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君が好き??  作者: 尾花となみ
sideA:唯視点
16/56

16.本当、お前は可愛いな。

 皆さんこんにちは。唯です。

 今日は日曜日。私とお母さんと香澄おばさんと友香と仲良く皆でショッピング。お天気もよくて、ドライブ日和って事で、少し遠いアウトレットモールへ繰り出している途中です。


「で、何で俺が足?」だってしょうがないじゃん。お父さんも幸治おじさんも優ちゃんも仕事だもん。急に仕事だもん。なぜ一緒かって、それは同じ会社に勤めているから。

 なぜ一緒の会社に勤めているかって……幸治おじさんが社長を勤めて、お父さんがそのおじさんの秘書で、優ちゃんが一応跡継ぎだから!


「ごめんね。慶ちゃん。聡さんが無理言ったんでしょ?」お母さんはそう言うと後部座席から運転席を覗き込む。

 慶はお母さんににこやかに笑うと否定した。

「いえ、全然。大丈夫です。それに親父の車じゃ皆さん乗れないし」そうね、そうだね。幸治おじさんの車はなんかすっごいスポーツカー。外国のスーパーカーっていうのかしら? にしても……なんでお母さんと私への態度がそんなに違うのかしら? 

 

 ついでに家の車はレクサス。で、今乗ってる慶の車はRV車。シルバーメタリックのなんか有名なRV車らしい。正直自分の家以外全然わかりません!


「友香さん大丈夫? まだ悪阻はないのかしら?」香澄おばさんか隣に座る友香に質問する。そうか、つわりか。妊婦さんってそう言うのあるんだよね。

「はい、まだ全然大丈夫です。食欲もすごくあって……増えすぎちゃうかも知れないですね」そう言って笑う友香がなんかお母さんっぽくて変。やっぱり母性を感じるのかなぁ?


 なんかすっごく柔らかくなったよなぁ。なんて思ってたら、隣に座る男から、

「俺達も作ってみる?」なんて小声で言われて運転中相手なのに殴ってしまった。


「痛ってえなー。言ってみただけだろ。怒んなよ」いや! 怒るから! 怒るに決まってるから!

 なんて事言うんだこの男は! 後ろの三人は話しに花が咲いていて聞こえなかったみたいだけど、もし聞こえてたらどうすんだ!

 ……変な、誤解されたら……つらいじゃん? 否定するの……つらいじゃん?


 が! なんか今日の慶はすっごく変なんだ。いつもならからかって遊んで終わりなんだけど、なんか……そのからかっている瞳の中に、変な熱を感じる。

 妙な熱視線って言うの? とにかくすっごく優しく見つめられて嬉しそうに微笑んでいて、そしてめちゃくちゃ甘ーい感じがする。


 例えるなら友香を見る優ちゃんの目みたい。そんな事ありえないのに、ちょっと……いやかなり勘違いしてしまいそうなぐらいの熱い視線。

 そして……態度も変! 強引です。いや、いつも強引なんだけどね。今日は有無を言わせぬ状態で。昨日の今日だし、私は助手席に座る気なんてさらさらなかったのですが、気がついたら助手席に落ち着いてました。

 ……なぜ? いつの間にまとまったのか不思議だ。


 なんて事を高速の流れ行く景色を見ながら考えていたら……手を握られた。

 え? え?! なに? なに? なんで? 膝に置いていた自分の手に載せられた手を辿ればそこはもちろん運転中の男の手。


「ちょ、ちょ、ちょ!」また動揺しすぎだから。そんな声出したら後ろに怪しまれるって! でもそんな事気にしていられない。無理無理!

「しぃー。後ろにばれるぜ?」そ、そんな事言われなくてもわかってるって! だから手をどかして欲しいのですがー。あ、その私の熱視線はスルーですよね。


「な、な、なんで? 何してんの?」とにかく落ち着け私。ここでオタオタしたら敵の思う壺だ!

「んー。別に。なんとなくつなぎたくなったから」運転中の視線を外すことなく慶は前を見たまま言う。

 あまり表情が見えない……。


「な、な、なんとなく……って」こいつそんなに温もりに飢えてるのか?! なんだ、実は寂しがりやさんか?! って、でも今までだって……何度か車に乗せてもらった事あるけど、こんなことされた事ないよ。


「……なんで急に? 今までだって乗ったことあるじゃん」後ろを気にしながらつい口に出すと、慶は私をチラッと横目で見ると、ため息をつかれる。

「……二人っきりの車内で手なんか握れるかよ」ん? ……どう言う意味でしょう?

 ……二人だとつながないけど、他にも人がいたら握るの? ……なんですと? どう言うこっちゃ?


 つまり、きっと慶は第三者がいる状態での私のオタオタを見て遊びたいんだな! そうか! そう言う事か。二人っきりの状態で手をつないでもつまらないと。

 だけど誰かが一緒だと私の慌てようもきっと激しいから……それを見て楽しむ、と。うっきーーー! なんて性格悪いやつ!


 急にむかついて来て思いっきり手を振りほどく。ちょっと……いや、かなりどきどきしていた私のトキメキを返せ。本当に返せ。

 運転している彼と手をつなぎならドライブデート。なんて乙女の夢を! トキメキを! 幸せの気持ちを返せー!


 怒って視線を外し外を見る私を見て、なんか慶が笑った気がしたけど、無視無視!

「本当、お前は可愛いな」……は? なんて言いました今?  無視するのも忘れて私は運転中の慶を見たけど、慶はやっぱり前を向いたままで表情は見えなかった。

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