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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

2014年/短編まとめ

鼻へkiss

作者: 文崎 美生

第一印象、可愛い。


小さくてふわふわしていて、甘いお菓子みたいな女の子。


こんな子が本当に存在するのかと驚いた。


身長目測150cmちょっとに、柔らかそうな少し癖のある髪の毛は甘そうな薄い茶色。


長いまつげはしっかりと上を向いていて、小動物みたいに丸い瞳はキラキラしていた。


何だこれ、撫で回したい。


そう思った時にはもう体が動き出していて、彼女の頭を撫でていた。


突然のことに彼女はきょとん、と大きな瞳をさらに見開き私を見上げた。


うん、可愛い。


何度でも言おう、可愛い。


「あ、あの?」


撫でられるままの彼女は首を傾げる。


ふわふわの髪に指を絡ませながら貴女の名前は?なんて問いかける。


初対面の彼女に対して不躾なのは百も承知だ。


まず相手に名を聞くのなら自分から名乗るべきだとも思うし。


それでも彼女は微笑む。


そして形のいい唇をゆっくりと動かす。


「……ちゃん、起きてよ、礼ちゃん」


ゆさゆさ、と体が揺すられる。


心地いいソプラノが耳に馴染んで溶けてゆく。


重い瞼をゆっくりと開けると、視界が定まらず目の前の彼女が何重にも見えた。


あぁ、私は眠っていたのか。


目の前の彼女は出会った頃と何一つ変わらない笑顔。


目を細めてクスクス笑う。


「気持ちよさそうに寝てたね」


なんて言いながら。


夕日が差し込む教室には私達二人しかいない。


そんなにいい夢見てたの?なんて彼女の声。


私は窓から空を見上げそうだね、なんて笑う。


貴女と出会った時の夢だよ、なんて。


目の前の彼女の髪を撫でるとだらしなく頬の筋肉を緩ませる。


そんな彼女も可愛い。


頭の後ろに手をやり、彼女との距離を詰めさせる。


チュッ、なんて軽いリップ音をさせて私は彼女の鼻頭にキスを落とす。


照れくさそうな彼女を見て、私も笑うのだった。

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