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No.30おや……?運営の様子が……

⭐︎⭐︎⭐︎【刀士】 オール・フォルタム



……ん?うーん……あっ、ッ!!


寝ぼけていたが、先程までの記憶を取り戻し、瞬時に厳戒態勢へと移る。そして、傍らのベフェマに声をかけようとして……



『zzz……もう殺せないなーの〜』



物騒なことを宣いながら寝るベフェマの姿が見えた。どうやらもう水晶はいないらしい。私が寝てる間に何が起きたのか。わからないが、ひとまず拠点に戻っておこう。周囲には明らかにベフェマのものではないだろう綺麗な断面を晒した魔物の死骸が転がっている。


ほとんどは、私が殺したと思うが、中にはより綺麗な断面になっているものもある。もしかして、ベフェマとは別の存在がいたのだろうか?聞きたいところだが……流石に今は眠らせておこう。






◆ 【?? ラプラス】 外部近郊 <虚の余海>






「ご、がっ……!?」




断末魔を上げて崩れ落ちる()()()()()()()を一瞥し、すぐに興味を失ったように視線を逸らす異形の何か。



彼女……レヴィティは心底興味がないというような冷たい眼差しであっさりと告げる。



「君さぁ……あたしが油断してるとでも思ったの?そんなあたしの余裕と油断の違いも読み取れないような君があたしに一矢報いることだってできる訳ないじゃん」



彼女はそう言って周りにある泡を見回した。


いや、泡、というには()()()()()巨大な球体の何かがそこにはあった。



ーーそれも、無数に。



そう、ここは<虚の余海>。無数に存在する()()の外。今はあらゆる世界に存在する<境界>により、その姿は見えないが、彼女と同格、あるいは彼女より格下であってもとある特性を持っていればそれを透過して、中の世界に入ることができる。



「同じ()()を持ってるからって図に乗らないでほしいなぁ。そこの<境界>を抜ける時だって、気配がバレバレだったよ?それに何より……君では【神道】を持ってないじゃん」


「く、ぅ……この、外道が……!」


「別に卑怯でも外道でもなんでもない。あたしはただ自分の能力を使っただけだよ?それが姿形を変えた偽装からの不意打ちであろうと、ね」


「……すみません、レングメンさん……!」



その名を告げた瞬間、今まで飄々とした雰囲気だったレヴィティの空気が、変わった。



「……君、そいつはさ、まさかそいつは……楽園喪失(ロスト・リゾート)の生き残りか?」


「……!」



レヴィティはその沈黙だけで自分の危惧が当たったと確信した。


レングメン……それは「蟲壺計画」の発足の理由でもあり、その生き残りを用いて滅ぼすつもりの世界、

【原彩 ディアフィクシャ】に存在するであろうその世界の大将にして、彼女らが秘匿して他に知られないよう知っていた者たちを抹殺した情報、失われた歴史を知る数少ない存在。



「あいつ……やっぱり生きていた……!ほんっとうにしぶとい。でも、でも……、次は必ず潰す……もう、前の惨敗したあたしじゃない。前と同じ轍は踏まないんだから……」



その時の彼女の表情はとてもではないが形容できるものではなかった。それほどまでに、その時の彼女の表情は余りにも混沌としていた。


彼女には、守る力が必要だった。彼女の主の、願いを叶えるために。なのに、あの時、彼女は守れなかった。レングメンと名乗る、存在によって。


故に、と彼女は再び顔を上げる。その顔にはもう先ほどまでの複雑な表情はない。あるのは、ただの……殺意のみ。



「気が変わった。あんたは適当に殺すつもりだったけど、あたしの全力で殺してあげる。冥土の土産にあたしの【神道】の情報を持って行きなよ。その代わり、時間はやらないよ」



瞬間、空気が変わる。重く粘ついた空気に、瀕死の何かは息を呑む。



「【神道】……神格を持つほどの強者に成長したものが、己を◼︎◼︎することでようやく手に入れられるたった一つの能力。◼︎◼︎は簡単なようで単純ではない。まぁ、単純だったら君だってできるわけだから当然だね」



瀕死の何かは動くことすらままならない。それに対して、レヴィティはその体から伸びる鎖を鋭く変える。



「あたしは七罪公レヴィティ。嫉妬を担当する星母様直轄の部下。故に、私が持ったこの能力がこんな能力っていうのも納得だね」



伸びる鎖がさらに変わり、まるでーー手のように象った。それは……まるで、届かぬ高みに手を伸ばすようで。



「あたしの【神道】、それはーー」



ーー【◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎(レヴィ)◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎(アタ)◼︎()



一瞬で伸びた鎖が何かを覆い、その身を()()()()させようとして……。



「ごめんね、ちょっとそれは看過できない」



鎖より早く現れた光が、鎖を消滅させた。


その時、空気がまたしても変わった。それまで重苦しかった空気を壊して、明るく爽やかな空気に変換させる。そして、その仕立て人は……



「レング、メンッ!!!」


「その通り、かつての僕に負けた敗北者。僕が敗残兵にして、今の【原彩 ディアフィクシャ】の大将レングメンだ。短い間だけどよろしくね」


「短い間というのは同意しよう、何せお前は今死ぬからなぁ!!」



何かに向けた時とは桁違いの鎖が何かを脇に抱えたレングメンに殺到する。が、その全てがズドドドドっと地から伸びた光の柱に消し飛ばされた。



「今は君と戯れ合う暇はないんだ、戦争ならまた今度、君たちが画策している侵攻作戦の時にね」


「貴様ぁ……!」



暗にそちらの作戦事情を知っていると告げながら、彼はいとも容易くそこから消え去った。



「……」



後に感情の限界が突破したのか、一周回って能面ようになった顔のレヴィティを置いて。



「……これは、あの新種と蛇を使うか。あれらなら、あいつを、出し抜けるかもしれない。何せあいつらは、あいつらの()()()()()()()()のだから」



何もないはずの空間には、どこか不吉な風が吹いていた。










風など、ここでは吹くはずがないのに。

( ):まぁ、気づいている方がいると思いますが、

( ):今回はめっちゃ伏線貼っておきました。後々大事になってくる情報いっぱいです。

(裏):伏線がわかりやすいな?

( ):す、すみません……

( ):それと、ひとつ言っておくと、

( ):オールは二重人格者ではありません。

( ):でも、オールとワンは別人格です。

( ):……もうお分かりですね?答え合わせは次回で。

(裏):悪い笑みしてんなぁ……

( )←悪い笑み


Tips:神格

神が神たる所以。それは言うなれば存在としての格の違い。神格を持つものは世界の行き来を可能とするようになり、またその中でもある条件を満たしたものは【神道】を得る。因みに、神格を持つ存在は何かしらの形で神格が体のどこかに現れている。


Tips:【神道】

神の中でも条件を満たしたもののみが得るそれぞれが全く異なる特性を有する能力。しかし、得る条件は決して力だけではなく、己の◼︎◼︎こそが何よりも必要とされる。正式名称は【神◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎道】。

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