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アンネリーゼとお義母様~ダメパパ放置します!~  作者: 渡 幸美


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11/12

11.初めての家族団欒?

リーゼロッテが16歳ならぬような迫力を出している。顔はにこやかで、私の背中を擦る手はとても優しい。なのにこの、底知れぬ何かは何?!


ダメおやじも一瞬怯んだのがわかったが、そこは騎士団副団長、さすがにすぐ気を取り直した。


「……わたしの家だ」

「ええ、存じております。でも今は、わたくしの家でもありますわ。ああ、もちろんこの可愛い可愛いアンネリーゼもね」


迫力はブレないが、リーゼロッテは私にニコッと微笑んで、そっと頬にキスを落とした。

くすぐったくて、きゃっきゃして、私もリーゼロッテにキスを返す。うふふふふっ、とどうみても仲良し親子だ。あ、リーゼロッテが若いから、姉妹に見えるかな。どっちでもいっか。


ダメおやじは、その様子を呆然と見ていた。


「それに、いくら家でも、お迎えする準備がありますでしょう?……わたくしに思う所がおありでも、使用人たちの事を考えて下さいな」

「な……!…………いや、そう、だな。悪かった」


ダメおやじは反論をしかけたものの、周りの執事さんとかを見て思い直したようだった。


「次はご連絡を下さいませね。ああ、それで本日はもうお休みということでよろしいの?長期間お休みされなかったのだから、お疲れでは?ご自分のお部屋でゆっくりしてはいかがですか?リーゼはわたくしが一緒におりますから」


リーゼロッテさん、早くどこか行けオーラが出すぎてます。ダメおやじの不機嫌モードよりもハラハラしちゃいます。


「……いや。君と少し話をしたい」

「……かしこまりましたわ」


チッと舌打ちをしそうな顔を一瞬で隠して、リーゼロッテはダメおやじ分の椅子と紅茶を頼んだ。


「リーゼ、大丈夫?マリアンたちと部屋に入る?」

「ううん。ここにいりゅ」

「そう?嫌になったらちゃんと言うのよ?」

「あい」


あなたが何かをやりそうで気になって離れられませんわって話ですがね!優しさは沁みるよ。


ダメおやじは相変わらず仏頂面だけど、気にしない気にしない!


そしてそつなくダメおやじ分の席も用意され、初めての家族のお茶会が始まる。


「……君は、ずいぶんとアンネリーゼを可愛がってくれているようだ。……何を」

「小さい子は昔から好きですの。これでも、小さな従兄弟たちには懐かれていますのよ?」

「……そうか。ん、この菓子は……これか?野菜の入っているという」

「執事から聞きましたの?ええ、子どもにあまりバターと砂糖が多すぎるのも良くないので」

「家の帳簿についても聞いた。どこで覚えた?学園も君は結婚のために退学しただろう。なのに」

「た、たいぎゃく?!」


二人の若干ギスギスした会話を大人しく聞いていたが、聞き捨てならない単語が出てきて思わず声を荒げた。


「リーゼ、落ち着いて。ほら、あーん。このクッキーはかぼちゃ入りよ~」

「わ~い、むぐむぐ…じゃにゃくて!なに、しょれ?」


誤魔化されないわよ!

ふーっ、ふーっ、と鼻息を荒くして威嚇する3歳児に、リーゼロッテは諦めたように口を開いた。


「……旦那様との結婚の条件だったから。あの頃はどうしても結婚したくて、後先考えずに了承したのよ。でもあれよ?結構いたのよ?結婚が早まって退学する人たち」

「だ、パパ!にゃんでそれ?!」


ダメおやじは目を見開いてしばし呆気に取られていたようだが、私の剣幕に慌てて答えた。


「女性が家に入るならほとんど当然のことだ。それが出来ないなら婚姻など考えないと……」


わかっている。ここは21世紀の日本ではない。しかも面倒な貴族社会だ。だけど。


「しゃいってい……!!」


涙目になりながら、ダメおやじを睨みつける。そりゃあリーゼロッテはウザかったのかもしれない。それで諦めるとも思ったのかも。それでも、リーゼロッテはまだ16歳なわけで。すっかり甘えていたけれど、まだまだ未来のある16歳なのだ。3歳と茶をしばいている場合ではないのだ。


何だか、急に現実に気づいた気分だ。


私は、娘に最低と言われたダメおやじがフリーズしていることにも気づかず、リーゼロッテに捲し立てた。


「りじゅまま!こんなパパとは別れてふくがくしにゃよ!もったいないじゃん!」

「えっ?嫌よ!旦那様はともかく、あ、しまっ…いや、ともかく、リーゼのママの座から離れたくないもの!リーゼはいいの?わたしがいなくなっても」

「いや、いやだけど……りじゅ、りじゅままがあ……まだまだじゃあ~~~ん!」

「もう、本当に優しい子。マリアンのお陰でまっすぐ育って良かったね~。学園もそれなりに楽しかったけど、勉強はどこででもできるし、何よりリーゼのママでいたいの。すごく楽しいのよ。一緒にいていい?」

「う″ぇぇ~~ん!い、いいよぉ~」


私たちはそこにダメおやじがいるのを忘れ、二人でしっかりと愛を確かめ合った。


初めての家族のお茶会は、こうしてなし崩し的に終了したのであった。




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