こんにちは虎(水)さん、死んでください虎(白い)さん
( ):なんて酷いサブタイだ。
(裏):これ作ったのあなたですよ。
(憤慨):作品への解像度が低すぎる……!
(裏):これ作ったのあなたですよ。
注:本日は投稿ミス発覚ということもあって、二つ投稿します。迷惑かけてゴメンネ⭐︎
⭐︎⭐︎⭐︎ 【延戦刀士】 オール・フォルタム
「……(にっこり)」
目の前でダイレクト勧誘を受けた虎(液体生命体)さんが、猫科動物の顔でもはっきりとわかるくらい引き攣った笑顔を浮かべている。必死に取り繕ってる感じが本気で焦ってることを表しているね。
『お、オールさん……?あの虎さん、もしかしてちょっと乗り気じゃな』
「おやおや!どうやら君は乗り気みたいだね!うんうん、やっぱり数の暴力は偉大だと思うんだ、わかってくれて嬉しいよ!それじゃあ行こうか!!」
ベフェマの声……っていうか念話を遮って半ば一方的に協力を取り付ける。戦力や手札は多いに越したことはないし、あちらは確かに乗り気ではないだろうが、それなら白虎戦でだけ一緒に最低限協力する形にでも変えられる。今逃げられてもらっては困るのだ。
曖昧な笑みを浮かべてゆっくりと頷いた虎さんは顔を俯けてこっそりため息を吐いた。無論私には見えている。もしかしなくてもこの虎さんポンコツか?バレバレな動きしてるし。まぁ最低限のサポートくらいはできるでしょう。この魔境で生き残ってるのはあちらも同じなんだから。
「大丈夫かい?まぁまぁ、近くに私の拠点があるからとりあえず行こうじゃないか!」
一応取り繕って元気に喋っているが嘘っぽくはないだろうか……?まぁ、ちょっとだけの辛抱だな。天を仰いだままこちらへ歩き出した虎さんを横目に、拠点へと帰還を開始する。道中を見ていれば、まだ昨日のことなのにもう随分と昔のように感じられる色々なことが思い浮かんできた。
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岩猿を全滅した後。ようやく拠点を奪還した私たちは色々壊れた内装を整えていた。体表が岩のあいつらは幸いながら生物的な老廃物とかはなかったようで、埃が少し溜まっているけれど他は綺麗なままだった。いや本当よかった、汚されてなくて。
因みに猿さんはちゃんと肉持ってたのでその日の夜のご飯となった。まぁ私食べてないんだけれども。まぁそして夕飯の後に作戦会議をしたわけなんだけど、そこで決めた今後の方針っていうのが、白虎だ。しかし、白虎を倒すというその方針をやるにあたって問題なのは……
「まぁ、トラウマをトラウマのまま放置するわけにはいかないしねぇ……やるでしょ、リベンジ」
『いぇーい!わたしも見たことあるけど絶望的な戦力差なーのー!!』
はい、そうなんです。今のまんまだと勝てなさそうなんです。一回ボコられた私たちだけど、特殊な勝利である青龍とは別で、白虎は真っ向勝負の可能性があるんです。まだそういう方向での勝ち方もあるかもしれないけど、そのための材料がない以上、そう考えるしかないんですよねぇ。
「というわけで、明日からは戦力増強に務めまーす」
『他の元人間さん引き入れるーのー?』
「いや、そのつもりはないかな。基本的に少数で戦った方が動きやすいと思うから」
まぁ、ぶっちゃけ私自身があんま大多数の人間と同時行動するの苦手ってのもあるけど。とにかく、基本はもう一度進化をして、その後にもう少しレベルを上げたら討伐開始かなぁ。できれば称号も進化させときたいね。とにかく、他の人を取り込むのは冥王が嘘で一回私たちが別々の箱庭にいるって言ったのも気にかかるのも理由でやめとこう。
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そう、本当は今日も単純にレベル上げに来ていただけだったのだ。のだけれど……。
『オールさん、あれ元人間の方じゃないなーの?』
「ん?……んー?なんでそう思うのさ」
『だって日本語喋ってるーの。どう考えてもそうなーの』
「……ほーん。まぁ基本不干渉で……?むむむ、あれは、うん。結構強そう。私と同等レベルはあるんじゃないかな?」
『……Σ(゜д゜lll)』
いや、別に私と同等の強さが問題あるかな?まぁ確かにこれでも強い方だとは思うけど、常識的な強さのはずなんだよなぁ……。まぁ、それはいいとして、あの虎は、引き込めたら強そうだなぁ。なんというか、私の勘?動きっていうか?そんなところからして強そうだった。
そういうわけで、ちょっと虎さんに恐怖を持たせて、その後に手のひら返して愛想よく近づくというやり方で半ばゴリ押しで協力してもらうことにした。
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そして今現在。
「……」
『い、いやー!争ってもいいことはないからね、なーの!とりあえず平和的に交渉しようね、なーのー!!』
「……あ、はい」
く、空気が死にそう……!やばい、まずったかもしれない。もしかしてそのままバイバイする方がよかった?でも、ああは言ったけどやっぱり人は多い方が強いし……、でも連携できないならそもそも意味なかったか!?
「……あー、半ば強引に連れてきちゃったのはごめんね。でも、こちらもできれば戦力を拡大しておきたくてね。生半可な人じゃ頼りにはできないし、その点に関しては君ならすごいだろうってなんとなく思ったから無理にでもついてきてもらったんだ。とりあえず、話だけでも聞いてほしい。悪い話じゃないしね」
「……ふ、普通だ……!?」
サラッと聞こえた発言は見逃そう。うん、優秀そうな人材はあまりいないからね、多少は聞こえなかったふりはしないと。
「……さて、ついたよ。ご飯は少しあるけど、いるかい?」
「い、いや、大丈夫です。お話だけ聞かせてもらえれば」
『よ、よかったなーの!さぁって逃げられちゃうのかと……』
なんだか虎さんがすごく意外そうな顔してる。私達をなんだと思っているのか。不審者でもあるまいに。
まさか本当に相手がそう思っているとは考えもせず、ひとまず今の状況と目標、戦闘時だけでもいいからできれば協力してほしいという旨を話して数十分。
「……そう、か。……えと、その白虎?は、このゲームクリアの条件の一体、という解釈でいい、んですよ、ね?」
「緊張しなくていいよ。立場は同じだし、なんならこっちからお願いしているからね。無問題さ」
「あ、いや、緊張、してないです。元から、っす。はい」
「……オーケー、それで、さっきの質問だけど、そういう解釈でいいよ。因みに私たちが青龍を倒したから、白虎が条件の一つってのは多分間違っていないはず」
そういうと虎さんは目を丸くして、すごく驚いたような表情をした。小さく「こ、こんな人たちが?」と呟いたのは聞かないふり。不審者で悪かったな!
「それで、改めて聞こう。白虎討伐、君も一枚噛まないかい?きっとゲームクリアに大きく進むはずだけど?」
「……そういえば、ゲームクリアって、条件のボス全員を倒すんですよね?もう、一体倒されてるなら、俺は、クリアできないんじゃ……?」
『あ!それに関しては大丈夫だと思うーの!ね、オールさん!」
それにはイエスと回答しておこう。だって、今私が持っているのは、青龍討伐証明、その代わりとでもいうべき鍵なのだから。
「ほら、これ見てよ虎さん。これが青龍倒した時にいつのまにか持っていた鍵。つまり、ボスを倒した人間がクリアできるんじゃなくて、鍵を持ってる人間がクリアできるってことさ。あぁ、奪うとかいう発想はやめてよ?少なくとも今は協力する段階だ。それに、もしかしたら鍵を持ってる人間が所属するグループ全体がクリア判定になるかもでしょ?」
そう、これは現段階では私たちしか知らない情報。他の奴らはきっともしかしたら自分はもうクリアできないのかもしれないと思いながらそれでも残るボスを倒そうと足掻いているのだろう。でも、私達はすでに鍵を持っていれば勝ち、という情報を持っている。
「……わ、かりました。今は、貴女方を信じま、す。ひとまず、その、白虎を倒すまでは、協力、ということで……」
『よぅし!決まりなーの!』
「そういうことだね、それじゃあよろしく。虎くん」
そう言って右手を差し出す。虎さんは前脚でその手を握った方がいいのか悩んでるようだね、あと焦ってる。まぁ、いきなりこんな急な話が舞い込んできたらこうもなるか。あぁ、そうだ。
「そういえば虎くん、君名前は?」
一時的にでも行動する以上、名前は知っておくべきだろう。もし、前世の名前に未練がないようなら私が持ち前のパーフェクトスキルで名前をつけてあげようかとも思ったけど……。
「え、と。ヴェイガー、です。はい、よろしく、お願いします」
おそらくは、彼の前世であろう名前を告げた。ふむ、どうやら日本人ではなさそうだ。やっぱ言語関係で謎あるなぁ。ま、今はそれはいいか。
「それじゃあヴェイガーくん、ちょっと私と一緒に出かけよう」
「え、いやあの」
「レッツゴー!」
ヴェイガーくんの顔がすごく嫌そうだったのはスルーである。
⭐︎⭐︎⭐︎ 【短剣士】 ヴェイガー
「うーん、相変わらず空気がまずい!」
そんなことを宣いながら俺の前を歩く少女に内心恐怖する。こちらのペースを崩されるため、少しこの人は苦手だ。オールさん、と言ったか。一見すればただの美少女にしか見えないのに、その力はすでにゲームクリアに大きな一歩を残すほど。
正直言って、関わりたい気持ちと関わりたくない気持ちが半々にある。関わりたいのは刀然、この人たちについて行ければ確実にゲームクリアの確率が上がるから。だが、だからと言ってこんなどこかタガが外れているとしか思えない存在の近くにいれば、何かを地雷として此方を殺しにかかってくるやもしれない。
だが、どちらにせよ今は相手の出方を伺うとともに、機嫌を損ねないよう動くしかない。頑張る俺。
「ねーぇ、ヴェイガーさん。本当に協力して良かったの?」
そんなふうに、相手を警戒していたからこそ、先ほどまでの言葉とは逆とも言える質問に対して、不意をつかれた。その一瞬で、さらにオールは言葉を続ける。
「だって、君顔にすごく出やすいよ?私は少しばかり『分析』が得意でさ。気づいたのは最近自分を見直すようになってからだけどさ。それで、その要領で少しだけど君が考えていることが予測できる……気がするんだ」
少し最後で間の抜けた発言をされたが、言われた内容はたまった者ではない。つまり、俺が考えていることを予測して、次の行動を打っていると、そう言っているのか……?ならば、考えられるのは……。
1、私たちに警戒心持ってるとか敵でいいよね?潰します。
2、君、私たちのことなんだと思ってるの?腹立つし潰すね?
3、なんかいけすかない顔してるなぁ。殺っていいよね?潰します。
「終わった……」
「?????」
あぁ、人生終了の文字がくす玉から出てくる。まるで祝福しているかのようだ。うん、祝福っていうか冥福だな。全く面白くねぇよクソが。
「せ、せめて辞世の句は読ませていただきたく……」
「?????????」
あわわわわ……や、やはり協力しない方が良かったというべきか?いやしかしここで殺されるのは困る。こんなあっさりと退場するのは絶対嫌である。
「いや、何考えてるかわからないけど……別にどうこうするつもりはないよ?そりゃあ、誰だって急に知らん奴と協力するのはめんどいだろうさー」
なん……だと……!?
「ま、まとも……!?」
「おい私が頭のネジが飛んだパッパラパーみたいなその顔やめろ。不名誉にも程があるでしょ」
はっ!思わず口から出てしまっていた!こ、これは殺され……ない?見た限りそこまで殺意には溢れていないが……いやでも、さっきを隠して後ろからはいどーんみたいなことがないとは限らないし……。
「うーん……警戒するのもわかるけどそこまで怖がられると困るなぁ。仕方ない、ここは」
「……処刑?」
「いやいやいや物騒物騒。そもそも此方から言っておいて一方的に殺すとかないだろうし。どこの自己中野郎だよ全く……あ“」
なぜか頭を抱えて「あー、ほぼ脅迫で協力させる私は自己中かー」と言いながら止まるオール。先ほどのことを言っているのだろうか?いや、まぁ確かに信用して合意の上で協力したと言えば嘘になるが……此方もそのつもりはあったのだから気に病んでしまうのは辞めてほしいな。
でもそれをいうと、もし話していたことの内容が違った時に「は?」とか言われそうで怖いから黙っておく。臆病とか言わないでほしい。俺は賢い選択を選ぶのさ……。
「……よし、立ち直った。えーとだね、これで信用されないまま協力するのもアレだし……私たちのこれまでをお話ししよう。それを持って、警戒心を少しでもほぐしてもらえたら幸いだね」
そう言ってオールはまだここに来てから一月も経っていないだろう自分の来歴を話し始めた。とはいえ、その内容は一月未満とは思えないほど濃い内容だったが。
「……」
オールの前世の話。ここに来て変わった見た目だけは同じの別物の種族。何を生かして、何を殺して、何を原理として動いたか。そしてその結果として得たものも。
正直に言ってそこまで話す必要があったのだろうかと思った。俺は彼方からしても未だ信用しきれない虎。多少の自分の情報は与えたが、今聞かされた情報に比べればないも同然だ。
「……なぜ、話した、ので?」
だから、聞き終わった俺が発した最初の疑問はそれだった。こんな人間に、いや、もはや人間ですらないこんな虎になぜそこまで話すのか。信用が必要というのは理解できる。だが、だとしても最初にそこまで話すのはなぜなのか?いっそ不審とも思えるほどに、オールは自分の来歴の全てを語ってみせた。
「なぜ、とは?私がこんなに話したのが意外?」
元々なんとなく関わりたくなかった彼女の優しげな声がやけに不気味に見える。まるで表面だけを取り繕った猫撫で声のように。
だから、次のオールが言った言葉には、少し、いやとても驚いた。
「仲間が欲しいからだよ、さっきも言った通りね。誓って他のなんの意図もない。だけど、強いて言えば……」
「強いて言えば?」
「助けたかったからだよ。君は強そうな割に、どうしようもなく不安で、周りに押しつぶされてしまいそうで……チグハグだ。どこか、私と似ている。だから、できることなら笑わしてあげたい。君が思うように私はおかしい人間かもしれない。でも、そんな人間でも善意がないわけではないんだよ」
「まぁ、善意なんてものは私にはないだろうけど」と言いながら自嘲するように笑う目の前の存在は、今なんと言ったのか。いや、わかっている。助けたかった。この人の形をした何かは、今そう言った。出会って間もない自分に対して。似ている気がするなんていう不確定な理由だけで。それは、それは……。
「意味が、わからない……!」
「わからなくていいんだよ。私は、誰かに認めてもらいたくてやってるわけじゃない。私が、やりたいからやってるんだ。余計なお世話というものだ。そう言われても止める気はないけどね」
普段なら絶対に信用できない言葉。そんな善意に満ちた言葉なんてあるはずがない。なのに。なのに。
なぜ、俺はこいつを信用できている……?
「……」
「ふっふっふ。わからなくていいし、信用できないというのならば仕方ない。私ができることはやったしね。でも、だ。もし君が私たちと他のボスも倒したのなら……ゲームクリア、できるんじゃない?」
……あぁ、理解した。目の前のこの人間は。
なんてことはない、俺にとってこいつは、眩しかったのだ。
「……わ、かりまし、た。貴女たちを信用して、協力、します」
「おーお……意外だね、本当に信用してくれるとは」
「……まだ、完全に信用、できては、ないです。でも、悪い、人では、ないと、思いました。はい」
「そう……なら、話した甲斐があったね。それじゃあ改めて」
そう言ってオールが手を差し出してくる。虎の手で握手なんてできるとは思えないのだが……まぁ、やるか。
「そうそう!その調子でお願いね!じゃぁ、明日からは早速白虎の戦力調査と対策だね!」
そう言って笑いながら元の道を戻って行ったオール。まぁ、どこかしら普通の人間とは違うからきっと適応するのに時間はかかるだろうが……きっと大丈夫だろう。そう思って、少しだけ心に余裕ができたからか笑ってしまった自分の顔をパチンと叩く。そうして、俺はオールに続いて拠点に戻った。オールの、仲間として。
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『あ!オールさん!お帰りなーの!!早速だけどこれ見るなーの!』
「……べ、ベフェマ君、君、何作ったの、かな……!?」
『見ればわかるなーの?あの猿さん岩で顔纏ってたから、彫刻に利用させてもらったなーの!ほら、威嚇用に使えるーの!』
「おぉう、私の⚪︎パホテルが……」と呻いているオールの目の前には、何をとち狂ったか死んだ時の死相そのままの岩猿……というかどこかで見たことあるそれらが、生首のみの状態で、洞窟の前に飾られていた……。
ごめん、オール。眩しいのは眩しいけど、ここに適応するのはちょっと無理かも……。
( ):はい、オールさん組にインキャ虎が加入しました。
(裏):苦労人枠になりそうだな……。
( ):そうですね……。能力的にも、性格的にもですね。
(裏):あいつ、結構素直に眩しいなとか思ったりしてるのに……カワイソス




