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No.10ミニチュアガーデン

いや、ちゃうねん。もしかしたら薬莢はもっとあるかもって心配しただけねん。ほら、銃弾無くしたら大変やろ?体が小さくなったままになってしまうわけやし……などとエセ関西弁で弁明する。



私はいったい誰に向かって言っているんだ……。いやね、正直もしかしたら薬莢はもっとあって私は180センチ越えに……なんて考えてたりはしませんよ?



おほほほほ……私は薬莢集めが趣味になった。よくよく考えてそんな高身長の女性は珍しいでしょ。奇異の目で私は見られたくないです。



では、と気を取り直して探索を再開する。



木々のカラフルさに目を覆い、なんかカー⚪︎ィに出てきそうなコミカルな植物(キノコ)に目を覆い、ーーちなみにちょっと踊ってたーーどこかの動物が集まってそうな森で出てくるハニワが目の前をシュンッっと横切って飛んで行って、掛けられた砂に目を覆ったりしてたら、日が暮れた。



そして、そろそろ洞窟に帰るかと考えた時、ついにそれは現れた。



澄み渡る水。周りにはヤシの木みたいなのが生えている。そう、そこには美しい正真正銘の湖があった。えぇ、とても美しい澄んだ水ですよ。場所が場所なだけにいい景色もあるし最高です。強いて欠点を挙げるなら……。



バカ高い高台の上にこれがあることですね、えぇ。



うん、強いて言うまでもなく普通に欠点です。ゼルダ⚪︎伝説のブレワイに出てくる始まりの大地じゃないんだからさ……おかしいって、こんな高いところによりにもよって湖があるのさ?いや登りますよ?登りますけどさぁ……。



私は登った。愚痴を吐きながら登った。さぞ上から見た景色はいいんだろうと。実際いいんでしょうねとは想像していた。



で、登ったら、泣いた。



高台と言ったな?先ほどの愚痴、撤回しよう。ここは、素晴らしい。何がすごいって、景色だよ。え?さっきは皮肉ってた?何をバカなことを。こんな景色、バカにする奴なんているわけないでしょう。いたらただのアホですよ。それか美的感覚が終わってる奴。



え?ブーメラン?心当たりがないですねェ???



「いや、ほんといい景色だねぇ……現代社会じゃお目にかかれないよ」



そういえばリン⚪︎もここの高い場所からハイ⚪︎ルを見渡してたんだっけ。うん?つまり、私は勇者??



「……さて、今大事なのは景色だからね。妄言を吐いてる暇なんてないよね、うん」



高台の上から見る景色には全てが映っていた。この神々の箱庭とも言える場所の、全貌がそこにはあった。



すぐ下にはきっもち悪い森林が見える。まぁご存じ私の生まれ故郷(笑)である。後トラウマの発祥地。



森林の先にはなんか灰色の平原があった。線で区切ったかのようにそこから先は石灰色で埋まっている。



よく見れば砂もあるようで、時々なんか石と砂が爆発して馬鹿でかいワームみたいなのが出ているが無視しよう。私は自分が見たいものだけを見る女……!



そして、森林の右側には、火山があった。デ⚪︎マウンテンですか?デスマ⚪︎ンテンですね。



因みに、その火山からは、一見普通に見えるが普通でないものがある。鳥だ。ここから見ても十分わかるほどの、巨大な鳥。いや、あれはもう鳥でいいのだろうか?その鳥は……








焼き鳥だった。



いや、冗談じゃないの。ほんと!ある意味ほんとだから!……そう、何を隠そうその鳥は、全身燃え上がっていた。まさにフェニックスである。なんか火山の周りを飛びまくっている。



いや、怖すぎでしょ。あんなん近寄りたくないわ。でもなー、あれどう考えても条件の一体なのよねー。ぐぬぬ、冥王め。何が場所は教えないだ。ぜぇーったい見つかるような場所に置きやがって。



なんなのあいつ、もしかして条件の中では一番むずいからわかりやすくしたのだろうか?違う?違うかなぁ……。



ま、それはいいや。そして、火山の向こう。これまた見事に線を引かれたように全く別環境がある。



海だ。遠目には、その海にある諸島も見える。……ん?今あの島動かなかったか?……怪しいな。もしかしたら条件の一体かもしれない。こんなわかりやすく置くかとも思うし、一応動く島が条件だった場合を考えて軽く対策しておくか。特に何も思いつかないけど。



いやー。それにしても、これやばいな。ほんとに箱庭じゃん。こんな環境変わることないでしょう……。私は呆れてもいたが、同じくらい感じるものがあった。



「……ふふ。なんだこれ、いいなぁ」



別に私は旅行とかが好きなわけではないが、だからって感性が死んでるわけじゃない。普通にグランドキャニオンとか東京スカイツリーとか登って景色を見たらすごいなー、と陳腐だろうと確かに感動するのだ。



そう、私はただのインキャではないのだ。あ、インキャじゃない。インキャじゃないんです、ほんとです!



「……んんっ。さて、まぁ湖見つけたらやることなんて一つだよね。こんな環境にいるんだし、これは必須でしょう」



箱庭の景色も一望したことだし、湖に入ることにした。そう、何を隠そうこの私、お風呂は結構好きなのだ。たとえそれが水風呂でも入りたいものは入りたいのである。



というわけで、ざっぷーん。なお、音は想像です。後服はつけたままです。エッチなシーン期待した方達。残念でしたね。私のないすばでぃは見せないよ。ん?絶壁?なんて言った君今?お姉さん今水で濡れてるから手が滑るかもしれなくてね。変なこと言うとバーンですよ??



ああそうそう。ざっぷーんなんて言ったけど、実際はゆっくり入ったからね。私は淑女だから。ん?そこは豪快に行け?いやだなぁ、そんなん敵が寄ってくるじゃん。私が何も考えていなかったとでも?



「ふふふ。こう言う頭のいい考えができるから、この時間もゆっくり取れると言うものだよ、ふっはっは。近頃の考えが足りてない奴らはこれだかーー」



そんなことを言ってたらなんか、普通に湖の中から変な手みたいなのが出てきた。



「……うん、まぁ何事にも穴はある。完璧なものなんて所詮はあり得ないんだよ、うん」



真顔の私の前に現れた手は、バケツを持っている。この時点で勘のいいガキ諸君ならわかるだろう。そいつらはバケツに水を汲んでこちらへかけてきた。因みになぜか、かけられる水は湖のそれより10℃ほど低い。



「!?」



私はキョドッた。急に水かけなどと言うカップルがしそうなイベントが発生したからだ、リア充は撲滅すると言う硬い意志を持っている私でも、そう言うことをする側になるのは想像していない。だから咄嗟に硬直してしまったのだが。



バケツおてて共は止まらない。殴る代わりに水をかけてくる。多分これ0℃くらいの水はあるだろう。地味にいやな嫌がらせだ。普通に一定の体温が必要な動物だったら危ないところだったよ。私じゃなかったらいやどころじゃない。



しかし、私からすれば嫌がらせでしかない。だって体温なんてないんだもの。周囲の環境がと同じ温度です私は。順調に鉛玉で沈没させた。最後の一体がバケツを取り落とす。そのまま沈んでいくかと思いきや、



『(グッ)』



こっちに向かってとてもいい形のサムズアップした。



「………」



どこからか『あいるびーばっく』などと聞こえてくる。



私はその最後の力に慈愛の笑みを浮かべ3弾サービスした。しかしなぜかサムズアップおてては先程より固い。全く動じずゆっくりとそのまま沈んでいった。






⬜︎






私は今濡れた体を乾かしている。ついでになんとなく敗北に塗れさせたサムズアップおててを想ってサムズダウンを連打している。私の顔?勿論真顔である。これには遠くにいた隠れているつもりだろうもふもふ蛇も青ざめた。ピーンとどうやってか直立している。



「……何見てんのよ」



私が気づいているとは思わなかったんでしょうね。直立した蛇の口が半開きである。驚愕しているのだろう顔でこちらを見た。そして、顔をこちらに向けたのでバランスが崩れて……なぜか奥側に落ちていった。



「……えぇ?」



いや、普通顔をこっちに向けたなら重心は手前側に来ると思うんだが。なんで奥側?なんとなく気になったので向かってみることにした。湖を見て少しテンションが上がっているのだろうか。普段なら選ばないような危険性がある選択をしてしまった。だが、それを自覚していても見たいのだから仕方ない。



茂みをかき分けて、落ちたであろう場所にはもう何もなかった。まぁ、なんとなく予想はしてたし、こういう可能性が大いにあるからこっちにきたっていうのもあるんだけど。そう思って、踵を返そうとした、その時。



「……む」



動かない。目だけで確認する。やはりだ。さっきの蛇、まだいる。無意識に息を潜める。ちらっと見た先。すぐ逃げれるよう木の影に隠れながらもチラッチラッとこちらを確認する蛇はなんとも可愛らしい姿をしていた。全身を覆う灰色のもふもふ毛皮。この時点で普通の蛇ではないだろう。そして、ヘビにしては随分と平べったい。簡単にいうなら……毛皮マフラーが近いだろう。



「……」



慎重にタイミングを見計らう。一瞬で首根っこを掴めるように。なぜそんな危険なことをするのか?噛まれるかも、いや十中八九噛まれるだろう。私もそう思う。だが、だがなのだ。私は、私はっ……!



モフ蛇が一瞬瞬膜で目を閉じた。瞬間に飛ぶように動き、のけぞったモフ蛇の首根っこをガシッと掴む。感情など見えないはずのモフ蛇に確かに恐怖の感情が宿る。だが私はそれどころではないのだ。



「モッフモフだぁーっはっはっははぁっ!」



おっと、声に漏れてしまった。モフ蛇がビクついたように身を震わせる。その瞳には明らかに驚愕の感情と、やはりという確信の感情が宿っていた。だが、そんなことより。



そう、勘のいいガキ諸君ならもうわかるだろう。私はもふもふ……ひいてはぬいぐるみが……大好きである。



そう、この私は家に籠り、ぬいぐるみでもふもふしながらスイーツを食べ、ゲームをかちゃかちゃするのを至上とする人種なのだ。え?そんなのお前しかいない?この幸せがわからないとは、ふっ、人生損してるね。



とにかく、今私は長年(体感数日しか経ってない)求めたものを手に入れておるのだっ!



そんなはっはっはと声をあげる私(ボリューム低め)に蛇くんは覚悟を決めた瞳を向けて、



『……話を聞いてくれませんか、なーの?多分、同郷の……方』



震えるような、頭に響く声。それとは裏腹に目には固い意志が光っていた。



……まぁ、だろうね。妙に人間らしい蛇だと思ったよ。いちいちオーバーリアクションだってのに。それに、これは……多分念話とかそんな感じの魔法だろうね。私は魔力ないのに、ぐぬぬ。ホント、ファンタジーだなぁ……でも、だ。私は心に刻むように強く意識して考える。蛇が身を強張らせた。



そう、話を聞けと言ったんだ。何かしらの対価をもらうべきだよなぁ……?私の口角が上がる。モフ蛇の口が引き攣る。



『で、できる限りなんでもしますーの……』



ほう!そうかそうか!では、だ。要望を伝えよう。

ゴクリ……と唾を飲む音が聞こえる。





「今日添い寝して?」






とりあえずその時の蛇の顔は撮影したいほどだったと言っておく。

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