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君が好き??  作者: 尾花となみ
sideA:唯視点
20/56

20.帰りは一緒だから。

「あれ? 富樫君なんでここにいるの?」友達一が聞く。

「え? お邪魔?」友達二が聞く。

「なんだ、ついに付き合いだしたの?」友達三が聞く。ってついに付き合いだしたってどう言う事よ?


 慶は私の友達の言葉をことごとく笑顔でスルーしてランチを再開。うん、その微笑を向けられるとね、誰もそれ以上突っ込めないですよね。そしてその矛先は私に変更ですよね。


「……ちょ、唯。本当どうしたの?」友達一はね、割と慶が好き。って言うかとっても好き。

「無言で邪魔するな?」友達二は普通。

「はぁ、なんだー。つまんないのー」友達三はあまり好きじゃない。


 皆さんこんにちは。唯です。今日は月曜日。普通に大学来てます。そしていつものように学食でランチ中。ただいつもと違うのはいつもと同じ所に座っている私の目に前になぜか慶が座って学食を食べていると言う事。


 二時限目が終わっていつもの様にいつもの席に座ったら……なぜか慶も座った。いつもは(いつもいつもしつこいですか? ごめんなさい、でも強調!)友達と大体同じ所辺りで待ち合わせて、一緒になった子と一緒に食べるんだよね。

 で、慶ももちろんそう言う相手はいて、それは別の場所で男子チームがあるはずなんですけど……。


 喧嘩したの? とか、どうしたの? なんて聞いても答えてくれるわけなく、さっさと日替わりAランチを頼んでさっさと食べてます。

 そんな慶をボケッと見ていたら友達三人が来た、と言う訳です。


「ま、いいから買いに行こうよ~」と友達三……いい加減名前で呼ぶか……まいはお財布を抱えるとメニューが並ぶショウウィンドウへと歩き出した。

 友達二……ほのかも舞に倣い着いて行く。

「富樫君何食べてるの?」友達一……早紀さきはそう言いながら慶の横に回りランチを覗き込む。

「日替わりA」会話する二人を後にして私も慌ててお財布片手に追いかけた。


 後ろをチラッと盗み見ると、早紀が不自然にくっ付いているのが見えた。……無視無視。

「あいつもさー、いい加減わかればいいのにねー」舞がそんな事を言うと、

「確かにねぇ。望みないのに」ほのかが笑いながら答える。


 ……何が? 誰が? ……って早紀の事だよね?

 確かに、早紀はかなり露骨に慶にアタックしてる。まぁ結構なセクシー美女でね、お色気ムンムン。でも慶は珍しいぐらいに相手をしない。

 性格は思ったよりさばさばしててそのギャップだのなんだので男子からみたらモテルタイプなんだけど、慶は触手が動かないみたい。来るもの拒まずのやつが、どうして?


 で、だからか早紀もなんか意地になってるみたいで、絶対に慶を落としてやる。エ、エッチしてやるって名言してる。

 なんて言うかねぇ……早紀は割といい性格なんだよねぇ。勝気? 肉食? 恋愛が全て! いい男と恋愛してこそ価値がある! そしていい男とエッチしてなにが悪い! 的な考え方をしてる女の子なのだ。


 私達にとっては悪い子じゃないと思うんだけど……人によっては嫌いな人も多いからなぁ。……って慶の相手はそんなタイプの子ばっかりな気がするのになぁ? なんで相手しないんだろ? 変なの。

 まぁもし相手されちゃったら……かなり微妙な関係になっちゃうかも知れないけど……。


 それで、その早紀は慶の取り巻き達にすっごく嫌われてる。取り巻きなんているのも笑っちゃうけど、なんか慶様親衛隊らしいです。ははっ、本当乾いた笑いしか出ないけど、そんな輩がいるんですよ! マジで!

 それで慶がランチを取る時は、男子グループと大体一緒に親衛隊が一緒なんだよね。だから私達はちょっと違う所で食べるようにしてる。だってさぁ……早紀と親衛隊とのね、かなり低レベルな戦いが始まるから。


「でもさぁ、本当に富樫君どうしたの?」ほのかが私を見ながら聞いてきた。思考にどっぷりはまっていた私は我に返り、ほのかに無言で首を傾げてみせる。

「えー、じゃぁ別にくっついた訳じゃないんだ?」同じように舞が私を見ながら聞くので、また無言で今度は首を何度も縦に振る。


 私が聞きたいぐらいだよ。慶はその低レベルな戦いが大っ嫌いで、ご飯がまずくなるからって私達とは会わないようにうまくしてくれていたのに……。なぜ今日は私達の所に参加?

 そうだよ、参加だよ! あら偶然会っちゃったーなんて感じじゃないよ! 明らかに意図的に私達の所にいるよ! そしてなぜか親衛隊はいないよ……。

 えーえーえー、本当に何があったの慶くーん。説明してくれないとさ、私達も反応の仕方がないさ。


「私今日ラーメン」

「んー、私日替わりB。唯は?」え? は、決めてなかった。また考えてたらいつの間にか順番来てるよ。いかんいかん……。

「……日替わりAで」くそっ。慶とお揃いなんか嫌だけど、食べてるの見たら超美味しそうだったんだよねぇ。そそられちゃったんだよねぇ。

 ってそんな理由なのに、なんで二人はそんなニヤニヤしてるのさ。なにか文句でも?!


「って早紀まだ富樫君にべったり」舞が言うから振り返ったら、早紀はいつの間にか慶の隣にしっかり座り嬉しそうに話しかけてる。

 ……なんかさぁ、女の子! って顔してるよなぁ。慶と話せて嬉しいですぅって顔してるよなぁ。

 早紀はさ、なんかちょっと性格はひねくれてるんだけど(ひどい)、ああ言う所は素直だよな。本当可愛い女の子。


「早紀今日お弁当って言ってたから、猛アピール中かもよ」ほのかが笑いながらそんな事言う。そうかぁ、そうかぁ、手作り弁当ねぇ。やっぱり女の子だよなぁ。絶対に彼氏にお弁当を作ってくるタイプ。

 私は……無理かな。バレンタインのチョコが精一杯。って友チョコしか作ったことないけどねぇ! 慶になんてあげるわけないもん。


 お弁当をもし慶に頼まれたら……一応作るよ。うん、きっと作ると思う。でもひどい出来でからかわれて笑われて終わりそう……。

 はぁ、やっぱりどうしたって私達じゃ甘い雰囲気なんかにならないと思うわ。


「お待たせー」

「食べよー」二人が待つテーブルまで三人で行くと、なぜか早紀に睨まれた。あれ? これってもしかしてお邪魔ですか?

 気を使えよ、お前ら的な視線でしょうか?


 で、私が一人ビビッていると言うのに、二人は気にせずサクッと座る。ん? その座り方だと……私は慶の前ですよね。はい、わかってますよ。


「で、さぁ。本気になった訳?」ほのかが慶を見ながら主語の抜けた質問。

「ああ」それでも慶は意味がわかったのか簡潔に答える。

「えー! なんで今更?」その会話に付いていけているのか舞は不満そうに口を尖らした。

 えっと、すいません。全然付いていけないんですけど、私にもわかる様に説明してくれません?


 私のその視線の意味を絶対に理解していると思うのに、慶は私の事をチラッと見ると全然違う事を報告する。

「こいつ、彼氏いたの知ってた?」

「「「え!?」」」うひゃぁ、そんな風に睨まないで下さい、お三方。

 けーいーーー! なんで言っちゃうのよ、どうして暴露しちゃうのよ。もう、この三人にばれるとひどいのよ。何から何まで吐かされるわ。

 恐ろしすぎる! その執拗なる責めを想像して身が凍えるわ。


「ちょっと! 唯!」

「聞いてないよね?」

「……唯……?」三者三様反応して頂きましたが……聞かなかった事には……出来ませんよね!

 はい、私死にました。けーーーいーーー!


 三人に詰め寄られながら慶をにらみ付けると、丁度慶は席を立つ所だった。

「ごちそーさん」そう言ってトレイを手に取ると私の方をにっこりと見る。

「ま、しょうがないんじゃない? 内緒にしてたのは自分だし」そうだけど! そうだけどさぁ! 話すの? 今までの色々三人に話すの? それ嫌ですー。絶対に遊ばれますー。


 慶はむくれる私の頭に手を置くと髪をなでる。そして耳元へ顔を寄せ、

「後、帰りは一緒だから」と囁き……耳にキスした。

 うぎゃー! 何するんじゃ! この男!


 耳を押さえて慌てて立ち上がった私に気にせず慶はそのまま片手を振って学食を後にした……って周りの視線が痛すぎるんですけど!

 

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