No.54拝啓、今尚淀み行く貴方へ 其の九
えーと名前は[一部の特殊種族について]?分厚いから関係あるところだけ抜粋かな。
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特殊種族。それは通常の魔物が進化する条件である種族レベルの上限達成とは別に、それとはまた異なる条件を満たさないと進化が不可能な種族。その条件は、行動によるものだったり、はたまた意思によるものであったりさまざまです。
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特殊な種族としても比較的知られている系統が契約進化です。主従の契約や、特定の何かに対する絶対防衛の契約を誰か、または世界と行うことで、その存在のレベルが最大まで満ちた時に、本来とは異なる進化先が提示されることがあります。
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これまでで話した通り、未だ系統がはっきりしている特殊進化は少ないですが。しかし、特殊進化について、少し判明していることがあるのもまた事実です。その一例を挙げてみましょう。
例えば、神格というパスポートを持たないもの、あるいは◼︎◼︎◼︎◼︎の中でも特に弱い存在であるワイドルイビット。その一角をもつ兎のような外見の彼らは、通常ならば彼らが正規進化で到達できる最高種ですら、生態系の中では中の上と言ったところです。
しかし、ここで主従契約の進化を行った場合、その種としての位階は跳ね上がり、兎系統最下級のワイドルイビットが契約したとしても一つの進化で上位に食い込むことができるでしょう。
これだけでなく、他にも様々な弱者が主従契約によって一気に強くなっています。しかし、この様なケースは実は元から上位種である存在にはほとんど見ることができないのです。
上位種として一般的な竜種。彼らが主従契約のみならず、他の特殊進化を行なったケースの観測結果はほとんど見られたことがありません。ましてや、記録になど残ってすらいません。
唯一、可能性があるとすればラプラス総統政府が誇る「ライブラリ・レコード」でしょうが……、その場所においても望む結果が置かれている可能性は低いでしょう。
このように、特殊進化には弱者の方が起きやすいという結果はあるのです。それでも、未だ特殊進化には明かされていないものが多いのです。もし、ご興味がお有りでしたなら、貴方も私たち「インへリアル学院」と共に研究してみてはいかがでしょう?
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そうそう、余談ですが、実は特殊進化は世界を超える可能性があるのだとか。眉唾物ですが、こういうものこそ案外真実だったりします。どうですか?興味は湧きましたでしょうか?
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えぇ……なぁにそれ。青龍なんて明らかにユニークな種族にどうやってなんだとは思っていたけど、もしかしてよいうかやっぱりというか青龍は特殊種族なのかな?それに主従契約……冥王さんは確かこの青龍たちにボスみたいなものがいると言っていたはず。中ボスとラスボス的な、さ。
……案外青龍の正体について核心をついている本なのかもしれない。直感で選んだけどグッジョブ私。と、な、れ、ば……?青龍さんが特殊進化だとすれば、やっぱり主従契約の可能性が高い。というか他の可能性がどういうものだかわからない以上そうと考えるしか道はない、からー……。
よし、外道作戦で行こう!
「閃いたな……くっくっく」
『何をなーの?』
「(´⊙ω⊙`)」
『その顔は一体何を表しているなーの……』
何ってそりゃぁ……。
「不審者を見る目だよ」
『顔面不審者はオールさんなーのー』
ははは抜かしおる。私の顔面偏差値を幾つだと心得る、無限だぞ無限。何せ「オール」だからな、あっはっは!
『……何か最高に頭の悪いことを考えている気がするーの』
「……最高に頭の悪いなことだよ」
まぁ、それはさておき。
『ところで何読んでるーの?』
「よくぞ聞いてくれました。こちら青龍討伐戦において役立つかもしれない書類デス」
『お、オールさんが有能行動してるーの……!?』
「おい、まるで私が普段バカとでも言いたいようだなベフェマ君?」
『回せないガチャを毎日毎日禁断症状のように回す人がバカでないはずがないなーのー』
みんなだって課金ガチャしてるもん!!天井までやって重課金みんなしてるんだもん!!私お金を無駄に浪費なんかしてないもん!!!
『これがカモってやつなのね……』
これは経済を回す立派な社会貢献だァーーッ!!!
しみじみとしたベフェマに論破され、負け犬の遠吠えをして倒れ伏した私を踏み台にして、ベフェマは私が座っていた椅子から机にある本を読み始めた。
「……どお?結構役立ちそうじゃない?」
『確かにこれなら青龍さんの正体もわかるから、万全ではないとはいえ、対策を立てらると思うーの。それに、この感じなら、私が持ってきた同調するものも想定以上に使えるはずなーの』
「それって……そこに置いてあるもののこと?見た目は全然無機物然としてるけどねー。攻撃能力あるの?」
私が目を向けた先、そこにはいかにも重厚そうなナニカが書斎の扉前に鎮座していた。
『試運転もバッチリ、攻撃もちゃんとできるーの!だから、この子を踏まえた作戦が--』
ふんふん相槌を打ちながらベフェマの作戦を聞いていく。成程、新しい情報をこれだけ早く既存の作戦に組み込んでアップデートするとは。やっぱりこの子優秀だな?
……べ、別に羨ましくなんかねーし。私だって高校時代は……そのぉ……、あ、あれだったから!うん。少なくとも悪くはなかったから。
そんな風にちょっと上の空気味だったけど、作戦自体は把握して。
『じゃあ、そういうことで』
「うぃ、りょうかーい」
作戦事情を把握。でも、まだ突入するには少し早い。この書斎と繋がっている最初の礼拝堂、右にも扉はあったのだ。ここまで来た以上、できるだけ情報は集めておきたい。
「それじゃあ私はもう一つの右の扉の方に行ってみるよ」
『それならわたしはこっちで別にいい情報がないか探してみるなーの!』
うんうん、頼もしい限りだ。正直私だと長時間本読んでると内容が飲み込めなくなってほーんすごいなぁ、しか出てこなくなるから助かるな。
と言うわけで上からキラキラと光が差し込む暗い礼拝堂を通ってもう一つの扉に向かう。思えばこんなおどろおどろしい真っ赤な世界からなんでこんな光が差し込んでくるのか。やっぱここの教会もファンタジー素材とかいうやつなのかな?
右の扉到着。扉には柳の紋様が描かれている。正直、竜巻ときて柳といったらどこかの青龍さんの種族名、まぁ決まった訳じゃないけどその可能性が高いあの名前からして間違いなく青龍と関係あるはずなんだよねぇ。実際左にはあったし。
まぁ、あの情報がなんで竜巻と関係あるかだけど……うん?じゃあもしかして青龍のあの風を操る能力は特殊なものなのか?……あとでベフェマと相談しようか。絶対私だけじゃ決められない。天才の力が必要ですわ!
「扉を開いた先にはなんと……?」
……へぇ。
そこにあったのは祭壇だ。扉から少し階段を登った上。こちら側が前になるように祭壇が置かれている。その奥には何やら得体の知れない女神像……この女神像が関係あるってことなのかな?……青龍とは多分別の人物のはず。あいつが人化みたいなことできるとは思えないし……やっぱり第三者の可能性が高い。
人型で、青龍の関係人物。心当たりあるねぇ……なんだよ、今日の私冴えてるじゃん。そうだ、そうだよ。この人絶対青龍の主人とかそういう立場の人だ。作戦的にこの女神像も持ってこれるかもしれないし、風向きがこっちに味方してきたかな?これは。
「他には……」
祭壇。特に何かが置かれているわけでもない。お供物でもしてみるか?いやでもそんなもの持ってないし……、まぁいっか。そんなに意味があるとは思えない。多分青龍から見えて女神像を崇拝していますよーって伝えるとかそういう意味でしょきっと。別に考えるのがめんどくなったわけではない。
「それじゃあベフェマのところに……と」
礼拝堂の方に視線を向けるとベフェマが尻尾を手代わりに振り回している。どうやら発見があったのかな?
『オールさん、結構いい情報見つけたなーの!多分青龍さんの主人さんについてなんだけど……!』
「あ。それならこっちにもあったよ。なんか姿みたいなものだと思う」
『おお!それは何よりなーの!これで青龍さんの精神を揺さぶって隙を作ることもできると思うーの!』
えぇ……なにそれ、結構外道じゃね?私が考えてた作戦もそんなんだったけどさぁ。
『……それじゃあ、準備はできたーの?』
「いつでも万端に決まってるでしょ?」
その言葉に、少しベフェマは苦笑気味に笑って、
『じゃあ、このダンジョンから帰りましょう!』
奥の扉へ、踏み込んだ。




