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No.50拝啓、今尚淀み行く貴方へ 其の五

( ):……本当に予約投稿しようか悩んできた今日この頃……

(裏):なんで使わないの?

( ):だってそっちの方がいいらしいんだもん。

(裏):喋り方がキモい。

思い返してみれば簡単なことだったのだ。水である飲料さんが動ける範囲に下が含まれないはずがない。……いやでもそれはそれで疑問が残る。だって私のスポンジ攻撃は確かに飲料さんの行動前に、泉全体を覆う形で完全に当たった。


つまり、私のスポンジから逃れるのでもなければ生き残れるはずがないのだ。なんでだ……、なぜだ。わからない。いや本当に案が出ない。水の精霊に他の特性なんてものがあったのか……?ない、いやないはずだ。水って言ったら流動する体。どんな形にもなれるその体こそが最大にして唯一の長所なはず。


ならば見落としているのはやはり別の場所?水……あのスポンジから逃げられる水があるか?いや、ない。水、水、ね。




……?


あいつは……、本当に水の精霊か?



「……」



あいつは相変わらずゆらゆら揺らぎながらこちらを睨みつけている。赤黒い夜に時折煌めくぬるりとした液体と、形だけとはいえ確かに意思が込められたその眼。その姿はどう考えても水そのもの。


だが、もしこいつが水でなかったら?いや、見た目は確実に水なのだが、中身がどうなのかわからない、という話である。


あん……?そういえば、飲料さんの種族名は確か……



夢幻隠霊。



あぁ、今度こそ理解した。こいつはやっぱり、水じゃない。そう、私はネタ半分に無限飲料などと言ったが、それのせいで無意識的にあいつを水系統の何かと判断したのかもしれない。



何も水に関する名などないくせに。



最初からここを勘違いしなければこんなギリギリにならなかったかもしれないのに……いやでも想定してる通りならこいつはタネが分かっても強いタイプだからなぁ……初見殺しもいやだけどこういうタイプも苦手だよ。つまり私は誰とも戦いたくないってことだねえ、うん。まぁやるけど。


詰まるところ、こいつは水の精霊だから変幻自在に、それこそ幻の様に変化するのではなく、幻の精霊だから、結果としてああいう形になったってことなんじゃないかな。



「アァッ?!」



飲料さんが突然現れた壁にぶっ飛ばされる。その先で待っていたのは私特製鉛玉。



「……」



そんな待ち伏せ攻撃に飲料さんは全く対応しない。まぁ当然だな、物理攻撃効いてないし。でもそんなことはもうわかりきっているんだよ、対策していないはずがないでしょ。


鉛玉が水の体を貫通する。と同時に指パッチン。ぶっちゃけ前世でこれ上手くできなかったんだが、こっちに来てから急にできるようになってきて驚くばかりである。


え?指パッチンをなんでやったのか?


カッコつけただけだよ。



「!?」



罠の起爆も兼ねてるけど。


ずぅううん、と音を立てて何かが飲料さんの体内を満たす。色からすると単純な白い煙と思うだろう。ただ、勿論普通の煙ではない。



「っ!!ッッッ!!?」



ゴボゴボと飲料さんの口から煙が出る。同時に飲料さんの体がみるみる内に小さくなっていく。うんうんそうだね、そりゃあこれは君にとっては猛毒もかくやな危険物だからね。


この煙は高吸収性ポリマー。自重より何十倍の量の水を吸ってしまう代物だよ。


そしてあっという間に縮み消えてしまった飲料さん。でも私はこんなんで終わってるなんて思っちゃいない。こいつはそうやってさっきも私に奇襲を成功させた。こっちももう後がないんだよ。


痕跡を探す。見たところどこにも飲料さんはいない。やっぱりまだ足りない。うーん。霧が深いなぁ。さっきよりももっと深くなっている。


むー。どこだ。本当に出てこないな、さっきみたいにまた奇襲仕掛ける気か?夢幻……、考えられるのはもう近くにはいるけど、姿を隠しているとか?幻で隠れてるってか、やりづらいな。



「それなら……」



両腕を変成する。変化させるのは……



「追い込み漁ってね」



網だ。『気配感知』でも引っかからない奴には物理で接触するしかない。正直こんなゴリ押しでどうなるのかとも思うのだが、できるだけやるしかない。



「っ……」



ちっ、見つからない。どうしよう。物理でも技能でも見つからない。このままじゃまた奇襲をかけられる上に、今度こそ終わる。



「む、この霧は……」



なんだ、霧がさっきよりも格段に深い。10メートル先も見えないっ……これは、まずいぞ!なんでこんな時にちょうど良く環境が……あ?



「そういうことか……!!」



こいつっ、隠れてたんじゃない!最初からいたんだ、しかもこの領域一体に存在する形で、技能を誤作動させやがった!


『気配感知』は視界内の気配を赤いもやがかかっているようにして敵の存在を判別する。そして、今こいつがそうだと知ったからこそ気付ける。この霧、全体が薄く色付いている。そう、薄いピンク色。


ならばこいつは--



『---ァァアアア』



霧全体が飲料さん!つまり、私はすでに彼の腹の中ということかっ!!

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