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君が好き??  作者: 尾花となみ
sideA:唯視点
37/56

37.眠れる訳ないじゃん!

 一体何が起こったのか分からなかった。一体どうして慶があんなに怒っていたのか、なぜあんな行為に走ったのか、全然分からなくて、でも怖くて悲しくて、ひたすら泣き続けた。


 少し寝てたみたいで、ふと気がついた時には部屋は真っ暗で夜になってた。時計を見るともう12時過ぎ。

 あのまま泣きつかれて、壁に寄り掛かりベットの上でクッション抱えて体育座りのまま寝ちゃったみたい。

 涙の跡でカサカサになった頬と鼻水でカチカチになった鼻を触りベットに倒れ込んだ。


 はぁっ。疲れた。かなりひどい顔をしてるから洗顔して温タオルでゆっくりと温めたいなぁなんて思うけど、動けない。まったくもって動けません。 

 今日は朝からなんか色々あったね。本当色々あったね……。お姉さんは疲れちゃいましたよ。


 しばらくベットの上でゴロゴロしてたけど……やっぱり着替えるか。さすがにこのまま寝れそうにないから、しっかり顔を洗って、パジャマに着替えましょう。

 サンドウィッチから何も食べてないからお腹空いてるはずだけど、さすがに食べる気にはなれないなぁ。


 でもずいぶんと頭がすっきりした。やっぱり本当は体調いまいちだったのかな? ぐっすり寝てかなり元気になっちゃいました!

 考えるとね、やっぱり結構クルものがあるけど……、あの時の慶は本当の慶じゃなかったってわかってるから。


 私の知ってる慶はあんな事しない。なんでかは分かんないけど、ちょっと血迷ってしまったのさ!

 なんか私が本当に怒らせる事しちゃって、それであんな行動に駆り立てちゃったんだよね? きっと……。

 ってか何でそんなに怒らせちゃったのか全然わかんないんだけど、余程の事したんだよね? きっと……。


 って事で、グジグジ考えても仕方ないので着替えよ! 

 勢いを付けてベットから飛び降りるとベット脇に立てかけてあったカバンを蹴飛ばしてしまった。……痛い。小指が! 小指がーーーー! マジ涙目。

 うぅ、教材とか入ってるから結構重くて硬いんだよね。しかも本当思いっきり蹴っ飛ばしたせいか中身バラバラだよ。


 私は散らばったノートやらお財布やらを集め、一番遠くへ飛ばされていた手帳に手を伸ばし固まった。手帳の端から白いメモ用紙が存在を覗かしている。

 …………あぁ、この問題もあったんだった。一気にガクッと項垂れると、仕方なく手帳を拾いメモ用紙を取り出した。


 システム手帳から切り取ったようなこのメモ用紙は児玉くんから預かった。

 あの後二人でしきりに謝りっ子してどちらともなく笑えて、なんか和気あいあいと仲直りできて、じゃぁそろそろ帰りますかってなった時にまた児玉くんに謝られながらこのメモを渡されたのでした。


 その白いメモには携帯の番号。そして「お電話下さい。長谷川玲子」の文字。

 あぁー、そうですそうです。このメモはあの感じ悪い美人さんからのお手紙なんですよー。そりゃ脱力もしちゃうでしょー?


 なんでも先々週の火曜日にバイト先のレンタルショップに来たらしくてね?(もちろん私は休み)

 丁度レジに入ってた児玉くんに「唯さんいらっしゃる?」的な事を聞かれて、「今日はお休みです」みたいな返事をしてくれて、会話終了と思いきや。

 「次のお仕事は何時です?」なんて事聞いてきて、私のシフトはしっかり把握してたみたいだけど(やっぱり怖いよ児玉くん)、「プライベートな事なのでお教えできません」って断ったんだけど、いいから教えろー、いや無理だーって感じの押し問答を始めちゃって、ずいぶんレジで迷惑がかかったみたい。


 で、隣のレジにいた新人ちゃんが見かねて「唯さんは今月いっぱいで退職されます」みたいな事を言っちゃったらしいんだよねぇー。なんてこったい。

 まぁさ、その娘は私が辞めるから入った要員で、だからもちろん私が辞める事も知ってる。でも新人ちゃんだから、私と児玉くんのうんぬん(ってなんか嫌だけど)を知らなくて、そう言っとけば収まるだろうって善意で思って発言したんだろうけど……あぅ。


 その結果、あの玲子さんは携帯番号のメモ書きをその場で児玉くんに託し、その児玉くんは血走った眼で次の日の水曜日に私の家の前で待ち伏せしてたって訳さ。


 メモをいつの間にか受け取ってた事にすっごく謝られた。その時は新人ちゃんの言葉がかなりショックだったらしく(12月も普通に入ると思ってたみたい)、いつの間にか渡されて握り締めてたそうです。あっそ。


 で、色々あった後に自分のカバンからこのメモを発見して悩んだらしい。本当は捨ててしまおうかと思ってたらしいけど、どうも捨てれず。

 児玉くんはあの人とちょっともめたこと(泣いたのでそう思ってるみたい)を知ってたから、渡さない方がいいのかなって思ったって。

 だからシフトも教えなかったみたい。


 でも、もしかしたら話し合った方がいいのかも知れないし……自分で勝手に判断する事じゃなくて、やっぱり私がどうするか決めるべきだよな。って思い直して預かっててくれてたんだってさ。


 いや、ごめん児玉くん。捨ててくれてよかったです。ってか受け取るなよこんにゃろー。

 どうすんのよ? どうすんのよ? これ。とっても綺麗な字でお電話下さいって書かれちゃってるよ!

 これが携帯番号だけだったら知らん振りしちゃおうかなぁーなんて思えるけど、しっかりばっちり「お電話下さい。長谷川玲子」。いーーやーー!


 もうもうもうもうもう! 牛になっちゃうぞ! ……なんて下らん台詞はどうでもいいんじゃ! 何話すつもりなのよ、長谷川玲子! くそっ(お口悪くて失礼)、もういっその事フルネームで呼び捨てしちゃる!


 今更何を話すってんじゃ、長谷川玲子! こっちとらお前(あら、もっとお口悪くて失礼)の事なんて思い出したくもないんじゃ、長谷川玲子!

 なんつったっててめー(おやおや、もっと…略)のせいでわたしゃ血迷って児玉くんと付き合っちゃったんじゃないか! 長谷川玲子!


 もーーーー! 本当人騒がせな人達だ! 慶も児玉くんも長谷川玲子も! こんなに悩みの種があったら、あんまり考えすぎないようにしよう! なんて思ってた決意が水の泡。気になって気になって眠れる訳ないじゃん!


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