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No15. 緋色はいつか暁に

( ):すまぬ……投稿遅れてすまぬ……。普通に忘れてた……。

⭐︎⭐︎⭐︎ スモールネレゾ(モフ蛇)



 それは、温かい夢だった。


 その夢の中では、私が嫌いな重いモヤはなくて、嫌なことを考える必要もなかった。いつかのように、居場所がないなんてことを思う必要はなかった。


 ずぅっとそれに縋っていたくなるような、理想の景色。



『ーーー!』



 ………、どこかで、そんなものはないと、現実を突きつけてくるわたしがいる。


 でも、また嫌な思いをしたくなくて。


 無視して。



『ーーモフ蛇!』




 だから、不意に声が届いた時にはすごく驚いた。驚いて、言っている内容を聞いて、その中身がやっぱり嫌なことを響かせ始めたから、耳をもう塞いでしまいたくなった。


 だから、心をもっと深い、感傷に浸るように沈めようとした。


 そしたら、聞こえた。



 聞けてしまった。




『立って見せろよ、生き抜いて見せろよ!!』



 ドクンと、胸がなった気がした。なんでかはわからない。見たくもない現実が出てきて、嫌になったのだろうか?……いや、多分違う。


 一見すれば、わたしを責めているように見えるかもしれないような、そんな苛烈な言葉。普段なら、絶対顔が強張るようなもの。決して、いい感情なんて湧いてこないはずなのに。


 何かを期待するような、それでいて何かをしたい、漠然とした何かの欲求が生まれたのを感じた。逃げるなって言いたいんじゃないの?責めてるだけじゃないのって、そう思うのに、なんでだろう。



『君に私の全部をベットする!!』


「………ッ!!!」



 どうして、胸が苦しくなるんだろう。


 わたしは、自分のことをよくわかっているの。貴女が貴女の大事なものを預けられるような、すごい人間じゃないの。なのに、どうして?わからないよ。そんなこと言わないでよ。わからないんだ、自分がどうすればいいか、そしてわたしが持っている黒いモヤも。



 ぐるぐる回る思考。でも、急に霧を抜けたように、スッと考えが降りてきた。


 あぁ、そっか。



 きっと、今のわたしではわからない。そうだ、わたしは多分、抱え込みすぎたんだ。お母さんに、お父さんに期待されて、周りの同級生たちに高嶺の花だなんて言われて。


 いつのまにか、全部自分でやろうなんて。


 あぁ、傲慢にも程がある。そうだ、人間ってそう言う生き物だった。


 なら、うん。決めたよ。


 教えてもらおう。もう、ここが夢の世界というのはわかっていた。わかった上で、見ないふりをしていた。……それも、きっとよかったのだろう。今だってわたしはここに残っていたいとも思っている。


 でも、わたしは知りたい。この黒くて、重いモヤは何?私が持っているこの期待めいたこれは、なんなの?


 きっと、死霊さんからはそんなの知るかって言われるかもしれない。


 でもね。もしかしたらって、わたしはそう思ってもいる。



だからさ。



 そのもしかしたらを、叶えてもらうよ。そんな思わせぶりなことを言われたらわたしだって気になるよ。


 そう、そうだ。わからないなんて言わせない。絶対教えてもらうから。それが今でなくても、もっと後になっても、教えてもらうよ。



「……えへへ」



 そうだね……まずはもう少しわたしのことを理解してもらおうかな?だって起こし方がすごく乱雑だし。わたしは朝は弱いし。まぁ今昼だろうけど。あ、わたしが意識を失ってから立った時間によってはもう夜なのかな?それなら謝らないとなぁ……。



 プールの水温に慣れた後に、外に上がるときのように、生暖かかった体の感覚がどんどん冷たくなっていく。錯覚だ、そうわかっていても心にくるものがある。あの温かい感傷が恋しくなる。


 不意に、姿がぼやけた、どこかで見た姿の少女が見えた。少女はこちらに手を伸ばしている。まるで、行かないでという風に。



「………」



 ふっと笑ってしまった、と思う。なんせ声が出たかどうかわからないから、この世界では。でも、我ながら未練がましいと思ってしまう。ここに留まっていても意味はないくせに。


 わたし、意味があるだろう方向に行ってみる。だから次来た時には、きっとそんな不安まみれの顔にはさせない。現実(あっち)で私が抱えている何かは全部解消してくるよ。そうしたらまた一緒になれるよ。でも、それまでは。


 もう少しだけ。



「……待ってて、わたし。なーの」







⭐︎⭐︎⭐︎ デコス・ゴースト(私)







 ……あぁ、これまずいわ。賭け事ってだから嫌いだ。しかも今回は賭けてるのが自分の命なのに。こういう時に限って失敗するんだから。


 動かないモフ蛇。もうすぐ私に攻撃ができる距離までくる猿。ダメか。やっぱ他力本願は無理か。


 もうこうなったらなんとか一撃目を流してそのエネルギーで距離を取るしかない。それから、足を再生して……。



 そこまで考えた時に、声が響いた。



「『共鳴』!」


「---!!」



 ……そうか、賭けには勝ったのか……!


 視線の先には上体を起こしたモフ蛇の姿。愛くるしかったもふもふはボロボロで、下半身は動かすのも難しそうだ。それでも、どういう原理か知らんが、猩々の動きが、止まった。しかも、半端に私との距離が近い形で。


 口角が釣り上がる。


 いい、非常に良いっ!モフ蛇はベストに近い形で私が望んだ役目を果たしてくれた。ここからは、私の仕事!!ふっ、ふふ!!



「ピンチは勝利への最大の活路が現れる瞬間。目の前の勝利をお預けされた気分はどうかなァ?」


「ーーっ!」



 これは、私はあとで知ることなんだけど、狂戦士は保持者のタフネスに大幅な補正を与える。要は保持者に長期戦の適性を与えるってことね。


 そんな相手には、それ以上のタフネスで上回るか、一撃で即死させるか。実は、私は最初は持久戦で倒そうと思ってたんだけど、それは猩々のタフネスさを舐めていた。


 だから、一撃で仕留める。


 肉体変成を最大速度で行使。使用する部位は、最初に吹き飛ばされた時、喰われていた私の右腕。


 さて、ここで問題。喰われた私の腕はどこにあるでしょうか?ヒントは私の肉体変成の効果が届く範囲。



「じゃあね。猩々。文字通り骨髄に私の殺意を染み込ませてから殺してやる」


「!?」




 何か勘付いたらしい。顔を急激に焦りで染め上げた猩々は急いでこちらに駆け寄ろうとする。だが、どうやら先程の『共鳴』とやらがまだ響いているようだ。足がほぼ動かせていない。


 だからこそ、こちらも安全に()()できる。



「っ!!っ!?」



 猩々の腹あたりが輝き出す。決して吉兆ではない。それは、貴方を死へと誘う光。確定演出だよ、やったねぇ!?


 ニトログリセンという物質がある。まぁそこそこ有名なやつだ。そんな私が今ちょうど君の腹の中で変成させたニトログリセンは少しの加熱で爆発する。その元となった材料は、君が食べた私の腕。



「あっは」



 さぁ、動いたな?後は、体内でちょっと加熱されたニトログリセンがちゅどーん、である。


 どかーん?違うね。



 ちゅどーん⭐︎さ。



「ガァっ、アァアアアアァアアア!!!」



 猩々が死に物狂いでこちらに手を伸ばしてくる。


 そんな猩々に、サムズダウン。もちろんプラスでいい笑顔。なんか先頭の疲労のせいかニヤッとした感じの不敵な笑みになっちゃったけど、まぁよしか。



「くたばれ天才狂戦士。別世界まで他界できるといいね、まぁ十中八九冥界だろうけど」



 猩々が動いたことで、体温が少し上がる。それだけでもニトログリセンは爆破の条件を整える。



 轟音が響いた。




『条件を満たしました。種族レベルが13へ上昇しました。』

『技能『旋風旗』を獲得しました。』

『技能『死霊』レベルが2へ上昇しました。』

『条件を満たしました。特典『分析』レベルが1から2へ上昇しました。』



『条件を満たしました。称号【刀士】を獲得しました。』

『称号【銃士】を獲得しました。』

Tips:『共鳴』

恐らく『箱庭』に存在する計画参加者の中でも最も凶悪な特典。勿論基準によって何が凶悪になってくるかは異なるが、条件を満たせば今回の緋血狂猩のように大きな隙を作り出すことも可能。更にこれが進化するともっとエグい効果が……。

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