謎のジャム──!?
ドライブや旅行の楽しみのひとつが、道の駅やサービスエリアに寄ることですね。
ご当地の『〇〇牛コロッケ』や練り物の串などで小腹を満たすのもいいし、おみやげコーナーで地域色豊かな食品を探すのも楽しいものです。
我が家が特に積極的に探すのは、いわゆる『ご飯の供』系のものやジャム、ドレッシングなどです。近所のスーパーにないようなものを見つけると、つい買ってしまいたくなるんですよね。それぞれ1~2個くらいに抑えるようにはしてますが。
──最近、和歌山県の紀ノ川沿いを走る機会がありました。
和歌山というと、『梅とミカンのイメージしかない』という方も少なくないようですが、実はかなり多くの種類を作っている、国内でも有数のフルーツ王国なんです!
『バナナとパイナップル以外は何でも採れる!』と息巻く自治体もあるくらいで、道沿いにも直売所がたくさん見られるのです。
(つい最近、バナナ栽培に成功された方もいらっしゃるとか……)
今回寄ってみた道の駅でも、やはりかなり豊富な種類のジャムがずらりと並んでいました。
『ビワ』『ユズ』『イチジク』や、もっと珍しいところでは『ジャバラ(柑橘類)』や『マクワウリ』のジャムなんかもあります。
そして、そんな中に更に珍しい──というより、どんな種類の果物なのか全くわからない謎のジャムがあったのです。
それは──『ウチムラサキ』
うーん、どこかで聞いたような気もするんだけど、何だったかなー。
そんな時はすぐに検索です。嫁とほぼ同時にスマホを取り出して検索を始め──そして、ほぼ同時に変な声が出てしまいました。
「うぇっ──!?」
スマホ画面に表示されたのは、果物の情報などではありません。
なぜか、手のひらサイズのアサリに似た大きな貝の画像が次々と──!!?!?
──ええっと。
確か、ジャムの原料を調べていたはずダヨネ?
自分ハ今、イッタイ何ヲ見セラレテイルンデショウカ……???
完全に予想外の出来事に、思考がフリーズしそうになります。
『──────い、いや、そんな馬鹿な!?』
我に返って画面を必死でスクロールしてみても、ひたすらウチムラサキ貝の画像とリンクが延々と表示されるばかりです。
『ま、まさかこれって──貝から作られたジャムなのか!? そんなものが世の中に存在するのか!?』
そんな、信じたくないような考えが頭をよぎり始めた時、ふと画面の片隅に検索候補として『ウチムラサキ 柑橘』というリンクが──!
慌ててタップしてみたところ、ようやく正解に辿り着くことができました。
ウチムラサキはザボン・文旦の一種のようです。
『文旦の別名』という書き方をしているサイトもあり、『文旦の原種』だというサイトもあり、詳しくはよくわかりません。Wikipediaで検索しても、貝の方しか出て来ないんですよね。
果肉や、果肉回りの白い綿状の部分が赤味がかっていることから、その名が付けられたようなんですが──何とも紛らわしいことで。
柑橘類の『ウチムラサキ』は出荷用に栽培されることが少なく、一方『ウチムラサキ貝』は外来種なのですが、意外に美味しいということで近頃ちょっとした人気なのだそうです。それで貝に関するサイトばかりが優先的に検索に引っかかったんでしょうかね。
──まあ、冷静に考えれば果物だとわかりそうなものですが、あまりに予想外な貝の画像のインパクトにパニクってしまったというオチでした。
ちなみに、ウチムラサキのジャムを実際に食べてみた感想は、というと──。
いかにも『道の駅で売られている手作りジャム』らしく果肉たっぷりで、市販のマーマレードより甘さ控えめ、爽やかな酸味が鮮烈で──実に美味でした!
自分も嫁も大いに気に入ったので、機会があればまた買いたいと思っています。
皆さまも機会がありましたら、ぜひ!