一章1:転校生
最初にちょっとだけシリアスなのが混じります。
朝だ。
窓から差し込む日の光がベッドの上の俺を照らす。普通の人なら爽やかだなあ、とでも思いながら目を覚ますだろう。
――が! この今の煌君には、ウザイことこの上ない。
久しぶりに熟睡したと思ったら、案の定あの夢を観て寝覚めは、最悪だ。
そこへ、朝とはいえ暑さの残る――否、まだまだ暑さ現役、9月初旬の日光を浴びるとなると、暑いのダメな&低血圧な俺の寝起きを挫くには、十分な材料となる。
まぁ、そんなことは措いといて、俺はちょっと急ぐ。転校生が初日から遅刻というベタなまねは、したくない。学校……ねぇ。4年ちょっと振りか。あれからずっと行ってねえもんなぁ。
『お……まえはっ、生き……て前……に進め。お前に……こ……こは、似合わ……な……い』
頭の中で、言葉が反芻される。分かってる。だから今日から行くんだ。俺らが願った夢、それを果たすために。
もの思いにふけりながら、居間のテレビをつけると、
『ただ今7時58分、ただ今7時58分』
「ぶっ!?」
目覚まし時計型の手足の生えたニュースのマスコットキャラが現時刻を言いながら飛び回っている。
思わず吹き出した。イヤ、何も口に含んでないけどね。何かノリで。
んなコトはどーでもいい。ヤバくね? 俺が行く中学校ってこっから走って15分はかかるよ。ベタが現実のものに!
俺は、急いで制服に着替え、食パン2枚を焼かないまま何も付けずに食べた後、コップに注いだ牛乳を一気飲み。ここまで10分。意外と常識の範囲内の時間。歯を磨いて、髪の毛――はいいや、面倒臭い。どうせ、いつもほったらかしだし。
カバンを持って、外へ出て鍵を閉める。ケータイで確認すると8時15分。
マジでギリギリじゃん。
ケータイをポケットに入れると、Let`s ダッシュ! 俺は転入する中学校へ走る。
「あちい〜」
何故夏休み明けはこんなに暑い。神様もひどいぜ……まったく。休み明けの鬱な気分を増長させないでくれ。目○ましテレビの天気予報じゃ、
『8月上旬の暑さになるでしょう』
ホントやめてくれ。夏は好きだけど、テンション下がる日はやめてほしい。
「剣いぃ、元気かぁ!」
心ん中で愚痴ってると、この〈転校生〉の話しか出る予定のない、名も無き部活の友人が話しかけてきた。
「ひどっ! そりゃねえよぉ」
「黙れ、”名も無き友人A”。テンション下がってんのが分からんか、”名も無き友人A”
、っつーか、そのキャラはオレだ」
「強調するな! ねえ、ホントにオレ出ないの? 名前無いまま消えてくの?」
その予定です。By 作者
「そんなあ」
「黙れ」
オレは、名も無き友人Aを少し殺気を込めて睨む。ところでオイ作者、人の思考に勝手に進入するな。
「ごめんなさい、なんかもういいや。それは措いといて、剣、今日転校生来るらしいぜ」
半泣きで謝った後、奴はもう諦めたような顔をして本題に入った。
ふむ、転校生か。
面白そうだな。っつーか、何で知ってんだ、コイツ?
「何故なら、氷室の弟に聞いたからだ」
あぁ、あの情報兄弟か。男子か、女子か、どっちか――
「男子らしいぞ。んでもって、お前のクラスに入るらしいな。これで、女子が来ればラブコメフラグが立つんだが」
女子じゃないか……戻りかけたテンションが少しダウン。オレのクラスか。どういう奴かな
「なんか、白髪がすげえ多いらしいぞ」
今まで、スルーしてたが……
「テメエ、いい加減にしろよ、コラ。コメディの伝家の宝刀、”相手の思考を読む”を使い捨てのテメエが気安く使ってんじゃねえよ」
「すいませんでした」
また半泣きになりながら謝る友人A。転校生のことは、大抵分かった。これ以上はあのバカ(友人A)に聞いても分からないだろう。転校生のことを頭の隅に措いておくとして、始業式のバカ長い校長の話をどうやって時間潰すかを考えよう。
「転校生のことは、それぐらいしか分からん。んでさあ、『キーンコーンカーンコーン』うわっ、チャイム鳴っちまった。じゃあな、剣」
話題が変わった瞬間、予鈴が鳴った。友人Aは、チャイムが鳴ったら走ってっちまった。
ああ、じゃあな、友人A。この場でも、この小説でも。
オレは心ん中で、別れの挨拶をすると、オレも教室へ向かって走る。
「ぐはぁ〜。疲れた〜〜」
何とか休み明けに遅刻は免れたが、やっぱ、朝からダッシュはきつい。
席に付いた瞬間、オレは机に突っ伏すと前方の扉が開き、担任が入ってくる。
「おらあ、お前等、席に着けえ」
若くゴツい担任は、高崎先生。体育かと思いきや、数学という教科を教えている。体育会系で厳しそうだが、意外と
「これ終わったら、始業式だ。お前等、校長の長話には、頑張って耐えろ。オレは、サボってるがな! フハハ」
適当で、この学校の中では1番生徒の心が分かっているといわれ多くの生徒に慕われている。因みに愛称はタカチャン。
「ああ、そうだ。うちのクラスに転校生来るからよろしく」
高崎は、思い出したかのように言った。まあ、こう来ると質問をぶつけたくなるのが生徒の性でみんなで質問をぶつける。
「男子ですか? 女子ですか?」
「外見は?」
「どこから来たんですか?」
「住所は?」
「電話番号は?」
待て、
「メルアドは?」
「好きな食べ物は?」
待て、待て、待て
「趣味は?」
「部活は?」
待て待て待て待て。おかしいぞ、3つ目以降は本人に聞くべきだろう。
「男子だ。外見は、まだ見てないから知らん。それ以降は本人に聞け」
「タカチャン、ナイスツッコミ!」
思わず、声に出してしまった。みんながこっち見てる。冷たい目で……。『何だよ、斬埼(オレの名字)、空気読めよ』的な目線が突き刺さる。イヤア、助けて。
「オウ、サンキュー。オラ、お前等時間だ急げ」
心ん中で震えてるとタカチャンが礼を言い、オレ等に指示を出した。みんなは睨むのをやめて、式へ向かう準備をしている。ありがとう、タカチャン。
「やっと着いた」
ただ今、約8時35分。走ってる間にチャイムが聞こえたからそのぐらいだろう。確か、始業式が、8時半からだったから…………………うん、遅刻だ♪
とりあえず、職員室に行かないとな。式中だけど、誰かいるだろ。一階を彷徨うこと30秒。速攻で見つかった。さて、中に入んないとねぃ。
「失礼しま〜す」
ドアを開けて中に入る。――誰もいない。あれ? 間違えた? イヤ、それは無い。だって、職員室って書いてあったし、中もデスクワーク用の机だし、イスだってくるくる回る奴だし。
「オーウ、コッチだコッチぃ」
そんなことを考えてると、配布棚らしき棚の後ろから男性の声が聞こえた。声がしたほうに行くと、若くゴツい男の人がコーラをラッパ飲みしてた。しかも1.5リットルのヤツを。
「遅刻だぞ、転校生。遅すぎるから、モン○ンのリ○レウスを5回も狩っちまったぞ」
モン○ン? ああ、最近流行のゲームだっけか。っつーか、5分くらいしか遅れてないけど?
「まぁいい。それにしても白髪多いなあ、お前。半分くらいは白髪じゃねえか?」
「あはは、先生ですか?」
「おう、お前の――間月 煌だったか、煌のクラスの担任、高崎 剛だ。よろしく」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
白髪が多いことで苦笑しながら聞いた。相手は、担任だったらしく、挨拶をしながら手を差し出す。俺は、挨拶を返し、礼をした後手を握り返した。
「始業式終わったら、教室で自己紹介な。オレのクラスは、個性的な奴らがたくさんいるからな、覚悟しとけよ?」
「はいッス」
自己紹介ねえ。何言おうかな? とか考えていると、高崎先生が話しかけてきた。
「煌、式が終わるのを待つのも暇だろ。何かやろうぜ。モン○ンは、生徒だから、ダメだな。ウシ、ボードゲームにすっか。チェス、オセロ、将棋、囲碁、人生ゲーム、ほとんど揃ってるぞ。何がいい?」
オレに拒否権無いのね。まあいいか、どうせ、ホントに暇だし。どれにしようかねぃ。チェスがあったか、よしチェスにしよう。
「いいッスね、じゃあ、チェスやりましょう」
「オ、チェスか。いいだろう。オレは、結構強いぞ? 1つ自慢するとオレは国際審判だ」
「マジッスか!? すごいじゃないですか」
国際審判か。どのくらいかな〜。
「おぉ、分かってくれるか。クラスの奴らはみんな分かってくれなくてよ」 「まあ、チェスにはクラスだけで、プロとかはないッスからねぇ」
「そうなんだよ、将棋とかと違って、外国のボードゲームだし、オセロと違って、ややこしいだろ? だからなあ」
話してる間に、高崎先生は自分の机の引き出しからチェス版と駒を用意し、俺も駒を並べている。チェス……かぁ、久しぶりだな。
「――で、どっちが白にする? トスか?」
「先生のすきなほうでいいッスよ?」
「そうか、じゃあオレが白な」
「じゃ、俺は黒ッスね」
チェスは、白が先行、黒が先行と決まっている。俺が後手か。
「よし始めるぞ。そら、最初はここだ」
高崎先生は、最初に俺から観て右側のナイトを前に出した。
「じゃあ、スタンダードにこれを」
俺は、真ん中のポーンを2マス進める。
「ほい、ここ」
「俺はここッス」
そうやって、進んでいき……
「はい、チェックメイトッス」
「ガアア、負けたぁ」
俺がクイーンを端に追い詰めたキングの隣に置く。クイーンを取ろうにもナイトが効いていて取れない。要するに、オレの勝ち♪ いやぁ、強かった、強かった。最初に先生が手ぇ抜いてなかったら負けてたな、うん。
「煌、お前、かなり強いな。やってたのか?」
「はい、じいちゃんや、前居た場所の友達とかと」
「そうか、そろそろ式も終わるはずだ。また今度打とうぜ」
「そうッスね、先生今度は、最初から本気でお願いしますよ?」
外が、騒がしい。先生の言う通り終わったようだな。さて、これから俺の普通の学校生活が始まるわけだ。ちょっと緊張するね、やっぱ。
「ほら、いくぞ、煌」
いつの間にか先生は、チェス版を片付けていて入り口の近くで俺を呼ぶ。
「はいッス」
そして俺達は、廊下へ出て俺の編入するクラスへ向かう。
教室の前に来て、先生が声をかける。
「いいか、俺が入れって行ったら入れよ」
ふむ、ベタだな。
「はいッス」
返事をすると、先生は、教室に入っていった。中で先生が話している声が聞こえる。俺は、暇なので、廊下の窓から外を見る。快晴ですな。見てるだけで暑くなる。うわあぁ、煌君の体力ゲージが、減少中。見なきゃよかった。
「オーイ、入れぃ」
真面目に後悔してると、先生の声が聞こえてきた。
一回深呼吸。別にしなくてもいいけどした方が雰囲気出るかなあ、と思いまして。誰も見てないけど……
ドアを開けて黒板の前に立つ。
「間月 煌です。よろしくお願いします。因みに、字は、間という字に月、煌は煌めくという字です。○○県から来ました。趣味は、読書とかですかね。特技は、チェスでさっき、高崎先生に勝ちました。部活は、まだ決まってません。住んでる場所は赤篠の、セ○ンの近く和風の家です。メルアドは、ピー(自主規制)で、電話番号は、ピーで、ケータイの方は、ピーです」
「――だ、そうだ。すごいな、お前、俺が朝質問されたやつほとんど答えたぞ。お前等、ほかに質問あるか?」
へえ、先走って質問されそうなやつを答えたけど、まさか先に先生に質問してたとは、なかなかやるな、このクラス。――何がって聞かれても困るんだけど。
「必殺技は何ですか?」
必殺技!? 何だそれ、そんなの聞くの? 普通、他の質問とかだったら、『将来の夢は何ですか?』とかだろ! この一言で先生の言ってたことが理解できたよ。
「えーっと、サンダースクリューアルティメットスプラッシュデストロイツイストスタートリプルレインボークラッシャーです」
とりあえず、即興で作ってみた。自分で作っといてアレだが、よく舌噛まないで言えたな。
「宿敵は、誰ですか?」
宿敵!? また同じヤツからの質問が来た。今度は、宿敵!?
「魔王です」
とりあえず、即興でまた答えた。俺は勇者かっ!?
「とりあえず、破壊したいモノは何ですか?」
また同じヤツからの質問。もういいや、つっこまないよ、もう。
「オリハルコン」
『ずいぶん硬いな、オイッ』
クラス一同そろってのつっこみ。何故俺!? why? 必殺技とかには、つっこまなくて、そこでつっこみ!?「剣、馬鹿なこと言ってるな。他に、質問は?」
『無いで〜す』
訳の分からん質問をしてきた奴は、剣って言うのか。っつーか、こいつ等何でこんなに声揃うの? つーか、ねえのかよ。
「じゃあ、席は――、あのバカ後ろな、窓際の後ろから2番目」
「タカチャン、バカってひどくね?」
つる――バカの後ろか。面白くなりそうだな。
「心ん中で言い直すなあ、転校生!」
「うるさい、コメディの伝家の宝刀”相手の思考を読む”を二話目から使うな、ボケ役(予定)のクセして」
「お前もだろうが!」
「俺は、オールマイティ(予定)だ」
「ほら、さっさと席に着け、煌」
「うぃ〜ッス」
剣とかいう奴と話してると、先生に注意された。自分の席に向かいながら周りを見渡すと、みんなマンガ読んだり、後ろや隣の奴と話している。アレ? キミタチつっこみは揃ってるのに、結構自分勝手なのね。
「ようし、学活は、これで終わりだ。この後、給食の準備して、食べ終わったら、帰っていいぞ」
そう言うと、先生は職員室に帰っていった。その瞬間、みんなが、立ち上がって俺の方に――
あー、これが転校生の運命、質問攻めですか。なら、さっきの質問タイムにしろよ。
まあ、これからは、面白いことになりそうだな♪
五:はい、二話目投稿〜
煌:オイ、イマイチノッてないんじゃねえか?
五:ま、一章は、キャラ紹介なんで
煌:ハッチャけるのは、二章からってことか。
五:そゆこと〜。書いてて思ったんだけど、モン○ンのGが発売するそうだね
煌:このバカは、弱すぎて2ndで止まってるがな
五;うるさい、これからも徐々にテンション上げてくんでよろしくお願いします
煌:ほいじゃ、さよなら〜