第7話「北のダンジョンの試練」
悠真と蓮は、北の森を抜けた先にある「無名のダンジョン」の入り口にたどり着いた。
入り口は巨大な石造りの門になっており、その表面には古びた文字が刻まれている。
「……すごい雰囲気だな」
悠真はごくりと唾を飲む。
「うん。こういうの、いかにも『冒険の始まり!』って感じで燃えるね!」
蓮は気負いなく笑いながら、入り口を覗き込む。
しかし、中からはひんやりとした空気が流れてきており、一歩踏み込むだけで別世界に入るような感覚を覚えた。
「慎重に行こう」
悠真は短剣を構え、蓮も両手斧を握りしめる。
二人はゆっくりとダンジョンの内部へと足を踏み入れた——。
ダンジョンの内部は、広々とした石造りの回廊になっていた。
「まるで遺跡みたいだね」
蓮が興味深そうに壁を指でなぞる。
悠真も周囲を警戒しながら進んでいたが、突然——
ガコンッ!
「うわっ!?」
足元の床が沈み込み、次の瞬間、周囲の壁が動き始めた。
「罠か!?」
「いや、なんか出てくるよ!」
蓮が指さした先、壁の隙間から無機質な甲冑の兵士が現れた。
「ガシャン……ガシャン……」
それは人ではなく、魔力によって動く「魔導兵士」だった。
「なるほど、ダンジョンの守護者ってわけか……!」
悠真は短剣を構え、蓮も戦闘態勢に入る。
「侵入者……排除……」
魔導兵士は無機質な声を発すると、一斉に襲いかかってきた!
短剣術「二段突き」、両手斧術「豪裂斬」!
「蓮、左を頼む!」
「オッケー!」
悠真は一体の魔導兵士を狙い、素早く間合いを詰める。
「二段突き!」
シュッ、シュバッ!
悠真の短剣が連続で繰り出され、魔導兵士の関節部に深く突き刺さる。
ガクンと膝をついたところに、さらに蹴りを叩き込むと、そのまま崩れ落ちた。
「よし、一体撃破!」
一方の蓮も、強烈な一撃を放つ準備をしていた。
「豪裂斬!」
蓮の斧が大きく振りかぶられ、渾身の力を込めて振り下ろす。
ズガァンッ!!
衝撃波のような風圧が周囲に広がり、魔導兵士の胴体が一撃で粉砕された。
「っしゃー! これだよ、これ!」
二人は連携しながら残りの魔導兵士を撃破し、静寂が訪れた。
「はぁ……さすがにちょっと疲れた」
悠真が息を整えながら、周囲を見渡す。
「でも、最初の試練にしては結構手強かったね」
蓮も斧を肩に担ぎながら、倒れた魔導兵士を見下ろした。
すると——
「……悠真、あれ」
蓮が指さした先に、奇妙な魔法陣が浮かび上がっていた。
それは、先ほどの戦闘中にはなかったものだ。
「これって……?」
悠真が近づこうとすると、魔法陣が突如として輝きだした。
「——選ばれし者よ、さらなる試練を望むか?」
突然、耳の奥に直接響くような声が聞こえた。
二人は顔を見合わせる。
「……なんかヤバそうだけど、行く?」
「もちろん!」
悠真と蓮は頷き、魔法陣の中心へと足を踏み入れた——!