表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君が好き??  作者: 尾花となみ
sideA:唯視点
31/56

31.唯さんこんにちは。

「け、けい? 携帯鳴ってるよ?」

「ああ、兄貴だろ」慶のポケットから響く携帯の音を聞きながら手を離して欲しくて言ってみるけど、本人は知らん顔でそのまま無視して手を引っ張られながら歩き出す。


 慶さん? 相手がわかってるからって電話にでないのはいけないと思いますよ? ちゃんと出てください!

「ほら、いた。電話してるし」そう言った慶の視線の先を追うと、確かに駅の出口前で優ちゃんが電話してた。


 気付いた優ちゃんがこっちを見てにっこり笑って手を振ったけど、すぐに首を傾げた。

 ……ん? 優ちゃん……なんか変な顔してますけど。なんでそんなニヤニヤ笑いに変わっちゃったんですか?


「あぁー、面倒くせー」溜息混じりに慶はそう言うと繋いでいた手を離して今度は私の腰に手を置く。引き寄せるかの様に力を入れられ、なんだかくすぐったい。


 ……って。って!? 繋いでいた手! 引き寄せられた腰! ばっちりしかっりがっつり優ちゃんに目撃されてますけど!

 あぁーーーー。それであんな変な顔!? いーやー! 恥ずかしい! 穴があったら入りたい。ってか帰ってもいいですかぁ?


「いやー、付き合って貰ってごめんねぇ。本当はデートだったぁ?」優ちゃん。なんかすっごくその言い方親父臭い。すっごくエロ親父臭いからやめて。

「さっさと終わらせろよ」

「はいはーい」


 不機嫌そうな慶とすっごく嬉しそうにニヤニヤしてる優ちゃんとの会話を歩きながら真ん中で聞きながら……居心地が悪い。

 メチャクチャ居心地が悪いです。


 ねぇ、なんでまだ私の腰は捕らわれたままでそのまま何事もないかの用に友香の家へ向かっているのでしょうか?

 すいません、誰かこの状況を打破する解決策を教えてください。お願いします。


「しっかしさぁ! しっかりちゃんと付き合ってるんだぁ」え……優ちゃん、このネタまだ続ける気ですか?

 そしてこの不機嫌な慶に引きづられている私を見てその台詞出てくるか?


 案の定慶は優ちゃんを一瞥すると溜息をつく。

 あぁ、もうその顔本当に怖いよ~。本当に怖いからやめてー。私悪くないはずだけど、なんか本当ごめんなさい。


「あ、友香が言ってた通りまだなんだ。それで慶二その態度? よくないよ?」優ちゃんは私を見て納得すると、一応お兄ちゃんっぽく慶を嗜めるけど……本人は兄の視線を鼻で笑う。


 えー、慶さん。一応曲がりなりにもお兄ちゃんなんだからその態度はないと思いますよ~。私は一人っ子なのでわかりませんけど……お兄ちゃんなんだからさぁ。

 って私の方が失礼な事考えてるかしら?


 だってそう言えば慶って意外に優ちゃんの事立ててるような気がするよなぁ?

 私から見たら全然頼りにならなくて弱そうなお兄ちゃんだけど(ひどい)、慶はそんな風に思ってないような気がする……。


 そっか、慶ってば実はブラコンだったのかなぁ。だとしたらなんか色々納得出来る部分があるような?


「唯」ん? はい? なんでしょうか慶さん。

「……また飛んでる」ん? 何が?


 え、なんでそこで大きな溜息? 私変な事してないよね? それなのになんでそんなにヤレヤレ的な顔されて溜息つかれてるんでしょう。

 意味わかりませんので取り合えず睨んで見ます。


「まぁまぁ。本当に仲いいねぇ。慶二もそんな態度本当に駄目だよ。で、唯ちゃんはちゃんと話を聞こうね」睨み合ってる私達の間に優ちゃんが入ると、着いたよと言葉を付け足した。


 えぇ? あれ? いつの間に友香の家の前? 全然気付かなかったよ~。そんなに私考え事してたかなぁ?


 優ちゃんが間に入ってくれたおかげで、私はどうにか慶から解放され友香の家を見る。

 今目の前に建っているのは店舗の方。ガラス張りの自動ドアの前に三人で並んでるけど開かない。


「今日、お休みなんだ?」その開かないドアに本日臨時休業させて頂きます。ご迷惑をおかけして申し訳ございません。と書かれた張り紙が張ってある。

 墨で書かれたそれはとても達筆。……でもなんかすっごく迫力ある字なんですけど……おじさん、すでに苛々モードかしら……。


「裏回ろう」その張り紙を見てすこし緊張したのか、優ちゃんが引きつった笑みを浮かべながら私達を促した。

「裏から入るなんて久しぶり」私達は家の壁伝いに横道から裏へ回ると大きな門構えに到着する。

 裏なんて言ってるけど、本当はこっちがお家の正面玄関。


 友香の家は店舗の奥と自宅が繋がっていて大通りに面している方が店舗入り口。反対の通りに面しているのが自宅の玄関になっている。


 普通のよくあるお家のアルミのガシャンと閉まるような門扉じゃなくてね、瓦屋根があって木で出来ていて横に小さな入り口が別についていて、時代劇とかお金持ちが出てくるドラマとかでしか見ないような立派な門構えがある。


 うぅ、やっぱりいつ見ても、いつ正面に立ってもなんかビビリマスです。圧倒されちゃうデス。だから子供の頃から裏に来るの嫌なんだよね。

 まぁ大体友香が店番をしてる事が多いから、家に回るよりお店に入った方が手間がなかったんだけど、それでもたまに玄関から入ると……同じ家なのになぜか居心地が悪い。


 あぁ、やばい。只でさえ居心地の悪い空気が流れる事間違いなしなのに! 玄関から入ったらもっと萎縮しちゃいそうだよー。


 まぁ今は所々リフォームしてて友香の部屋とか全然普通の洋室だし。店舗の方だって耐震うんぬんでかなり変えたらしいし、入り口だって自動ドア。

 でも門構えだけは変えてなくってなんか……色々イロイロ昔を思い出してしまうのです。


「唯さんこんにちは。お二人ともいらっしゃいませ。親父も姉貴も広間にいます」いい笑顔で出迎えてくれた友香の弟の正宗まさむねくんにとっても広くて、リフォームしてとっても綺麗な広間へ案内されながら……嫌な予感しかしない私は立ち会う事にしたのを結構後悔し始めていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ