雪ち
に
気高い雪だるま。
雪ちゃんの後輩の、
ゆきちは、寡黙で。
と、いうより。
いわゆる普通の。
雪だるまである。
頭には、お日様のように。
ウインナーが、さしてある。
一年生2人は、
見上げて、言った。
ぜんぶ。
逆タコにしたら。
面白いのに。
うん。
これ。
いまいちだね。
屋根からは。
むったと、双子が見ている。
ぎょにく、
じゃない。
あるとかな。
しゃうかな。
一年生が去ると。
むったたちは、
屋根から飛んで。
ゆきちの肩や。
頭に降りた。
あるとだ。
しゃうだ。
むったは、
食べながら。
美味いが。
中身に混ざる白い、
むにゅっとするものは、
好きではない。
と、
思っている。
あれ?
なんで。
あると、と。
しゃうが、
どっちも。
ささってる?
双子は首を傾げながら。
取り分を平らげた。
ゆきちの足元をみると。
袋が2種類、落ちている。
むったは、
袋の中を確認したが、
空っぽだった。
ふくろは、ふたつ。
なかみは、少なく、
さしてあった。
双子は。
目をギラリと、光らせた。
むったは、
屋根に避難した。
双子は。
ゆきちのあたまを、
つついて。
ほじくる。
あたまが砕けて、落ちる。
さらに、つついて、
からだにも穴を開けていく。
ゆきちは、
最終的には。
切り株のようになり。
帰ってきた中学生が、
度肝を抜かれていた。
双子の心に、
謎を残した、
なんだか、
数少ない事件。
中学生のうるさい好みに、
応えて。
毎日の10時用弁当には、
2種類のウインナーが。
1本ずつ入ることになっている、
という、事実を彼らは知らない。
袋は今朝。
既に。
開封されていたのだ!
それだけです。
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