朝食論争
「おはようございます。」
「おはよう、朝食の準備はできてますよ。」
「はい。あの、今朝は本当にすみませんでした!」
うぅ、皆見てる中で謝るのなんて恥ずかしいけど、何も言わないわけにはいかないし。
ここの朝食はとても賑やかだ。ライト様の要望により、騎士団全員で食べることになっている。その後にすぐ、稽古ができるのがいいんだとか。
まあ何が言いたいかというと、凄く賑やかなんだ。
「よお、ミーナ。今日は随分と遅いお目覚めだな?寝坊なんて、お子様みたいだな。」
そう、賑やか。
「お前がいなかったから、俺が久々に稽古を仕切ったぜ。あーあー、大変だったな。」
「うるさいですね!言いたいことがあるなら、はっきり言ったらどうです!?ベイナール様?それに私は18歳です、子供じゃありません!」
無駄に突っかかってきた彼は、ベイナール様。先祖代々このラーントイム王国に仕えている一家の長男らしい。自分より身分の低い私が、同じ副団長というのが気に入らないようで、いつもこうして突っかかってくるのだ。
「まあまあ、2人とも落ち着いて。朝食を食べましょう。」
「はーい。」
「わかりましたよ。」
ライト様に言われ、他の騎士達も食べ始めた。すると、ベーコンを切っている私の手を、ベイナール様が見ているのに気がつく。
「なんですか?」
「なんでベーコンを縦に切るんだ?普通、横だろう。」
「え?縦のほうが食べやすいですよ。」
「いや、横だ。」
「いえ、縦のほうがいいです!」
「はー。また始まったよ、2人の言い合いが。」
「もはや名物だよな。」
横に座っている騎士が何か言っているが、何を言っているかを聞く余裕はない。なぜベイナール様は、たかがベーコンの切り方に疑問を持つのだろう?意味がわからない。
「そんなこと、どうでもいいでしょう!?」
「いや、気になる。」
「ほら、2人とも!稽古が始まりますよ!」
「なんで!」
「いや、気になることは気になるんだ!」
こうして、ライト様の物理的な仲裁が入るまで、口論は続いた。