私だけ、そう思っていた
"外に出す"
それは、そのままの意味である。いつもは私の中にいるレイを、実体として外に出すのである。ちなみに、外に出ていられる時間は決まっているらしく、最長でも一日らしい。私としては、体が軽くなった気がするから、なるべく外に出ていて欲しいし、レイもそうしたいみたいだけど、城にいる時はそうもいかない。
(はやく出せよー。)
「待って。誰かに見られたらまずいでしょ。城から出るまで待って。」
小声で返答をしながら城を出る。途中、何人かのメイドさんに会って、まだ何もしていないのに緊張した。
「ふぅ、ここまで来れば大丈夫かな。」
とりあえず、町まで下りてきた。ここなら、城からも十分に離れているから、誰かに見られることも無いだろう。
「じゃ、始めよう。」
何を始めるか。それは、儀式、の真似事みたいなものだ。手を正面に、まるで誰かと手を合わせているかのようにだして、意識を手に集中させ、念じる。
(早く出ろ、出ていけ、出ていけ・・・)
「おいおい、いつまで念じてるんだ?」
「わっ!もう出てたの・・・。んー、やっぱり軽くなった気がする!早くお店入ろう!」
―*―*―*―*―*―*―
「えっ、どういうこと?」
あの後すぐ、近くにあったオシャレなお店に入った。そこでレイと途中まで他愛もない話をしていた。しかし、レイが突然思い出したことがある、と言って話し始めた内容が信じられないものだった。
「だから、アイツ。ライト。やっぱりアイツの中に、何かいる。」
「いるって…。それより、私以外にもそういう人がいるの?」
「ああ、そういえば話してなかったな。結構いるぞ。悪魔だけでも10はいるな。オレも全部は知らないけど、アイツのは結構やばそうだった。」
「そんなにいるんだ。…それで、ライト様の話、本当なの?全然信じられないんだけど。」
「絶対とは言えない。まあ、今度また勝負してみればわかるだろ。安心しろ。やばそうなら、俺も出る。」