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No.32拠点を作る際に必要なこと

( ):あー……マジでもう金曜な気分。

(裏):はい(仕事の山)

( ):お前人間じゃねぇ!

(裏):そうですね。

( ):……そう言えばそうだった。言い返せないこの悲しみ。

⬜︎






おはようございます。いい朝ですねー、空がなんかもうエグい色になってるけど。というかなんなら太陽ないけど。


隣にいたベフェマを起こして、昨日の鶏肉を食べてもらう。蛇だから表情とかはわからないんだけど生肉を食べて味は我慢できるのかな?というかそもそも蛇に味覚ってあったっけ?うむむ……覚えていないや。


あ、でもベフェマは前にお肉美味しいとか言ってなかったっけ。じゃあ意外と美味しく食べれたりして……



ーー真顔で肉を食べるベフェマを見た。



「ひゅっ……」


『およ?オールさんどうしたーの?……ちょ、なんで離れるーの!?どうしたーの!!?』



あれは殺してる、殺してる奴の目だよ……!目が、目に光がなかった……!怖いぃ……。



「ちょっと百メートルほど離れてもらって」


『!?』


「なんならもう私の背中に回ってもらって」


『!!?……って意味がわからないーの!?』



まぁそれは置いておいて。



「ベフェマ、今日から多分結構な期間此処に滞在するだろうから、レベリングも兼ねてここの改装も始めよう。目標はアパホテ⚪︎だよ」


『それホテル!?しかもわたしが結構好きな!!』


「限定された一部屋の中であの効率的な家具の配置!家具の品質もさることながら、アメニティまで備えられている!あとなんかエントランスが綺麗!」


『ベタ褒め!?あとなんか本音漏れてたーの!?』



ぽんぽん、とベフェマの肩を叩いて告げる。



「楽に考えよう。つまりア⚪︎ホテルは最高」


『よくわからないけどIQが下がってそうなーの!?具体的には3!』



いやいやいや、いくらなんでもそんな低くはないよ。普通の人のIQは110だよ?






だから私は53万に決まってんじゃん。












「……うーん」



私たちは今森で採取をしている。採取と書いて狩りと読んだりはしない。



「ギュオォオアアアア!ギュゴッ!?」




脳天を撃ち抜かれた大型犬くらいの恐竜。それを一瞥して再び考えに耽る。


……誤解があるようだね、もう一度言おう。採取と呼んで狩りと呼んだりしない。ほんとだから、マジだから。



『あ、オールさーん。良さそうな木材を見つけたーの!これちょうど四角になっててベッドに使え……オールさん、もしかして生物を殺さないと落ち着けないの?』


「私はシリアルキラーか」


『みぎゃー!?ちょっ、ほっぺをこね回さないのー!?なんでこうなるーのー!』



悪い子はお仕置きしないといけないね?あっ待って、今の殺人鬼っぽい。まさか本当に……?


ほっぺを引っ張られている蛇顔を見て思ったことは一つ。




「少なくともマッサージ師の方が向いてる」



三分後。





「さて、休んでる暇はないよ。頑張って働こうか!」


『ふみゅー……』


「もう疲れたのかい?メンタルが弱いぞ!黒歴史をさらされてもポーカーフェイスを貫けるくらいに面の皮を厚くするんだ!」


『なんかキャラ変わってないなーの……?』






さらに三分後。






『ようやく立ち直ったーの……』


「お、ようやく戻ったか!判断が遅い!……あれ?どうしたの?ベフェマ?ベフェマー?」


『……ふ、ふふふ』


「……あー、えーっと、うん。これはアレだな?仲間が突然ウイルス変異でゾンビ化しちゃうシーンだな?」


『蛇がゾンビ化なんて聞いたことないなーのーー!!!』


「た、退避ーッ!!」







さらにさらに十ぷ(略)





「はぁっ……はぁっ……」


『もういいから当初の目的に戻るのね……』


「そうだね……」



私たちはいつのまにか拠点の近くにまで戻ってきていた。泥沼の鬼ごっこの結末である。あいや、私がそんな美しくないことをするはずが(略)。


そもそも美しくないとは(中略)。


つま(略)



『……オールさーん?戻ってきましょー?』



はっ!?美しさから始まる宇宙についての哲学を考えていたせいで(何も考えていないともいう)思考の彼方に飛んでいくところだった。



「うん、ごめーん。じゃあもう一回戻るかぁ。確かベッドに使えそうな木材があったんだっけ?」


『いぐざくとりー。四角の木材で、その片面に力を加えると、バネみたいに戻るーの。ベッドとしては品質のいいものほどーー』



そうして先ほどの採取を行っていた場所まで戻ると。



「ぎゅぁ?」

「ぎゅぅお」

「ぎゅあぎゅあ」



そこにいたのは、この泥沼鬼ごっこのある意味原因とも言える恐竜の……群れだった。



『……なぁんでこうなるのぉ……?』



肉体を変成させながら相槌を打っておく。まぁ、どこで何と出会うのかも運次第。こればっかりはどうしようもないからなぁ。



「ベフェマはいつも通りーー」


『奇襲なのね?おまかせなーの!』


「お、おおー、すごいな、心理学でも習ってたんか?」


『勘ですーの!』


「……そっか」



待って、ベフェマが優秀すぎてやばい。これは私の戦闘力を上回る日が来るのでは……?ていうかもう上回られて……はい思考シャットダウン。



「よーし、特に理由はないけど活躍しちゃおっかなー!理由はないけどね!」



すまん、恐竜くんたち、ちょっと分析してる暇ないわ。私の心の余裕を取り戻すため、犠牲になってくれ。


さて、やることはいつも通り。刀で一体ずつ恐竜を屠っていく。焦りからか、今日は特に攻撃の型が使いずらい。そういえばいつのまにか『風水刀然』が発生していたから、刀の威力が増しましなんだよねぇ。


おかげさまで苦労なく恐竜を倒せている。銃に変成する必要もないほどあっさりと片付いている。さらに、ここで急成長中のベフェマの奇襲。


元々いた恐竜60体近くが、今ではもう14体程度。なんで15体じゃないのか?なんとなくだ。


そんな恐竜もどんどん倒れていって、遂に最後の一体も倒れて、辺りには目が×印になった少しコミカルな恐竜が散らばっていた。


いや、死体にコミカルっていうのは少しサイコパスみがあるかもしれないが、弁明をさせてほしい。実はこの恐竜、本当に漫画から出てきたような、なんというか、輪郭がはっきりし過ぎているのだ。さらに形もデフォルメされて、さらに目が×印ときた。


これはもうどう考えても漫画の動物と言っても良いと思うんだ。でも、なんか違う気がするんだよなぁ…ん?


理解した。こいつら、傷口から血が出ていない。珍しい奴らだったから見落としていた。



「ねぇ、ベフェマ……」



これは……ちょっと不味いかも。


通常、致命傷と即死とは少し違うとされている。少なくとも私はそう考えている。違いは、致命傷は近いうちに処置を施さなければ死んでしまう傷。即死はそのまま即座に死ぬような傷。


そして、私はこいつらを切り付け、即死でなくとも全員が致命傷であると考えた。なぜか?それは、出血の存在。いくら傷が小さくとも、ずっと血を垂れ流していれば貧血で倒れる。


それよりも重い裂傷を負ったのなら当然流れ出る血も増えて、出血多量で結局は全員死ぬ。私はさっきまでそう考えていた、んだが。


そう、これはこいつらにとっては致命傷ではない可能性がある、ということだ。そして彼らがまだ動けたのなら……逃げた可能性もある。



どこへ?彼らの()()のところだろう。そう、私が今一番危惧しているのはここだ。



「ベフェマ、少し事情が変わった。全員の心臓を抜いておいて。わからないなら、首を落としておいてほしい。後、もしかしたら途中で逃げる奴もいるかもしれないから、周りの警戒を特に密にしてほしい。できれば隠密もしておいてほしい」


『……オールさんがそこまで言うってことは、危ない状況なーのね?』


「うん、最悪の場合ーー」


「青龍が来る」



ベフェマが息を呑んだ。そうだろう。私もそこに思い至った時背筋に寒気が走ったから。


脂汗が額を伝う。そう、今の私は汗が流れる程に、本来なら機能しないはずの汗腺が恐怖で動いている。この体は基本的には最低限の機能しかないが、感情の昂りによって一部機能が活動することがある。


原理は……今までならわからないと一蹴していただろうが、私は生憎と自分を理解する必要がある。青龍についても考えるが、その前に。



私の身体機能の把握。自分についての理解ができてない奴が、格上相手に勝てるなんてあり得ない。改めて考察を入れておいた方がいいはずだ。


……ふぅ。片手間に済まさせてもらおう。すでに仮説はいくつかできているからね。



一つ目、この身体が本当は死んでいないということ。単純に特性として普段は身体機能が制限されているという説。あり得なくはないけど、精霊という種の特性を考えると少し違うと思う。



二つ目、この種族自体が生きながら死んでいる矛盾した存在のため、身体的特性が可変するという説。これは正直あんまりないかなーとは思っている。そうだとするとタイミングが良すぎるからね。初めて白虎に遭遇した時とか特に。



そして最後、これが一番ありえると思ってる説で、この身体は精霊の特性を実体ある肉体に落とし込んだものという説。これはさっきの死霊の生きながら死んでいる、という特性を落とし込めずに、混ざり合ったという説とは逆に近い。



要は、この種族の特性は実際は特殊なものではないという説、生死物の矛盾した特性が混じり合って不規則に片方のものが表出するという説、そして物理的肉体と精霊という矛盾する特性をどちらも同程度に併せ持った説。



まとめたことでわかったけど、やっぱりあり得るのは三つ目。


一つ目は『霊体変換』とかができる時点で特殊すぎるから正しくないと思う。


二つ目は不規則に特性が表出するというには、特定の場面での表出する機能に法則性があるということからやっぱり違うと思う。


それに関して三つ目なら結構説得力があるし、矛盾を見つけられないから、私の身体の説明としては、三つ目。


精霊としての特性は、致命傷とかによる即死の無効化が、本来の精霊の完全物理無効の劣化特性。首とかを貫かれても普通に動けたし、精霊としての特性を入れるならこの辺りだと思う。


そして、その代わりに本来精霊が持たない肉体を持っている。


この二つの特性を統合した結果が生死物という死霊。精霊と普通の肉体を持つ生物を合わせたらなんで死の要素が入るのかはわからないが、とにかく私は特殊な性質の種族ということがわかる。


まぁ死霊なのは肉体が精霊の要素が混じったせいで死んでいるからだとかかなー……。よし、これで理解できたと言えるだろう。……間違えてたら意味ないけど。



まぁざっとこんなものか。これからもできることは理解するよう努めるが、それよりも今は青龍のことだ。



『……何かわかりましたーの?』


「まぁ、わかったと言えばわかったね。ただ、今の状況に関することじゃないから、そこは期待しないでほしい」


『ふーん、なの。わたしも考えてみたけど、オールさんが言ったやばい状況の理由って、恐竜が、青龍とおそらく同じ種族系統で、だからそいつらは青龍の部下だと思ったからなーの?』


「そのとーり。であれば話は早いね。……私たちは早急に青龍、もしくはそれに近い存在が、複数で来ることも考えて対策を立てなければいけない。そのためには……」


『改装よりも戦力増強を優先するってことなのね?』



ベフェマがとてもいい顔で尋ねた。なので私も真剣に答える。






「いや、⚪︎パホテルは作るが?」




ベフェマがギャグみたいにひっくり返った。



『……えぇ?いや、対策するなら強くならないといけないよねなーの?』


「甘いねベフェマ、欲望を満たすことはパフォーマンスの上昇になるんだよ?」


『甘いのは欲望への抑止力なーの!?』



むむっ、上手いこと言いよる。



「仕方ないなぁ……じゃあアパ⚪︎テルへの改装は、机抜きでいいよ」


『全然譲歩しない!?』





結局⚪︎パホテルの改装は見送りになった。





こんなところで諦めると思うなよ……!






⬜︎






それから幾日も経って、日々魔獣を狩りまくって。



スキルレベルを上げて、種族レベルを上げて。



私のレベルは22から30。ベフェマは25へ。



ついにその時が来た。







見渡す限りの大群。それら全ては……竜。私が前に滅した恐竜から飛竜まで。この階層にいる全ての竜が集まったと考えるほどの数が。


私たちが居を構えている森林に迫るそいつらの全貌は、きっと今私がいる大樹の頂上からでもなければ見えないだろう。もうそろそろ先頭の列が森林に突入しそうだ。


……予期していなかったわけではない。ちゃんとその可能性を考えていたからこそこうしてレベリングをして出来うる限りの対策を施せた。それでも、やっぱりない可能性を願っていただけに……この状況はとても苦い。


私も、ベフェマもだいぶレベルは上がったと思う。だが、できれば進化まで持っていきたかったのが本音だ。相手の初見殺しなどもまだわかっていない。


この状況は、見る人によって良いか悪いか判断が分かれるだろう。それでも、ここまで色々無駄なことを考えてきたが結論は変わらない。



「ベフェマ……勝つよ、生きるために」



傍に居るベフェマは、大きく頷いた。



『ここまで修羅場を乗り越えたわたしたちなら困難余裕なーの!被ダメゼロにしてやりますーの!』



うん、とてもいい返事だ。それじゃぁ……竜の大軍殲滅戦、スタート。







ところでフラグ立ってない?

( ):……実はこの戦闘描いてる途中に生えてきたから、設定とかガバってます。

(裏):おい

( ):なのでっ、ん?と首を傾げた方、どうかみなかったことにしていただきたく……っ!

(裏):温かい目で見てくれな

Tips:青の龍宮最下層

 端的に言えば竜の楽園。作られただけの紛い物だとしても、それが竜であることに変わりはない。純粋に高い身体能力をいずれも持っている彼らは、例えそこら辺で会う雑魚敵のようなポジションの相手と戦うとしても、それなりの消耗を覚悟する必要がある。

 

因みに彼らは雑食なので、お腹が一杯の時に出会っても食べられることはない。逆のお腹が空いてると共食いを起こすので案外戦わずに済む抜け道は多い。趣味は弱者をいたぶること。


それらを束ねる親玉は、撃破目標のうち一つ。人生ならぬ龍生に絶望している鬱病患者です。ホントだよ。嘘じゃないよ。

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