1/11
第一話「病魔はゆっくりと確実に...」
「発作性上室性頻拍症」 この病名を聞いて、すぐにわかる人は私の周りではほとんどいない
病気との戦いが始まっていたのが 高校生になって、夏の甲子園で世間が盛り上がっていたころ
地元のチームが、順調に勝ち進むのをなんとなく観ながら、仕事に行く時間が迫っていた
「今日も暑いなぁ、仕事に行きたくねぇな~」
ぶつくさ文句を言いながらも 汽車に乗って 職場に向かう
いつもどうりの、平凡な一日
私の知らないところで、病魔はゆっくりと確実に近づいているのを知るのは
もう少し後になってからだった...