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プロローグ
ガサッ
クリスマスの楽しそうな雰囲気の中
ネコがゴミを漁る音だけが響いている。
今年一番の冷え込みの今日は、たくさんの雪を降らせていた。
『いいもんあったか?』
『うーん、ぼちぼちかな』
大きな黒ネコが尋ねると、黒ネコより少し小さい灰色のネコが答えた。
別に捨てネコなんて珍しくもない。もっというなら保健所行きだって。
保健所行きを運よく免れたネコ達は今日もゴミを漁る。
『ちょっと他のところも見てくるよ!』
元気よくそういうと灰色のネコは路地へ飛び出した。
それを何気なく見送ろうとした黒ネコは、途端に顔色を変えた。
『待て!お前そこは・・・』
最後の言葉を言い終わる前にネコは車にひかれた。