26.ご機嫌ナナメなんですかー?
おはようございます。皆様。とってもいいお天気な朝の様です。
爽やかな朝日がカーテンからこぼれ、スズメのさえずる声がします。
ぐっすり寝たお陰かなんだか気持ちもすっきりして……清々しい朝? ええ、清々しい朝でございます。ってそんな訳あるかい! こんな状態で清々しい訳ないわ!
乗り突っ込みしちゃったわ! 読んでいる皆さんは何がなんだかわかりませんよね!
って別に二日酔いとかで清々しい訳じゃない訳じゃないですよ(わかりづらい日本語を……失礼)
飲みすぎると当日調子悪くなったりするけど、次の日には持ち込まないタイプなんで。
さすがに昨日は強いワインを結構飲んでしまったので、記憶があいまいですが! 気分はいいのよ。気分はね!
たださ! 状況がいかんのよ! とにかく状況がまずいんですのよ。そしてまったくもって理解不能。
私はこの状態でどうすればいいのでしょう?
って皆さんにも分かる訳ないですよねー。そうですよねー。何一人で騒いでるんだーって感じですよねー。
よし、とりあえず私の今置かれている状態を説明いたしましょう。うん、そう致しましょう。
まず、私はベットの上で横を向いています。そしてその私の首の下には腕がひかれています。そして私の背中にはピッタリとなにか当たってます。そしてそして私のお腹の上には何か重いものが乗っかってます。
……つまり? つまりだね、横向きに寝ていた私は後ろから何者かに腕枕をされ抱きかかえられている状態なんだよ! って何者って慶しかいないじゃーん!
ああ、だめ、恥ずかしくて死んじゃいそう。どうしたらいい? どうしたらいい? 誰か教えて~!
初めて一緒の朝を迎えてしまった男女のおはようの挨拶の仕方を誰か教えて~! って別の一線は越えてないはずですよ? ただ一緒に寝てた……だけだよね?
だけだよね? だけだよね? 何度も確認するけど、本当にただ一緒に添い寝してただけだよね?
え、これってどう確認するの? 何から確認するの? まず私の衣服? もちろんノーブラパジャマ姿ですよ。自分で着替えたし。それはしっかり覚えてますよ。と言う訳でそれは問題なし。全然オッケーよ。
じゃぁ次は? 相手の衣服? ……えっと……後ろにいるので姿は見えませんが、抱きかかえられている感触からいって、普通にTシャツを着てると思います。よし、大丈夫。
じゃぁじゃぁその次は? やっぱりその……感触? 自分で言っててあれだけど、感触ってなんだ? そのイタシテしまった感触? ってした事ないのにそんな事わかるかー!
でも普通は……? 一般的には? すごく痛いって言うし、そのだるいなぁみたいな感覚は残るんだよね? だとしたらまったくもって違和感を感じません。
全然いつも通りで問題ナッシングゥ! と言う事はやっぱりしてないよね? さすがにしてたら私だって覚えてるよねぇ。
いくら酔っ払って前後不覚だったとは言え、そんな初体験を覚えてないだなんてありえないから。さすがにこれを嘘つかれてだまされても信じないぞ!
なんて色々悶々と考えていたのですが……まぁ? そんな状態の私にピッタリとくっついた慶が気づかないはずもなく……私のお腹の上に置かれていた手が、スリスリと不埒な動きをはじめました。
横になって寝ている私の腰の部分……一応くびれている部分を上下に行ったり来たり。
……これは……寝ぼけてなんて行為じゃないね。絶対に確実に起きていて、しかも私が起きているのに寝たフリをしている事に気づいていての行為だね。
慶の事だから絶対にそうだね。私への新種の嫌がらせだね!
とりあえず……どうしましょうか? このまま息を殺して収まるのを待つか……。それとも寝ぼけた振りして振りほどいてちょっと逃げるとか。
もしくは今起きました~的な反応で行為を黙殺? どうしよう、どうしよう。
って! 慶……それは嫌がらせとして行き過ぎだと思うんだけど……。エスカレートしてきた慶の行為にどうにか声を出さないように飲み込んで、選択肢一、このまま息を殺して収まるのを待つ。を必然的に選択。
もうちょ、っと……私のスキルでは逃げるとかなかった振りとか出来ない感じになってきた。本当にちょっとどうしたらいいかわかんない。
慶の手はパジャマの上からが飽きたのか私の素肌をさすり始めていた。
パジャマの隙間から手だけを入り込ませ、私の横を撫でてる。なんて言うんだろう、脇? 肋骨? とにかく胸までは行かない手前までとくびれ付近までを行ったり来たり。
うぅぅ、もうだめ、本当に駄目。くすぐったい。こそばゆい。こしょばいよぅ。
笑わないように一生懸命こらえるけど、絶対にばれてるよね? このガチガチブルブルな動きをしている私の体のせいで絶対にばれているはずですよねー。
それなのにそのまま無視して撫で撫でしてるって事は……また遊んでるね? また私のこの我慢しているのを後ろから見て楽しんでるなぁ!
くそー、悔しい。メチャクチャ悔しい。からかわれて遊ばれて! なんかすごく悔しいからこのまま我慢し続けてやろうか! って思ったけど、やっぱり無理! くすぐったいよー。
文句を言ってやろうとそのまま体毎慶の方に振り返って固まる。
慶の手がね……振り返る時丁度脇の付近にあってね……私が振り返ったものだからね……慶の手がね……そのままスルッと移動して……私の胸の上?
慶も私を見てちょっと固まる、けどすぐにその手がきゅって握ったものだから、
「やだんっ」って変な声が出ちゃった。
ど、ど、ど、どうしよう。どうしよう。この状態をどうしよう。慶の手はまだ私の左胸の上で……って言うかしっかり握りこまれていて。そう生チチを! 生乳を握られていて!
ほぼ仰向けで寝ている私のすぐ横に慶の顔があって、その視線はあったまま。
私の頭はパニックだと言うのに、慶は余裕そうに色気駄々漏れな笑顔を浮かべると私を腕枕していた右手をずらして私に覆いかぶさる様に向き直った。
それなのに胸の上にあった手はね、かなり無理な格好をしてると思うのに……乗っかったまま。
「け、け、け、けい? て、て、てをね?」
「おはよう、唯」私の動揺など毛の先ほども思わないのか……と言うか余計に楽しいのか、ニコニコにこにこ。でもその笑顔……胡散臭い。
爽やかな笑顔で爽やかな朝なのに、なんか黒い感じがするのは気のせい?
あれ? もしかして慶……機嫌悪い?
え? どうして? 多分この状態じゃぁ怒らなきゃいけないのは私だと思うのですが……なんで慶さんご機嫌ナナメなんですかー?




