No.44これはただの準備体操
( ):え?一時間投稿遅れ?気にすんなw
(裏):周り誰も笑ってないよ
( ):えっ
「グゥウウオォアアアア!!」
んのっバカ硬いなおい!?木に撒き散らしておいた血から変成した針は一切刺さらない。鉄の鞭で拘束したのにまるでないかのように千切られる。流石は最強種族と名高いドラゴンだ。そんな名誉ある称号なんていらないだろ、捨てちまえよそんなもん。鱗剥がしてやろうか。
だが、これだけでは驚愕は終わらない。ただの竜ならこの前大量に戦った。そんな私が驚愕するようなのは、もちろんそいつが保持する圧倒的な能力。
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種族:スモーザー・リリゲイトー Lv52/77
状態:通常 ランク:B
称号:【即制隊長Lv3】 副:【灯籠術師Lv5】 STC:
HP:299/299 MP:350/350
STR:344 VIT:319 AGI:332 INT:325 MND:269 DEX:313
技能:『炎竜Lv4』『剣術Lv7』『火魔法Lv9』『炎耐性Lv1』『落下耐性Lv5』『斬撃耐性Lv2』『即興編成Lv8』『称号授与Lv1』『光魔法Lv3』『配下扇動Lv1』『配下治癒Lv1』『光耐性Lv2』『重撃波Lv4』
『離別の一撃Lv3』『強力Lv7』『気配感知Lv6』『増魔Lv3』『堅牢Lv1』『護法Lv4』『疾走Lv3』
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いやっ本当にやばい!強いのは百も承知だけど、こんな差が開くことなんて……いや、意外にあったか?まぁともかく私が言いたいのは想定以内ではあるけど、最悪のケースの近いということだ。最悪でないだけマシだね。
「その攻撃はフェイクだ、雑魚に翻弄されて悔しいねぇ!詐欺にでもあっちまえ、あんぽんたん!」
オレオレ詐欺でもしてやろうか!もしもーし、私だよ私、今ちょっと困っててさ。ちょっと、命置いてってくれない?ダメかよ、なら代わりにお前の首を貰おうかァっ!……いや、これただのやべーやつでは?
「ガァアッアァア!」
「いぃいやっはあああああ!?」
やばい、どっかの小さくて可愛いやつが出てくる世界線にいそうなうさぎが出てきてた!私はあの裏がありそうな世界線の住人じゃないんだよっ、面も裏も真っ白じゃい!まさに漂白剤の如くぅ!
「ちょっ、洗濯機に入れられる服体験会ぃい!??」
漂白剤は漂白剤でも洗濯に使う方ではなぁい!断じてっ、なぁい!!
くそっ、埒が開かない。このままじゃジリ貧だ、どこかで打開しないとベフェマの手札も上手く刺さらない。また飛んでくる炎の球、それも複数あるそれらを全部避け切る。
そう、これはまごうことなき竜の魔法。遂に出てきたスタンダードな魔法だ。今まで存在自体はいくつか確認していたが、明確に魔法っぽいものはみてなかったはずだからね。こんな状況じゃなければ感動していただろうに、全く。おのれ青龍。
え?なんで青龍がここで出てくるかって?青龍は龍じゃん?んで目の前にいるこいつは竜じゃん?つまりそういうこと。まぁ、ぶっちゃけただあいつに然るべき時まで鬱憤を溜めておくってだけだけど。
「よぉし、ここでターニングポイントだ。いつまでも小蝿と鬼ごっこじゃつまらないでしょ?私なりの親切さ、さぁありがたく受け取ってくれ!」
ここで、木々が薙ぎ倒されて、倒木が沢山ある空き地に到達する。ここも決戦の候補地の一つだったけど……このままじゃ打開できない以上、こちらも札を切るしかない。
「グォア?!」
倒木の近くに恣意的に撒いた血の痕。そいつらを変成すれば、はいこの通り。ご覧の通り、地から湧き出た蛸足のような太い触手がぐぐっ倒木を掴み……放り投げる。
勿論こんな程度でダメージを与えられるとは思っていないが、目眩しと妨害にはちょうどいい。現に炎竜は翼に丸太が当たりまくって動きを阻害されている。これで、より一層どこから倒木が襲ってくるか木々を縫い視線を巡らせるだろう。つまり計画通りということだ。
さて、その間に私は炎竜さんのお腹へ向かって全力跳躍。そんな私を目ざとく見つけた彼はそのまま腕を一振り、私の頭はドパーンとなる。だが?
「グォっ!?」
突如顎に激痛が。目を向ければそこには……
「私メリーさん、今あなたの顎の下にいるの」
はい、そのまま刀でザクザクザクぅ!あー、全然削れなーーい。でも、着実に疲労は蓄積しているか。その点において死霊は本当に有利だね。肉体疲労?何それ美味しいの?状態ですから。
私がやったのは簡単で、形だけ似てる肉人形を作っただけだ。結構消費が激しいけど、『自己再生』でそこは体力を削ってなんとか誤魔化す。その肉人形だってお世辞にも似ているとはいえないんだから困るよね。
でも、これもこいつに……というよりは、竜種自体に使えるみたいだね。うんうん、やっぱり竜種自体……ん?
おっと、ここで行動が変化したか。うんうん、羽ばたきをやめて?大きく息を吸い込んで?口内から漏れ出た光はまるで超高温の炎のよう。うん。
「ブレスはあかんやろぉおおお!」
「ガァアアアアアアアアアア!」
何をとち狂ったか、縄張り丸ごと焼却し始めた炎竜さん(年齢不詳)。いや森林破壊はあかんやろ。あなた自覚ありますか?お家燃やしてるんですよ、自分の吐瀉物で。何それ気持ち悪い。
そんな小蝿のために家を犠牲にし始めた炎竜さん(アホの子)のおかげで目眩しも隙もできた。こうなれば話は簡単だ。
あっ!?くっそー、私が準備してた血も消し飛んでやがる。あれ結構設置も消費も激しいのにぃ!えーい、この恨みは今返させてもらうぞ!消し飛んだ赤血球と白血球と諸々の仇ぃ!
「……これ、べフェマちゃんと奇襲できるかな?」
周りを見ればなんとまあ消し飛んだ焼け野原。竜軍と戦った時も結構な焼け野原だったけど、これどっこいどっこいだデスね?
「ふぅむ……ぞれじゃあ、もうちょっと後退しようか、ベフェマには対応してもらおうかな」
そうと決まれば辺り一帯焼け野原な森林でも、残ってる派やしの方へダッシュ。なんか後ろから火の玉が掠めまくってくるけど当たらなければ問題ない。ちょっ、熱い!熱いって!
「ぜぇ、ぜぇーーおぉっとぉ!!」
木の裏に回り込んでも全然バレてーら。まぁ元々私は陽動役。お役目十分にこなして見せましょう。
「そのためにも……さぁ、トリックのお時間だ!」
言葉と同時に、炎竜へ飛び出した私の姿が、竜の爪に捉えられるより前に爆散する。思わずのけぞってしまった炎竜の、その僅かに空いた口内に、鱗の隙間に、爆散した私の血が降りかかる。そして付着した血は……即座に強酸へと変質する。
爆散して私が自爆特攻とでも思ったのだろう。流石に煩わしいとは思ったのだろうが、相手の死亡の対価としては安いものだ。炎竜はその目に灯る怒りの色を消し、
ーー消したところでその視界が片方吹っ飛んだ。
「!!????」
思わず残った右目で左目の方に目を向ければーー
「私はトマトの妖精!」
返り血を浴びまくった、竜の目が狂っていなければ随分と小さくなった強敵と目が合った。
「この階層で竜を狩っていて一つ推測したことがある。それは竜の特性」
刀を押し込む私と顔をのけ反り、私を振り落とそうとする炎竜。どちらも互いの目を射殺さんばかりに睨んでいるが、その目の純度は違う。
「竜の軍勢を相手にしていて引っかかった。竜の大将と対峙して閃いた。そして今、その仮説は現実味を帯びている」
炎竜がついに私を振り落とす。中空に浮いた私を引き裂かんと竜の前脚が迫るが、冷静に刀を吸盤へ変えて、地面に急接近。難なく回避する。
「君も、いつかの大軍も、その大将も、みんなみんなそうだった。ーーねぇ、君たち。正々堂々好きでしょ?」
私の言葉は、言語を理解しないはずの竜を一歩引かせた。
Tips:竜種
正確にはオールが現在戦っている相手は、今までのものたち含めて一切「龍種」に該当するものはいない。しかし、その下位互換かつ、より多く世界に繁殖している存在としての竜種ならばオールは何度も戦闘をこなしている。彼らは龍種同様に基本的な能力値が高く、それに加えて魔法などにも適性が高い極めて優れた種族である。龍種と違うのは、そもそも「神格保有者」でないことと、龍種の力の根源である「概念」を持っていないことに由来する。
そして、その竜種には身体的特徴とは別に、そこから派生したもう一つ、竜種ならば総じて持っている精神的特徴がある。




