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帰還

⭐︎⭐︎⭐︎ 【延戦刀士】 オール・フォルタム




光が収まり、眩しくないのを確認した後でゆっくりと目を開く。あぁ、ようやくだ。ようやくだよ。短いようで長かった。ふふふふ……さて、こういう時の定番は。



「ここはどこ?私は誰?」



『は?』



やめてベフェマ、ガチトーンはやめて。冗談じゃん。そんな目で見ないで。ちょっと調子に乗っただけなんだって、違うって!私が末期症状の処置無し患者みたいな目で見ないで!



「まぁまぁ、冗談だよー、そんなふうに返されたらまるで私が馬鹿みたいじゃないか」



『えっ』



「えっ」



よぅしベフェマ君鉄砲玉体験会だな。お代?ハハハ私と君の仲じゃ無いか当然無料だよ返答はイエスか「はい」ださぁ()ってこい!!



『えっちょっまっ!!?』



お空の彼方に!ファーラウェーイ!!



『ほにゃあああああああ!!?』



キラリとお星になったベフェマを見て一言。



「汚ねぇ花火だぜ」








⬜︎










『わたしのことなんだと思ってるの?』



「…………さぁて、できれば元の拠点を目指したいよねーハハハ」



『誤魔化そうとしても意味無いーのオールさん』



「すみませんでした」



ごめんって。流石に調子乗ったなって思いました。ごめんなさいはちゃんとします。



「……何その目?私が謝ることもできない非常識な人間だと思ったの?」



『非常識な人間は人を空までぶっ飛ばさないーの』



くっ……!この状況だと言い返せない……!!そして、こんな低レベルの言い合いに全力をかけていることがもっと恥ずかしい!ベフェマの方が余裕ありそうな感じのところが特に!え?私はいつも低レベルな話しかしていない?私のどこがそんな低レベルなんだ!こんなに高レベル(インテリジェンス)な会話をしているのに!



「……さて、これ以上茶番を続けるのも何だし、次の行動を決めようじゃないか。というわけで元の拠点に行きたいと思います。ぶっちゃけ本当にこの森に帰って来れると思ってなかったんでノープランです」



『なんて行き当たりばったりなんだ……なーの』



ちらっと視線を向ければ、目の前に広がる懐かしくも相変わらず気持ち悪い色した森林。いかにも脱出口ですみたいな顔して現れた魔法陣だから絶対そうだと思ったんだよね、ちょっと不安だったなんてことはありません。何のことですかねー?



いやだってさ?この箱庭性格悪いじゃん。わざわざ香りと色まで完全に再現したリンゴと見せかけ、中身はグレープフルーツの味、みたいなことするのがこの箱庭じゃん?いやどんな例えだよ。あぁいえ、不安だったなんてないですから。私はいつでも自信ありです。



『オールさーん?思考がブラックな穴に吸い込まれてるーのー?』



それどんな思考ですか?



「まぁとりあえず戻れてよかったじゃん。ひとまずは私たちが使っていた拠点の捜索が目的になるんだろうけど、ここ結構広いから、新しく拠点を作った方が今はいいと思う。だから、まずは近くに良さそうな候補地見つけようじゃないか」



ここで、もしかしたら私たちが元の拠点を探す理由がわからない、なーんて人のために私が自らこのパーフェクトプラン(ネイティブ発音)を説明してあげようと思う。え?そんなの聞くやついない?わかって無いねぇ、世の中には無観客試合とかあるんだよ?あれと同じようなもんでしょ。ぶっちゃけ単語しか知らないからどういうものなのか全く知らないけど。



さて、それでは諸君に聞こう。私たちの最終目標はなーんだ?



……はい、ここのラスボスはっ倒して地球帰還することですね。誰でも知ってるわこんなん。え?知らない人もいるかもって?一般常識だろ。あぁいえ、お上品に行かなくては。



とにかく、ラスボスを倒すことが必要な私たちには、そいつに挑戦するためのいわば鍵である四神が必要なんだな。そして、そのうちの一つである白虎は私たちの元拠点の近くにいる。ここまで来ればもうわかるんじゃないかな?



そうだね、あのにっくき猫科動物を土ペロさせるにはあいつを観察できるあの拠点が最適なんだ。そのためにも今は拠点捜索が必要なんですよ。





『それじゃあオールさん、元拠点の場所もわかったし行きましょうか』



「えっ」



『えっ』



『……オールさん、さっきわたしのこと空に向かってぶん投げ(ファーラウェイ)したのね?あれ、まさか本当に感情のままやったわけでは無いなのね?』



「腹立ってやりました」



あ、ベフェマが空仰いだ。爬虫類顔でもわかるくらい呆れてる。こういう時は平謝りって決まってるんだよなぁ……ふっ、ここは私の秘蔵のドン引き確実謝罪方法が一つ、スライディング土下座で……!



『あの、別に怒ったりとかはしてないなーの。オールさんは戦闘面で頼りにしてるから、こっちはできなくても仕方ないと思ってるーの。だから説明すると、わたしがぶん投げられた時に、空中から元拠点の大まかな場所を把握しておいたなーの。わたしがオールさんと会ったあの近大きな隆起した大地も近くにあったし、間違いないなーの』



……え、ベフェマ優秀すぎね?私ベフェマより年上だよね?よぅし少し整理しよう。私成人女性、ベフェマ高校生。私ベフェマに頭脳方面全部負けてる。うんうんうんうん。



……あれ?



『で、結果から言えば、こっから東方面に北寄りに進めばおっきな高台に行けるーの』



今気づいてはいけない事実に触れかけた気がするが、気づいてはいけないので別のことに気を向けよう。えっと?とりあえず一時的な拠点を作るのはいらないんだね?場所が割れてるのなら話は早い。即・急・行ですよ。



「答えはもちろん即・急・行です」



『……えーと、じゃあとりあえず行くってことでいいなのね?』



「いえす、まむ」








⬜︎◆







「ねむぅい……」



『お、オールさん……そ、それ、わたしが、いうべき、こと……』



私、なぁんでこんなへとへとなのぉ……?いやね、わかってますよ?こうなったのはそんな複雑な事情によるものじゃない。







⬜︎







それは、私たちが、とりあえず元拠点に行こうと、行動に移してしばらくのことだ。変わり映えのしない風景に飽き始め、何をとち狂ったか石蹴りをしながら移動し始めた時、そいつは現れた。




『(^з^)-☆』



そう、あのふざけてるとしか思えない表情豊かな樹木さんが、再び私の目の前に立ち塞がったのだ。



もちろん、私はあの頃よりも強くなった。だから、当時でも勝てた私は片手間に片付けられる相手……だったはず、なのに。



ーー

種族:宝状樹 Lv100/100(MAX)


状態:通常 ランク:A -

ーー



何をとち狂ったかあいつはアホほど強かった。なんかよくわかんない顔で、なんかよくわかんない味のよくわかんない果実をマシンガンの如く連射された私たちは、そのうち一つを間違って食べてしまったのだ。それが、地獄の始まりだった。



「あばばばばば」



『ちょっ、これ、洒落にならな、うぅっ……』



そう、地獄だった。何だよ状態異常7個って。おかしいだろ。植物としてどうなんですか?思いっきし動いてましたよね?木の枝ブンブン振り回してましたよね?残像残るくらい早かったですよね?植物が植物してないんですけど。



とにかく、割と真面目に死にかけた私たちは命からがらあいつから逃げ出し……結果として遠回りをしながら元拠点に向かうことになったのだ。





⬜︎






……というわけで、あのピカピカ顔文字ツリーに状態異常:睡魔、疲労を押しつけられた私たちはへとへとになりながらもこうして歩いているわけで。



『……あっ!』



「ようやくか……」




そして、たった今元拠点の近くとなるあの高台を発見するに至ったのだ。



『ようやくなーの、本当に……。ここまで来れば、多分拠点の位置もわかると思うーの』



「待ってろよ私のア⚪︎ホテル……!」



『これが、執念、か……』



あの、ベフェマさんその目やめて?私の素が出てきたからってそんなふうに見ないで!



「と、とりあえず移動しようか!休めるところにひとまず行った方がいいよね!」



『な、なのね!早く行こうなーの!』







⬜︎◆






「見つけたァ……!!!」



あったー!!



見つめる先、少し色が違う洞窟。そして、何よりその奥の方にちらりとだけど見えたのは私が作ったあのベッド!!ついにだ、ようやくだー!



「あは、ははは!はははは……は?」



『……あちゃー』



見つめる先には確かに私のアパホテ⚪︎があった。



なんか変な猿と一緒に。



「……ふぅ」



『お、オールさァん!??』



変なお猿さんに私が丹念に作り上げたカーペットが汚されている。その事実を認識した瞬間、私の脳は機能停止した。



『た、たいへーん!!オールさんが息してないのー!!メディーック!メディーーーック!!!』






◆ どこかの世界 







サァーっと暖かい風が私の髪を揺らしていく。柔らかく照らす光が私に充足感を与える。



知らない場所だ。なのに、感覚は異議を唱えている。()()()()。そんな矛盾した感情を、なぜか受け止めている自分がいる。



「……ここ、どこ?」



ともすれば寝てしまいそうなほどの希薄な意識で、なんともなしに放った言葉は、しかし誰かに拾ってもらえたらしい。



「こんにちは、オールちゃん。ここは、(わたくし)と貴方の精神世界ですよ。ほら、よくあるじゃない。神様と精神世界で対談する、という状況(シチュエーション)が」



ぼぅっとしたまま目線を後ろに向けると、そこにはとても綺麗な淑女が立っていた。いーなー、恵まれてらぁ……。



金髪のその女性は、何が面白いのかクスクス笑っている。ぶっちゃけ眠いので何も考えられないんだけど、私のボケ顔見て笑ってるんじゃないよね?普通ならそこに思考が行った時点で即殴打なんだけど、なんかそんな気になれないなぁ。



「あら、私は貴方の顔が面白くて笑っているわけではなくってよ?ただ……ふふ、成長をしましたね、と。そう思っただけなのよ。それこそ、どこにでもいる母のようにね」



貴女は私のなんなのさぁー。マザーですか?なら楽させてくれませんかねぇ?ひとまずは私の家を汚す(不法侵入者)共をスパンっとー……。



でも、淑女さんは流石にそこまではしてくれないみたい。なんか私の思考読んでるっぽいし、何なのかねー?しかも、見方によれば結構失礼なこと考えてんのに、なんでそんな笑みが深まるんですか……?



「ふふふふふ。力は得ても本質は何も変わらない、歪まない。素晴らしいですわね。流石は()()()()()()()



おぉー?なんか気になるワード出てきたよー?ここではぐらかすとかないよねー、そんなのあれだよー、ゲームでもアニメでも漫画でも全部全部嫌われるキャラ上位に位置する道一直線行きだよー?



「過ぎた知識は身を滅ぼす。物も力も使いよう。私がここでその質問答えれば、それは過剰な知識になってしまってよ。……とはいえ、私がここで与えるべき知識もまたあるというもの。だからこそ今貴女に呼びかけたわけなのよ?」



ほえー。なんかすっげーこと言ってるけどなーんも耳に入ってこないわー。おそらきれーい。



「ふふふ。それでよろしくてよ。だけど、ここからはしっかり聞いてもらわないとねぇ?」



そう言って、パンっと手を叩く。同時に、私の思考にかかっていた靄がさぁっと一瞬で晴れていった。お陰様で急激に思考が覚醒して、頭が急回転を始める。え?待って、さっきの話結構重要なことあったよね、えーとーー



「うふふ、一度しか言わないからよぉく覚えておきなさい?今の貴女は、神ならざる身の中でも未だ二流。それでも、貴女が青龍に勝てたのは貴女の中の化け物(彼女)が技術的には一流だったから。ですが、技術だけでは頂点には立てなくってよ。だからこそ、貴女はその肉体の特異体質……私から言わせれば、魂の操作能力を磨いてきた」



まだ頭が追いつかない私と目線を合わせ、一拍置いてさらに彼女は言葉を紡ぐ。



「教えてあげましょう。貴女が磨くべきは魂に関する技術。えぇ、ここまでは貴女も正しいの。けれど、今の貴女が真に必要とするものは、()()()()。このレベルに達しないようでは、貴女が目指すものは手に入らないと、そう断言させてもらうわ。……そして、もう一つ。貴女が、もし、どれだけ痛くても、惨くても、望みを絶たれたとしても。それでも、貴女が上を……強さを、目指すというのならば。()を目指しなさい。それだけが、真実に触れる(かぎ)であり、()()()()()()()……即ち、イレギュラーになる唯一の方法なのだから」



ただでさえよくわからない話が、ついに本当によくわからなくなった。魂の顕現?魂って本当に存在するの?ていうか実在するんだね?あと星ってなにさ。あのスターの星?え、私に惑星規模のビッグな存在になれってこと?私懐と心はビッグな人間だけどスケールまでビッグになるつもりは……いや、そうじゃなくて。



「……ぇっと、強く、なれるんですね?」



返答はない、しかし、笑みを深めた彼女の顔が、返答となっていた。そうか、前に私に肉体変成の応用をしろって言ったのも多分この人だな?どう考えても、ここ私がさっきまでいた場所じゃないし、精神世界か。



それならこの人は私と何らかの魂かなんかにパスが通じてるのか?それとも私の中に彼女がいる?よくわからないな。多分聞いても答えてくれないし……それなら、今答えてくれるかもしれないことを聞くとしよう。知識は多すぎると良くないらしいけど、私は欲張りだから。



「あー、質問なんですけど、何でこのタイミングで私とお話をすることにしたんですか?それと、現実世界での時間はどうなっているんでしょうか?」



二つはちょっとやり過ぎたかな?見方によっては偉そうに聞いたことになったかもしれない。……うーん、どうやら私はなぜかこの人には強く出れない。なんか、規模が違うっていうか、大自然……それこそ雄大な山脈それ自体を相手にしているような、そんな感覚がするのである。そして、誰だかわからないけど、こんな芸当ができる時点で私より遥かに格上なのは確実というものだ。



「ふむ、えぇ、えぇ。答えてもよろしくってよ。貴女の今の質問はきっと今知っておいても問題ない。私も何も意地悪で貴女に全てを教えないわけではないのだから」



果たして、目の前の人間……人間?は、私の質問に答えてくれる気のようだ。素直にこれはありがたい。



「では、一つ目の質問。それは、貴女がこれから戦おうとしている相手は、先ほど私が言ったことを理解し、その通り、とまではいかなくともその姿勢がなければ勝てない相手だからよ。ふふ、これでも私は貴女をいつも見守っているのよ?あぁ、二つ目の質問だったわね。大丈夫、ここの時間は外よるずっとずっと早いから問題ないわよ。私はこれでも気が利く方でしてよ」



ふむ。そんなにやばいやつだったのかあのお猿さん。というかなんか私が舐めてかかる奴ら大抵めっちゃ強くない?どっかのピカピカ植物(笑)みたいにさ。でもそっか。それならあいつらは私が魂を活用しないと勝てない相手。ならば……まぁ、今ある手札を使うかな。



「ふふふふふ……その意気でよ。応用というのは基礎から生まれるもの。貴女が今思い浮かべている手法なら、案外簡単に片付くかもしれないわね」



あら、ヒントありがとう。それなら、対お猿さん編はこの方法で行こうかな。さて……聞くことは以上かな。それなら、ここでの重要な、というか今後の私の方針についてきっと重要になるだろうことをまとめよう。



まず、私が進化をするにあたって、重要なのは魂を顕現させるレベルまで魂関連の技術を磨くこと。これは、今あるそれっぽい技能をレベル上げすればいいかな。そして、きっとやれば地獄を見ることになるだろう星への到達。この二つが必要になるんだろうな。



そして、私の最終進化は、世界を出し抜きイレギュラーになること。それがきっと今回一番必要なことだとまとめよう。……それと、私がなんかこの人と関連がある立場、何だよね。よく覚えてないけど、そんなんだったと思う。これに関しては、今は真実を探るほかないね。



「ふふふ……私は()()何もできないけれど、貴女を見守っていきましょう。そろそろ貴女も戻った方がよくってよ。どうせ私から教えられることなんてもうほとんどないものね」



あっはい。正直私貴女のこと何もわからないんですけどどうしようもないのでとりあえず頷いときます。……あっそうだ。



「最後に一つ。お名前なんですかー?」



「……あら」



ありゃ?自分でもこの質問わざわざするとかコミュ症がバレそうでやだなーって思ったけど、何となく聞いとこうかなーって思っただけで、つまりは聞かなければよかったなって!



「……ふふ、面白い子ね。いいでしょう、私の名前は、そうねーー」




ーーレコーダー、とでも。



どこか戯けたような、そんな言葉と共に、金色の世界が、消失した。

( ):……。

(裏):あー。

( ):えっと、彼女はですね。まぁ、本来この世には干渉できない人のはずで……まぁ、お察しかと思いますので、ここでの発言は控えさせていただきます……。

(裏):その癖バカみたいに重要人物だからなぁ。この物語という名の世界においては特になぁ。

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