一章2:ヘタレ?
やっと少しハッチャけてきたかな?
転校して次の朝、俺はあのクソウザイ日光を浴びながらベッドから上半身を起こしてまどろんでいる。
「やっぱ、眠れなかった」
俺は、二ヶ月に一度ぐらいしか、熟睡できない。それ以外はずっと起きてるかというと、そうでもなく起きた直後のような半覚醒状態でいる。そういう訳で、今もボーッとしているんだ。
それでも、ずっとこうしているわけにもいかない。
「起きるか――」
枕元にあるケータイを見ると、ただ今――
5時17分
イヤ、早く起きすぎだろ(眠ってないけど)! さて、ど−すっかなぁ。
うん、とりあえず着替えよう。
ベッドから出てタンスから着替えを取り出す。この時間から制服でいる気は、毛頭ないから、テキトーにTシャツ等を取り出す。白い半袖のTシャツに淡いグレーのジーンズ。これらを取り出し着替える。
センスが無いだって? 服なんて着れて、機能性に優れてりゃ良いんだよ。
さて、着替えたことだし、朝飯の前に軽く運動でもするかな。
ハア、まさか、時間を忘れる程やっちまうとは……
軽くランニングしに家を出て帰ってきた後テレビを点けたら――
『ただ今7時58分、ただ今7時58分』
昨日と同じ声が聞こえた。
アレエェ? なんでこんな時間? まだそんなに走ってないと思ったんだけど。
だって、まだ町内を――
そんなこと言ってる場合じゃねえ!
軽く汗に濡れたTシャツを洗濯機に突っ込む。シャワーを浴びる時間は無いから掛けてあったハンドタオルを水で濡らして身体を拭く。その後、部屋に戻り制服に着替える。そして、昨日と同じようにトースト2枚と牛乳1杯を胃に流し込む。ここまで10分。やる動作が昨日より多いため、所要時間が同じってことは、かなり頑張ったな、今日の俺。玄関で鍵を掛けると、Let’s ゴー!
学校に着いた俺は、教室に向かう。
結局遅刻だ。だけど、5分程の遅刻のはずが、イロイロあって学校に着いたら1時間目が始まってしまった。確か、俺等のクラスは、数学だったな。そう考えていると教室に着いた。
教室の後ろのドアの前に立ち、横へスライドさせる。そして、中へ入ると――
「遅刻だぞ、煌。初日、今日と二日連続だぞ」
「すいません、ちょっとイロイロあって」
高崎先生が、遅刻宣告。俺は、謝って遅刻した理由を言おうとすると、
「ふ〜ん、でも遅刻な」
「マジッスか? 普通理由聞かないッスか?」
先生は、普通に流した。え? こういうのって理由聞かなきゃダメじゃね?
「知るか、んなもん」
「ちょっ、横暴だ! 理由くらい聞いてくれてもいいじゃないスか!」
「黙れ、うるせーと、数学に煙突建てるぞ、コラ」
「すいませんでした」
速攻で謝る俺。
あの先生ならやりかねない。俺だって通知表に1は、付けられたくない。そう思いながら、窓側の後ろから2番目の俺の席に座る。
「朝っぱらから、災難だな。間月。――で、朝何があったんだ?」
前のヤツが振り向いて聞いてきた。ツンツンした黒髪、顔は、整っていて、アレだ、ジャ〇ーズ系っていうヤツか? 作者もジャニーズ系のことはよく知らないが……
斬埼 剣――、昨日、俺に変な質問ばかりしてきたバカで、昨日一日でいつの間にか友達的ポジションに就いたヤツだ。
「イヤな、遅刻しそうで、走ってたら風空学園の制服着たヤツ等に絡まれてね」
そうなんだよ、絡まれてて逃げ回ってたら、こんなに遅くなったんだよ。
あーっ、思い出したらムカついてきた。ぶん殴ればよかった。イヤ、実際にはやらないよ? 面倒事は嫌いだし。
「風空学園のヤツ等にか? 何があったんだ?」
斬埼は、驚いて目を丸くする。
風空学園と言えば、生徒数1000人は越えるマンモス校で、偏差値40〜75以上と、かなり広く生徒を採っている。
そんだけ広く採りゃバカもある程度入ってくる訳で
「信号が赤で待ってたら金貸してくれってな。――で、青になるまで時間稼いだ後、ずっと逃げ回ってた」
イヤァ、疲れた疲れた。ずっと追いかけて来んだもん。普通さ、諦めない?
「何だよ、ボコッちまえばよかったのに」
「イヤ、無理だから。相手高校生だぞ? むしろ、マジで金渡しちゃおうか、迷ってたよ」
面倒事は、ウンザリしてんだよね、ホント、マジで。
「んだよ、ヘタレてんなあお前。オレだったら、ボコボコにして返り討ちなのに」
そりゃ、剣道部の主将なら返り討ちにできるだろうよ。
ヘタレ? ヘタレ上等! 俺は、平凡で楽しい日常生活が送れりゃ、それでいいんだ。俺が目指すは、普通の学生。大人たちは、今は軟弱な子供が増えたというが、それは違う。危険察知能力が成長したと言ってほしいね。長い間、世間から離れててた俺が言うことじゃないが。
とにかく!
楽しい学校生活を送りたいのに、何が悲しくて転校2日目でV,S不良ライフにシフトせにゃいかんのだ?
「いいんだよ、ちゃんと撒いたから。その後来たんだから、100パーあいつ等に学校の場所は割れてない」
「でも、お前、制服着てたじゃん」
「……」
――忘れてた。どうしよう、俺の楽しい学校生活があぁ……
「ま、オレがいたときは、オレがノしてやっから気にすんな」
な〜んてな
「大丈夫、アイツが、どこのヤツだ? って聞いてきたから隣町ですって言ったらあっさり信じやがったからね。バカだぜ、アイツ。隣町のヤツが朝から、しかも制服でいるわけないのに」
アレで偏差値40もあんのかよ。
「騙された振りかも知んねえぞ?」
「ナイナイ、オレが撒いたときの決め手が、アイツの"どこ行った"に対して、隠れて声色変えて右に行きましたよー、って言ったら、飛んでったんだぞ」今、思い出しても笑えるね。あんな、バカなの思い出したらムカつきがおさまったぜい。
「ブハハハハ、それホントかよ!? ――アレ? オイ、シカトすんなよ」
斬埼が大笑いした瞬間、オレは今更だが、授業の準備を机から出した。因みに、この教室も静まり返ってる。
さて、読者の方々に問題!
斬埼が大笑い
今は、授業中
そんでもって、クラスが静まり返る
何を意味するか分かるかな? 分からない人たちは、明日学校でやってみるといい。
「オイ、シカトすんなよ」
俺が無視したのが気に食わないのか、語調を荒げる斬埼。
バカかコイツは――
「オイ、間づ「剣ぃ、テメエさっきからうるせーぞ」き……」
後ろには、二つの三角定規を装備した、タ・カ・サ・キ・セ・ン・セ・イ
さ〜よ〜なら〜友よ〜さよ〜なら〜友よ〜(友よ)わすれ〜まいこのひを〜い〜つ〜まぁ〜でも〜♪
頭の中で小学校の卒業式で聴いたような歌が流れる。
じゃあな、斬埼。君の事は、忘れないよ、きっと……
「お前もだ、煌」
「何故にっ!?」
バカな、斬埼が大笑いした瞬間に用意を準備するフリをしたはずなのに!
ハッ、まさか、先生は血継限界を――
「先生、あなたはまさか三大瞳術の〇眼をエブッ!?」
三角定規の細長い方(直角三角形)で眉間を突かれた。
「オレは、点穴も視えないし、透視もできん。あんだけ騒いでりゃ、分かるわ」
なんだと――あえて泳がせていたというのか。
――こやつ、できる。
「お前等、マジで煙突建て「すいませんでした!」る、オ、オオ」
速攻で謝る俺に先生もちょっとヒイている。
斬埼はというと、俺が頭ん中で歌が流れている内に細長い方の三角定規で脳天を叩かれ床で悶えてる。
「まぁいい。授業続けるぞ。」
ヒイているのから復帰した先生は、教壇へ帰っていく。
フゥ、やっと授業か(誰のせいで遅れた)。
ん? 斬埼。
どっかのお告げを斬って捨てる。
昨日は、給食食ったらすぐ帰ったから、今の授業が初授業か。
「そうだ、煌。教科書まだないだろ。隣のヤツ、唯香、見せてやれ」
「はい、間月君、これ」
隣のヤツ――神科 唯香は、こちらに机を寄せて教科書を左側、つまり俺の方に置く。何故か、周りから殺気が送られ――贈られてくる。
「サンキュ」
神科とは、昨日質問コーナーの後、給食の準備中に仲良くなった。この学校は、給食は生活班でたべる。そんで、神科は、隣なので班の形にすると俺の前にくる。その時に、話して仲良くなった。
え? 見た目? さっきから殺気を贈られてるんだ、分かるだろ? さっきと殺気を掛けてみました。
……
……
ゴメンナサイ、ホントゴメンナサイ! ブラウザ閉じないで! で、何だっけ? そう、神科の外見だったな。
えーっとね、ぶっちゃけかなり可愛い。
明るいブラウンの髪をセミロングにしている。
顔も整っていて、大きく透き通ったブラウンの瞳。鼻筋もスッと通っていて、頬は、赤みが差している。美人というよりは、可愛い系だね。斬埼によると、学校のアイドルらしくて、告白された数が50を超えているとか。何でそんなに詳しいのかを聞くと、昨日、今日と風邪で休んでいる俺の後ろの席が情報通で以前教えて貰ったらしい。
「? どしたの、こっちばかり見て」
ウォイ、解説しててボーッとしてたらしいな。
「イヤ、なんでもないよ。ちょっと説明してただけ」
「?」
神科は、“?”マークを頭の上に浮かべながら首をかしげる。
うん、可愛いね。告られたのが50回以上ってのは本当らしいね。
――変わってねえよな。
「で、今ってドコやってんの?」
「えーっとね……連立方程式の解の求め方をやってるん――」
キーンコーンカーンコーン
神科が言い終わるか終わらないかでチャイムが鳴った。
「ハイ、今日の授業終わり! 煌、今みたいに次の授業からも唯香に見せてもらえな。じゃあ、号令」
そう言うと、学級委員が号令をかけた。
『ありがとうございました』
先生は、オウ、と返すと教室を出た。
俺の4年振りの授業は、雑談&解説で終了。
ハァ。
その後は順調に授業をこなしていき、ただ今、昼休み。
オイ、作者。何故、俺のスンバラシイ授業態度を映さん?
え? 面倒臭かった? 潰すぞ、コラ!
……
……
……
……スイマセン、出番減らさないで。俺一応主人公だから、こんな序盤で出番減らされると話が成り立たないから。イヤ、ホントゴメンナサイ。
「オーイ、間月。お前何で頭下げてんだ?」
「イヤ、作者様に俺の誠意が伝わるようにな」
「作者に? 何やらかしたんだ?」
おぉ、番外編でもないに作者で話が通じたぞ。そんな、俺達がいる場所は、今だに強い陽射しが降り注ぐ屋上でございま〜す。
あ〜ダリィ。
何でこんなとこに連れて来たんだよ、斬埼は。
俺は、暑いのダメなんだよ。一章の1にも書いてあんだろが。ちゃんと、それなりの理由があるんだろうな。
「イヤー、気持ちいいね。この爽やかな青空の下、この日光を嫌いなヤツがいたら見てみたいね。そう思わないかい、間月」
潰したろか、コイツ。俺は、朝から走って疲れてんだよ。俺の貴重な回復時間を潰しやがって。
「お前、そんな事のためだけに、俺をここまで連れて来たのか?」
潰す気満々だが、あえて確認のために聞く。
「あぁ、そうに決まってんだろ。こんな素晴らしい場所を教えてやったんだ、感謝しろよ、ってアレ? どうした、俯いて。感激して声も出ないか?」
キュピーン! 煌君脳内裁判でこのバカは、有罪の判決が下りました。煌君は、かなり頭にキてるので控訴、上告は、受け付けません。執行猶予は、無し! Let’s 断罪。
「テメエ、俺は、朝っぱらから不良とのランチェイスで、疲れてんだよ。しかも、俺が暑いの苦手と知って、こんな残暑の陽射しがバリバリ当たる場所に連れて来たのか? 来たんだよな? そうだよな? よし、潰す!」
バカに有罪判決を言い渡した後、俺は俯きながら、ゆらゆらと斬埼に近づいていく。
「ア、アハハ、間月君? 暑いの苦手だって今知ったんだけど」
知るか、俺の回復時間を奪った罪は重い。
「そ、それに、ほ、ほら、見上げてみろよ。あんなに綺麗な空見たら、あ、暑いのなんか、わ、忘れられるぞ」
「忘れられるかあぁ、このクソヤロー!」
「あぁん!?」
バカを殴ろうと振りかぶった瞬間、後ろから、ヤンキーな声が聞こえた。
「クソヤローだと、テメーコラ! 舐めとんのか」
ギギギ、と油の切れたロボットみたいに首を後ろに回す。
「ちょうどいいじゃねぇか宮内、コイツ等、ボコッてストレス発散しようぜ」
「イイネェ、そうすっか、あの先公共にどやされた分、コイツ等で、遊ぶか」
そこに立ってらしたのは、見るからに、暴れてますよー、的なカンジのお二方。宮内って言われたのが、金髪で両耳に派手なピアスを着けた長身の男。
んで、もう片方が、俺達より少し小さく、ガッチリしたスキンヘッド。
ハァ、朝、昼となんでこんなに絡まれるんだか。不良との遭遇率高すぎだろ。本当に、V,S不良ライフが幕を上げちゃうよ?
とりあえず――
「イ、イヤ、先輩方に言ったわけじゃないですよ? ホントスイマセン」
謝る、全力で。それが、安全。それが、最良策。
「あぁ? 許さねえよ。おとなしく、オレ等に殴られろや」
「待てよ、中島。それじゃ、つまんねえだろ。オイ、白髪。お前が土下座したら、“考えて”やるよ」
スキンヘッドは、中島とか言うらしい。っつーか、土下座!? まぁいいか、その程度で済むんなら。
そう思って土下座しようとすると
「オイ、待てよ。アンタ等。自分が悪いのにオレ等に八つ当たりするなよ」
斬埼が前に出て、二人組に言った。
「んだよ、テメーはよ。土下座すれば見逃してやるって言ってんのに。アー、もう許さねー。テメー等後悔すんなよ」
「テメー等こそ、後悔すんなよ。こんな爽やかな気分を台無しにしやがって」
あーぁ、せっかく謝れば許してくれたのに。嘘だとしても、隙を突いて逃げる事も出来たのになぁ。
「テメー、調子こいてんじゃねぇぞ、コラァ!」
スキンヘッドが斬埼に殴りかかる。しかし、斬埼は、軽く左手でいなしてカウンターで右ストレートを顔面に入れる。のけ反ったところに左の足刀を鳩尾に入れて、そのまま左足を戻さずにスキンヘッドのバランスを失いかけた足元を払う。
「ギャピッ!?」
面白い声を上げて仰向けに倒れる。
「テメー、調子んノリ過ぎなんだよ! 死ねやぁ」
スキンヘッドの足元を払っている隙に、俺と斬埼の間に入り込んだ金髪が後ろから殴りかかる。っつーか、コイツ等俺の事忘れてるよな、ラッキーっちゃラッキーだけど。
「遅いんだよ!」
斬埼は、振り向くと同時に回し蹴りを放つ。いわゆる、後ろ回し蹴りって言うヤツ。金髪は、突然の事に反応するが、出来たのは殴りかかるスピードを緩めることだけ。そのまま、金髪の頭に蹴りが打ち込まれ昏倒した。
「あべしっ」
オォ、断末魔が某世紀末の格闘漫画だ。
「フウ、雑魚が!」
斬埼が使い古された凡庸格闘漫画モノの、捨て台詞を吐く。
斬埼の前と後ろには、白目をむいたスキンヘッドと金髪が倒れている。
「っつーかお前ホントにヘタレだなぁ。すぐに土下座しようとするなよ」
俺の方に向くと、斬埼は、そう言った。
「あれで、済むなら安いもんだって。プライドなんて下らないもんで護れるもんなんて、たかが知れてる」
そーそ、ヘタレで楽出来んなら、喜んでヘタレを演じよう。必死になるのは、もう疲れた。
「何だそりゃ。漫画のクールな脇役っぽい事を言って。結局逃げてるだけのヘタレだろ」
「良いんだよ。三十六計、逃げるにしかずって言うだろ?」
暴力で解決なんてナンセンスだ。
「そうかぁ? お前は、悔しく無いのかよ」
「さっきも言ったろ。プライドで護れるもんなんてたかが知れてるって。ほら、授業が始まっちまう。早く行こうぜ」
もうそろそろ、チャイムが鳴るはずだ。ハァ、結局休めなかった……。
キーンコーンカーンコーン
「ホントだ。ヤベーぞ、早くしろ」
オイ、お前が忘れてたんだろうが。そう思ったが
「ヘイヘイ」
そして、俺達は、教室に戻って行った。
思ったけど、あのスキンヘッドと金髪、名前だす必要あったか?
「オーイ、間月早くしろー」
……ま、いっか。
煌:さて――遅れた理由を聞こうか?
五:すいません。いつもは、ケータイで書いて、パソコンで修正して投稿してるんですが――
煌:さっさと話せ
五:私情でドタバタしてて、出かけた先でもケータイ忘れてて、書き終わってもパソコンがなかなかし ようできなくて
煌:誰が悪い? こんな駄作でも読んでくれてる人様がいるんだぞ
五:ホント申し訳ないです。っていうか、お前ヘタレだろ? 何でそんな強気なんだよ!
煌:お前がそう書いてるんだろ。それでは、次回もよろしくお願いします!
五:まぁ、そうだけどさ。あっ、テメエ抜けがけすんな! よろしくお願いします