表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君が好き??  作者: 尾花となみ
sideA:唯視点
17/56

17.覚悟しとけよ?

「いつまでむくれてんの?」そうは言われても、今更態度も変えられません。なぜこんな状況になったのかも把握しきれてないのに、そんな精神状態で向き合ったり出来ません。


 こんにちは皆さん。再び唯です。なぜ私は今素敵なカフェで慶と二人っきり……向かい合ってお茶をしているのでしょうか? 正直自分でもなぜそうなったのかよくわからん。

 とりあえずなんか慶と……その他三人の女性に結託された感があって、こうなりました。


 うぅぅ、私も可愛い赤ちゃんグッズ見に行きたかったよ~。マタニティグッズ……は当分必要ないと思うけど、友香と一緒に色々勉強しに行きたかったよー。

 なのになのに、なんで時間潰しをすると言う慶に付き合わなきゃいけないのさ。


「これうまそうだよ?」慶はメニューを見ながら私にイチゴのデザートを指差す。

 う、……確かにおいしそうじゃない? かなりそそられるじゃない? でもここで折れてしまったら私の負けだ。何がか知らんがなんか負ける気がする!


 が、慶はそんな私を無視すると普通に店員さんを呼ぶ。

「すいませーん、このイチゴのタルト一つとブレンド……」私の方を見るので

「……カフェラテ」仕方なく答える。や、ここのカフェラテ美味しいんだよ。

「ください」私の言葉に続けると、慶は可愛らしいお姉さんに素敵な笑顔で注文した。なんかお姉さん目がハートになってた気がするよ? 本当、冗談じゃなくてさ。


 正直周りの視線がかなりうざい。こんな女の子大好きな感じのカフェに慶がいたらそりゃそうなりますよね。

 何度も言うが、慶はいい男だ。甘く整った顔立ち、少し切れ長の目。そしてその顔が嬉しそうに微笑んでいると……意味不明な色気を醸し出している。

 本当にそんな色気いらないと思うよ。男の癖に色っぽいってどうなのよ? それ必要?

 私にないのにその色気本当に必要なの?


「唯と二人なんて初めてだな」うん。慶と二人でお茶なんてしたことない。たぶん生まれてから二十年間一緒にいて初めての出来事だと思う。

 優ちゃんも一緒、とか。お母さんや香澄おばさんが一緒、とかならいっぱいあるけど、こんな……デ、デートみたいに二人っきりはないわ。


 まぁ車で二人っきりはあるよ。主にお父さんの命令で私の飲み会迎えに来て貰ったり。主にお父さんの命令で雨で駅まで迎えに来て貰ったり。主にお父さんの命令で……やめた。

 考えたら今日もお父さんの命令で女性達の足だし……薄々気づいてはいたけど、慶……お父さんに逆らえないんだね? なぜ?

 

 幸治おじさんには普通に無理なことは無理って答えてる気がするのに、なんでうちのお父さんには断らない?

 ……弱みでも握られてるのか? うん、うちのお父さんならありえそうだよ……。


 で、車での送り迎え二人っきりを除けば、本当に初めて。しかも車と違ってこんなに人の目があって、お洒落で可愛いカフェで、なんて……本当にデートみたいじゃん。

 デ、デート? で、で、で、で、でーとぉ?


 デートとは、恋愛関係にある、もしくは恋愛関係に進みつつある二人が、連れだって外出し、一定の時間行動を共にすること。逢引(あいびき)およびランデヴーとも言う。by Wikipedia。

 うぎゃーーーー。逢引って! ランデヴーって!! 恋愛関係にあるって! ないけど。恋愛関係に進みつつある二人って! ないけど!! なんかやめてよー。


 やば、なんかオカシイ。緊張してきた。ありえないって! 慶相手に緊張ってなに? このドキドキはなに?

 いや、多分普通にときめいてるんだと思うけど、なんか悔しい。負けたみたいでなんか悔しいんですけど。って私普通に返事してるしすでに負けてたみたいだな。


「なんか百面相。何考えてる?」な、何って色々。いや、そんなに何も考えてなかった。主に慶の事だけです。ってどんなに乙女なんだ私?! ってまさかこの色々が顔に出てるのか?!

「俺さ、決めたから。やっぱり本気になる」は? 急にな、何?


 甘い笑顔を消し、真面目な顔で慶が言うから私も真剣に慶の顔を凝視する。

「お待たせしました。イチゴのタルト、ブレンドコーヒー、カフェラテです」あ、ありがとうございまーす。ナイスタイミングなお姉さん乱入で会話が一度止まる。

 うむうむ、やっぱりこのタルトまじ美味しそう。

 

 イチゴのタルトに目を奪われながらももう一回慶の方を覗き見ると、ブラックでホットを飲みながら……私を見てた。

 ひーーー。なんかその顔怖いです。いや、全然甘ーい感じで優しく微笑んでくれているのですが! 普段の慶を知っているだけに……逆に怖いんですけど。

 私は慌てて目をそらすとイチゴのタルトに意識集中! うん、本当に美味しそう。いただきまーす。


 でも慶はそんな私をまだ見てたみたいで。

「ゆっくりじっくりなんて俺の性に合わねぇし。ある意味俺も逃げてた部分あったけど……でもやめる。だから……覚悟しとけよ?」なんて言った。


 そう笑いながら言った慶はすっごく格好良くて、誰もが惚れちゃいそうなぐらい格好良くて、不覚にもときめきまくったけど! 惚れ直しちゃってる気がするけど!

 だから何がですかー?! 意味が全然わからないんですけどー!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ