No.33 龍の楽園
( ):・:*+.\(( °ω° ))/.:+
(裏):↑投稿ミスでテンパりまくって頭爆発してるやつの図。
( ):と、とりあえずカバーしたけど大丈夫かな……!
(裏):ウチのバカがすみません……。
( ):とりあえず抜けてた三話分一気に公開します。
◆ 青の龍宮 第五十階層最奥部 【夢見る光の崇拝神社】
ふと、龍は目を開いた。ずっとそこで眠るようにいたようにも、ついさっきそこに座ったようにも見える龍は、その疲れ切った目に映る何度も見てきた光景を映し出す。なのに、それでも休むことを許されていないかのように、その体は働き続ける。この迷宮の最後の敵として。
彼は、何度でもあの時を思い出す。そうでもしなければこの現状に耐えうることができないから。
だが、今日もそうして何度も懐古の感傷に浸っている時、龍はふと思い出したかのように遠く離れた地ーー今は竜の大軍が押し寄せているその場所へと意識を向け、一瞬でその地の情報を全て把握した。
現在進行形で森を侵略して、何よりその森にいる一つの人型と蛇と交戦している竜たちは、何を隠そう龍の仕業である。
傷だらけの死霊。後方から押し寄せる竜たちを人型に背後から奇襲させないために必死で食い止める蛇。そんな彼女らをみて、龍は、
何も感じない。
なぜなら、彼にとってはそんな感情が生きていた時のことなど、もうとっくに過ぎ去っているのだから。彼にとっての人生はもう終わっていて、今はもうただの余生。
彼にはもう、たった一つの使命しか残っていないのだ。
そして、森の惨状を引き起こした理由を龍は思い返す。少し前、龍にとってはもはや時間の流れを気にしていないが故の感覚のため、実際にはもっと前の出来事で、この地に蔓延る竜の群れ、その一つが壊滅したことを報告された。
常ならば竜の群れがどうなろうと形式上でしかない眷属の彼らは龍の興味を引くに足り得ない。しかし、その時は事情が違った。
龍が受けた報告は、その壊滅の下手人は人型の何か。そう、その前日かその辺りに管理人の切り札から連絡が来ていたときに龍に託された存在と同じ者だった。
龍にとってはもはや使命を果たす以外には全てどうでもいい。だが、曲がりなりにも管理人の切り札というその存在の立場は、彼の興味をひいていたのだろう。
だから彼は、気まぐれにその切り札を葬った存在に託された雑事を済ませようと考えた。
それだけ。彼が竜の軍を差し向けたのはほんのそれだけの理由なのだ。彼の気分で、どこかの人型は襲われなかった可能性も十分にあった。それでも、今は少なくとも襲われている。
圧倒的な力を用いて傲慢に振る舞い、他者の命を、己の命を容易く踏み躙らんとする。それは、龍にとっては考えることすら疲れた結果の行動であり……
どこかの人型がその事実を知り、怒りを起こすには充分なものだった。
⭐︎⭐︎⭐︎ 【暗殺者】 ベフェマ
何度目かの爆音が響き渡る。目を向ければそこには焼け野原。
オールさんも加減がないなぁ……。
彼女は戦闘の最中に動き回りながら、傷を負うついでに血液をばら撒いている。ただ、その量は前回とは控えめだ。前回貧血で倒れたのを覚えているのだろう。
近寄ってきた魔物を『共鳴』でこちらも撃破する。今回は殺意を共鳴して同士討ちを行なっている。一部はやはり引っかからないが、大部分は引っかかるから問題はない。オールさんは適性がどうのと言っていたけど、本当にこのスキルの適性は大丈夫なのだろうか?
効果に対して、引っかかる魔物の数が多すぎる。壊れスキル、ここに極まれり……といったところかな。
でも、わたしはこのスキルを与えられただけで、何一つ応用をできていない。だからきっと……彼女に並べない。
わたしは前世からずっとこうだった。与えられたものを享受し、それを何一つとして活用しない。応用ができない。周りは賢いだなんだと褒め散らかすが、それはただわたしが生まれ持ったもの。わたしはただ、少し頭が良く生まれてきただけなのだ。
そう、わたしはずっと、決められたレールに乗せられている。親の意見に従い、学校での指示に従い、冥王とやらのゲームの指示にただ乗せられ……そしてそれは、今も続いている。
オールさんに指示されて、それに従うだけ。そこで、わたしは自分の意見を言うことをしない。できない。だって、わたしは与えられてしかいなかったから。……わたしは、自分では何も選べなかった。
今は離れて前線で戦うオールさんの姿を見る。本当に……眩しいなぁ。
血を撒くために、全身は傷だらけ。数々の場所を食いちぎられ、横腹は特に痛々しく一部が抉られている。
そんな中で、彼女は未だその歩みを止めない。死霊で痛みを感じないから?いいや、それは違う。誰であろうと体が失われていく感覚をまともに耐えられるはずがない。それに、オールさんは痛覚こそないが、傷を焦りとして認識するらしい。
焦燥と恐怖の中で、ボロボロの身体で、もう倒れてもおかしくないのに。
彼女の目は、ずっと、輝いている。その肉体はもう死んでいるはずなのに、彼女は誰よりも活きている。
あぁ、羨ましいなぁ。わたしは、最初会った時には自分の感情の把握を優先していた。実際今でもそれがなんなのか知りたい。
だけど、彼女と一緒に過ごしていて、少し、彼女自身に興味を持った。
別に一見して不思議なことはないだろう。彼女は表面上は普通の当たり障りのない一般的な善良な小市民だ。あくまでも表面上では。
ある程度踏み込んで、観察したから理解できる。オールさんは、重い何かを蓋している。きっとオールさんは無意識なのだろう。特定の条件が含まれる話をした時に、声音が変わることも、目の輝きがどこか冷たくなるのも、きっと無意識だ。
そして何よりも、彼女の裏人格の存在。あれで何か彼女が暗い過去を持っていることは理解できた。
「爆弾第n回目どーん!」
また爆弾が起動した。きっと、彼女はこうして蓋をして空元気で生きていくのだろう。だが、きっといつまでもそれではいられない。いつかきっと……向き合う時が来る。
『だから、わたしは……』
だから、その時までに、彼女の肩を支えられるようになろう。並んで見せよう。
……ん?今、何か心をよぎったような……なんだ、大事なことのような気がするのに思い出せない。どころかどんどん思い出せなくなっていく。なんだ?絶対大事なものだと思ったのに。例えるならそう……扉のようなーー
考えられたのはそこまで。先程とはまた違う爆音が響いたと思ったらオールさんはティラノサウルスと対峙していた。他にも取り巻きが多くいるし、分が悪そうだ、これは加勢に行かないと。
『そういうわけでー……』
チラリと残りの魔物を見る。うん、大体15か。なんとかなるね。さて、彼女に並ぶための最初の戦いだ。
『まずは選択できるようにならないとね。あ、でもそれ以前に君らの殲滅か』
十数分後、そこにあったのは死体だけだった。
Tips:ベフェマの前世
よくある高学歴大好きな親の元に生まれた子。親が幼い頃から英才教育を施し、勉強など毎日何時間もやって当たり前な生活を与えられた。
そして、常人なら子供として真っ当な反抗をするはずだった状況でも、ベフェマは当然のように受け入れ、そしてそれをなまじ才能がある分あっさりこなしてしまった。
結果起きるループは、親に与えられた課題をこなし、親に与えられたハードルを超え、親に勧められたことを行う結果へとつながった。ベフェマは、それでも何か感じたわけではなかった。
時間が経って、彼女は高校生になった。小学生の頃からあった小さな歪み。周りと自分との間に存在した微かな、けれど深い溝。中学校ではそれは表出しなかったが、高校では違った。
眉目秀麗。文武両道。頭脳明晰。けれど中身は空っぽ。そんな彼女に周りの生徒、教師たちはーー。




