まだまだ学校だよ
朝起きて、家の玄関を開けると、一人の少女がいました。
「秀太さん・・・、玄関前に女の子がいるんだけど」
だめだ。予想外の出来事に頭が働かない。
「ん?・・・あぁ、楓か。みなが学校まで迷わないように道案内を頼んだんだ」
みなが納得すると、不服そうに楓が抗議した。
「私も結構びっくりしたわよ。開けようとしたらドアが開くんだもの」
その証拠に楓の額が少し赤い。
「ごめん、楓。行こっか」
「・・・どうせマヌケですよー」
みなが笑って言うと、楓は少しむっとした。
「いや、何かマヌケで可愛い」
「・・・って結局マヌケって事じゃない!!」
楓は一瞬最後の言葉に照れてしまった自分を後悔した。
「「おはよー」」
みなと楓が挨拶をすると様々な場所から挨拶が返ってきた。
「香織おはよー、今日宿題ある?」
「ちょっとこの私でも迷宮入りのものが」
「・・・何の教科よ」
「当ててみて」
「面倒くさいな!!」
「それほどでもー。ないよ、宿題」
「・・・もういい。会話をしようとした私がバカだった」
「あと、『みな君と登校して羨ま~☆』的なことは無いから」
「何で?」
「男子だけでなく女子にさえ女子扱いされていない楓だから?」
「私に聞かないで、キツイからその事実」
「ねえ見てー、カズがみな君と肩組んでる。馴れ馴れしいな」
「・・・人の話聞いてないし」
「本当、カズが一番馴れ馴れしい。蓮君の次に」
「・・・・」
「ん、楓どこ行くの?」
楓は立ち上がるとカズの首根っこを掴んだ。
「な!?オレ何かした?香織」
「複雑な乙女心というやつですよ」
「それでオレの生死が決まるの?!」
「あとでおでん缶おごってあげるから。いいよ、楓。お別れの言葉は言ったから」
カズは楓に首根っこを掴まれたまま教室をあとにした。
「みな君、本命は誰ですか?」
なおも香織の棒読みが続く。
「やはりカズが固いですか?もしくは蓮君とか」
「まだ分かんないや、ごめんね」
みながはぐらかすと隣にいた蓮が得意げに言った。
「みなはそんなすぐになびきません、残念でした」
「・・・告発しますよ。君も第2のカズになりたいですか?」
「や、そんなことは。前言撤回すっから勘弁。この通り!!」
香織は大きく息をすると見た目からは想像出来ないほどの大きな声で言った。
「かーえーでー、蓮君も連行してー!!逮捕してー!!」
数分後、蓮の姿も教室から消えた。