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No.46拝啓、今尚淀み行く貴方へ 其の一

( ):さて、第一節ラスボス。青龍編開始です。

『あの炎竜、途中から動きが変わったのをみて、思いついた心当たり。結論から言えば、あれは途中から何者かの人形になっていた可能性が高いーの』


「根拠は?」


『あの竜は、わたしが最初期から監視してた者なーの。呼吸の間隔、動きの癖などなど。特にわかりやすいものでいえば、途中からあの炎竜は、右利きから左利きになってたーの。あと、目に映る感情の色が明らかに急転していたーの。変化前までは焦りと敬意が入り混じっていたのに、変化後は憤怒と憎悪といった感じに』



私が思うに、このベフェマ君は、いやベフェマちゃんか?いやどっちでもいいだろ、ベフェマ君はちょっとスペックがおかしいんじゃないだろうか?おかしいでしょう、隠れながらとはいえ、戦闘中に監視しながらそこまで見抜くって。


じゃあ平常時なら私はできるのかって?バカを言っては行けない。私は平凡な顔面偏差値53万の女性だよ?そんな人間離れしたことができる訳ないじゃないか。


え?自意識過剰やめろ?ちっちっち(巻き舌)。わかってないね、前世では毎朝道ゆく人を男女問わず振り向かせてたんだよ?決して寝癖が爆発とかしていたわけではない。髪が長いと手入れも大変なんだよっ、察しろやぁ!


ああ、一応言っておくが、今の私は普通にストレートロングである。前世と全く同じだね、うん。面白さのかけらもないですが何か?悪かったな、なんの工夫もしてない長髪で!なんなら服も簡素なワンピースだよ!動きやすさ重視だからそんなスカート部分は長くねぇよ!


あ、今それならチラ見できるとか思った人たちいない?ざんねーん!私は過去の経験から絶対にスカートがめくれない動きを常に意識しているのです!


そこらのトーシロー達にこの完璧防御を破れるはずがない!なんてったってこれ道場の動きも混ぜてるからね、なんて言ったけこの歩法……うーん、私は記憶能力は高くないっ!つまり覚えてない。テヘ⭐︎


まぁとにかく、そういう訳で私は特に特殊なアビリティは持っていないというわけさ。強いていうなら古武術で風水流という親の関係で無理やり入れられた同情から得た技術があるくらいかな。


私がやけに変化しまくる肉体の適応したり、返り血浴びても平然としてるのはそこからじゃないかと私は思ってる。まぁちょっと首を傾げる理由だけど、そうとしか理由をつけられないんだもん。まぁ、流石にこんな適応能力を得るきっかけを忘れるとは思えないし、きっとそうなんでしょう。



さて、話を戻して炎竜の話だ。ベフェマの言葉が正しいならあいつは途中から別人とすり替わっていたことになる。



「そっかー、別人が乗り移ってたかぁ……ねぇ、ベフェマ。いくらなんでも無条件に相手を乗っ取ることなんてできないよね?」


『それはもちろんですーの。……も、もち、ろんですーの。わたしそんなスキルなんて知らないーの』



そうだよね。普通はないよねそんなスキル。そんなほぼ確定で相手の体の自由を奪えるスキルなんて、そんなそんな……w。



「さて気を取り直して」


『はい、聞かなかったことにして……と。まぁとにかく、支配なんて大それた効果をもたらすスキルなら普通条件があって然るべきなーの。この場合だと、事前に相手との同意を得ていたとか、圧倒的に力の差があったとか--』


「それか、相手がこいつの上司に当たる存在だったとか、だね」


『……まぁ、わたしも竜軍に続いてこんなものが送り込まれてきたら、共通点であるそいつらの上位種……まぁ、あのラスボスじみた龍を想起するのはわかるーの』


「うん、やっぱり私は相手はあの青龍以外にはないと思う。こんな格上だらけの環境でも、必死に足掻いた結果、今も私たちは無事に生きれている。そんな私たちが明らかに強者だと認識したのは、まぁさっき倒した炎竜もそうだけど、青龍しかいないと思うんだ」


『……まぁ、やっぱりそう考えるべきか、なーの』


「なんだか悪いように考えているみたいだね。目をつけられたとでも思ってるかな?それなら安心したほうがいいよ、あいつはきっとあの城の外には出られない」



眉を寄せ(蛇だけど多分そんな表情)、困惑した様子でこちらに尋ねようとしたベフェマは、口を開こうとして、何かに思い当たったかのように目を見開く。



『……そっか、こんな簡単なことを失念するなんて、わたしもまだまだなーの』


「気付いたかな?」



まだまだな人間、いや蛇は今回の件でいう黒幕の青龍、まで辿り着けるような洞察力はないと思うが、ツッコミはしない。そのまま手でベフェマを促す。



『つまり、オールさんはあの青龍は立場的にもおそらくラスボスだから、おそらくこのダンジョンから抜け出せる道であろうあの城を一時的にでも放棄はできないと考えているなのね?』



コレクト(正解)。心の中でキザに応えつつ、大きく頷く。あれが最初から自由に動けるならそれこそ竜の大群をしつける……まぁ、まだ青龍がやったっていう裏付けは取れないけど、多分あいつがやったそれを、そうその面倒くさく、回りくどいことをせずとも直接出向いて私たちを瞬殺するくらいできたはずである。


故に、あいつが直々に手を下せない今の状況では高確率で、あいつは私たちを倒せず、自分にとって不利になる己の行動パターンなどを相手に教えてしまったことになる。



「だから、相手の初動を少しでも予測できる今の状況は、きっと限りなくいい状況と言えるはず。今回の戦闘は得るものがたくさんあったってことだよ、つまりはさ」



ベフェマの目にキラキラと輝く何かが現れた気がする。心なしだが。だって爬虫類なんだもん。と、キラキラ(幻想)していた目が何かを思い出したように中空に目を彷徨わせる。



『あぁー……そういえば、オールさんレベルは今幾つなーの?』


「私?今回はめっちゃ頑張ったからね、なんと驚異の54さ。もう少しでもあげればすぐ進化できるよ。はっはっは、悪いねぇベフェマ。今回は私が先に進化しちゃ……うん?そういえばなんで今その話を出した?」



爬虫類ゆえに表情が読めないベフェマは、それでもなんとなくわかる申し訳なさというか、なんというかそう。哀れみの表情を浮かべている気がする。



「……なななっなっな、まさか!まさかまさか!?」



とある非常に、そう非常に認め難い事実に、いやまだ事実とは確定してないしただの懸念というだけの可能性もなきにしもあらずで--!


どうやら現実の女神様は非常に、そう非常にクソな性格をお持ちのようだ。その性格とは、簡単にいえば人の不幸は蜜の味、といったところだろうか。まぁ、即ち……。



『わたし、進化できるーの』



急に発狂しながら森に向かって走り出して、そのまま木の根に引っかかって顔面から倒木と、熱い抱擁を交わした私が正気に戻るまで十分かかった。

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