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君が好き??  作者: 尾花となみ
sideA:唯視点
11/56

11.ファーストキスだよね?

 二十年間生きてきて人生二度目の貞操の危機ですが、それが二日空けただけでやってくるってどう言う事でしょうか?

 今日は土曜日でー。児玉くんが押しかけて来たのが水曜日だったからー、二日空いたんですよねぇ。なんて現実逃避をしている暇はないよ。貞操の危機だよ。


「……気になんないの?」何がですか? 今のこの状況がですか? そりゃ気になりまくりですよ。変な日本語だな、おい。

 私は壁を背にしていて、慶はその私を囲むように両手を壁についていて、気にならないはずないですよ。

 怪しさ満載ですもの。他人が見たら絶対に、あらラブシーン。恥ずかしいわねぇなんて思うって。


「……気になるはずねぇか」いやだから気にしてるって。気にしてるから私の前からどいてくれません?

 その私の思いが通じたのかわからないけど、慶は両手を壁から離し、少し私と離れる。それでも近いと思いますけど。


「お前さ、割と平気なんだな」また何がですか? 最近慶の言っていることがよくわかりません。問われてもきっと的確な返事を返せてないと思います。だって意味わからないんだもーん。

「それなら別にいいんだけど」そう言って慶が変な顔で笑うからドキッとした。


 投げやりだった私の思考はどっかに飛んでいって固まる。

 何その顔。なんでそんな苦しそうな顔してんの? なんで痛みを堪えているみたいに、苦しそうなのに優しく笑ったの?


 何がいいの? 私は今どんなこと聞かれてたっけ? そんな切なそうな顔されるような事を聞かれていた?

 よくわかんないよ慶。最近の慶はさ、なんか支離滅裂だと思うよ。慶の考えてる事が全然わかんない。私馬鹿だからさ、私にもわかるように説明してくれないと……なんか苦しいや。


 そんな風に考えていたら、フッと何か温かなものが唇に触れる。

 柔らかくて温かくて、ちょっと湿ったそれは私の唇を軽く啄ばむとすぐに離れた。それと同時に慶の顔も離れる。


 え? え? え?! なに今の。なによ今の!


「変な顔するなよ。もっと襲うぜ?」へ、へ、変な顔ってなに? 変な顔してたのはあんたでしょ!?

「ま、ごちそうさん」慶はそう言って私の頭に手を置き一撫ですると部屋を出て行った。


 ちょっと待ってよお嬢さん。冷静になって見ましょうか。

 今、私はどうなったんでしょうか?


 なんか慶が変な顔して、そんな顔する慶を見てたらなんか私も苦しくなっちゃって。そしたら、そしたら? なんかが唇に触れたんだよね?

 何が? 何がって何がってナニだよ! いや、そんな下品な感じじゃなくてさ! あれですよ、唇。そう私の唇に、唇が触れたわけですよ。


 ……誰の? 誰のって一人しかいないじゃん! 何考えてんのあの男! 私の、私の唇奪ったー。しかも軽くチュって感じじゃなくて、結構かぷって食べられちゃった感があったんですけど!

 その先までの激しさはないけど(当たり前だ! どんなもんかも知らないし!)、でも初心者としてはかなりの刺激があったんですけど……。


 私はその場にヘタリ込むとちょっと唇を確認する。なんかちょっと湿ってるね。これってあれだよね? 慶の……唾液? うぎゃーーー。何考えてんじゃ私は!

 でもこれ、どうしたらいいですか? なんかちょっとテカテカしちゃってて、手でこするのもどうかと思うし、でも自分で自分の唇だけど舐めたらなんか……卑猥?


 いーーやーー! どうしたらいいんですか? 先輩! 誰か! 私にキスされた後の行動を教えて下さい!

 私はその場でひざをたててうずくまる。……と、ひざで拭いちゃった。えへ。勿体無い、じゃなくて! 変態か? 変態なのか! 私は!?

 テカテカ感はなくなったけど、それでもその感覚はまだ残っていて、私はやっぱり自分の舌で唇を舐めてみる。 


 ここに、慶の唇が触れたんだ。そう改めて思うともうどうしょうもない。顔中の血液が火照って絶対真っ赤なはず。

 火照った頬に手を当てながら、やっぱり何度も唇を確認してしまった。


 そう言えばさ、今更だけど……あれ……私のファーストキスだよね? 

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