睨んだ後、先生の方に行った。
睨んだ? 何故? 何故俺?
「大学のバカ共に思い知らせてやる。このオレの知力を! 偉大さを!」
斬埼には普通で俺が何故?
そんな場合じゃねえ! 先生のアレは、もはや教材じゃねえ、兵器だ。
止めに行かないと
「先生、もうやめて下さい。授業を続けましょうよ」
「神科っ! 離れろ」
「っ!? 神科さん!? いや、スイマセン。これは、その、あの」
アレ? 正気に戻ったぞ。それどころか、テンパり始めたぞ? 顔も赤いし。
テンパる? 赤い?
……
……
……イヤイヤ、ないない。先生が神科に惚れてるなんてありえない。っつーか許さない。主人公をないがしろにして禁断の恋愛なんて。もうちょい、せめて斬埼辺りだったら応援するが。
「先生、授業続けましょう?」
「えっと、その……ハイ、そうですね。それでは、皆さん授業を再開します」
先生は、顔を赤くしながら黒板の前へ戻っていった。それに合わせて避難していた他の班も自分達の場所へ戻っていく。
「あの先生は、ロリコンで神科さんに惚れてるらしいからな。予想通りだ」
マジかよ。
「いやぁ、それにしても先生のあんなところなんて初めて見たぜ」
俺達も席に着く。
「それでは……」
先生の説明が聞こえる。もう一度、道具を取りに来い、とかそういう話らしい。
「じゃあ、オレは、道具取って来るわ」
斬埼は、そう言うと席を立ち準備室に向かっていった。
「オイ、神科、何でさっき俺だけ睨んだんだ?」
暇だから、隣で実験の方法を板書している神科にさっきのことを聞いた。
「えっ? あ、なんでもないよ? その……うん、なんとなく」
少し顔を赤らめながら、両手を胸の前辺りで左右にバタバタ振りながら、答える神科。
う〜ん、やっぱ癒されるわぁ。
っつーか、なんとなくかよ!
っつーか、疲れた。不良とのエンカウント2回にマッドサイエンティストとのプチ騒動。
すっごい1日が濃いんですけど。
俺の目指す学校生活の180度逆をいってるんだけど。
「オォイ取って来たぞ」
「そいじゃ、始めるか」
斬埼が帰って来て、実験を始める。
そんな感じで今日最後の授業も終わる。
ハイ、放課後〜。
帰りのホームルームとかは、もう今回の字数もヤバイんで割愛。
「間月、そういやお前って部活どこに入るんだ?」
「そういえば、私も知りたい」
斬埼が、鞄に教科書を入れていると、話しかけてきた。神科も、一旦帰る用意を中断して聞いてくる。
「まだ、決めてないピョロよ。お前等は……、斬埼は剣道部か、神科はどこに入ってるんだ?」
神科は、どこに入ってるんだろ?
「私は、どこにも入ってないよ」
「ってことは、帰宅部か」
「うん……。習い事とかが忙しいから」
神科が残念そうに肩を落とす。
けど、俺も帰宅部が良いなぁ。楽そうだし。
「じゃあ、俺もそうすっかなぁ」
「部活見学は、しないのか?」
「めんどくさいからいい」
「見学ぐらいしろよ。いいのが見つかるかもしんねえぞ。願わくば剣道部に!」
「いや、もう決めたから。見学ぐらいは良いけど、疲れてっから明日以降な」
「ちぇーっ、まぁいいや、オレは、部活行くぜ。また、明日な」
「オウ、じゃーな」
「斬埼君、またね」斬埼は、鞄を持って出て行く。
「うっしゃ、俺達も帰っか」
「私は、このあとちょっと高崎先生に呼ばれてるから」
神科は、申し訳なさそうに答える。
まぁ、いいけどね。
「そか、んじゃな、神科」
「うん、また明日」
そう挨拶を交わすと俺も教室から出る。
なんかすごい1日だったなあ。
あの先生、結局名前分かんなかったなぁ。
前回の後書きにやる予定だったキャラ紹介を
間月 煌
身長 168cm 体重 55kg 容姿 中の中
髪 長めでボサボサ、黒髪と白髪がほとんど半々 瞳 黒
後書きに書けるのは、このくらいです。要望があれば、一話分使って、他のキャラと一緒にもうちょい詳しい説明を入れるつもりです。
それでは、さようなら。