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浦川 日歌里ノウラジュウニシ【side:U】

蝋燭と鉛筆

作者: 歌川 詩季

 短くなった鉛筆、可愛い♡

 その身を溶かして 暗闇 照らす

 おまえの献身を(たた)えてなどやれないぜ

 (とも)した熱が失われれば

 てのひらはつぎの炎を求めるだろう

 ひとつまえのぬくもりをも

 いつまでもおぼえているものなど だれひとりいるまい


 永遠を求める愚かさと

 永遠を求めない哀しさとの

 どちらかを選ばされたのが いまのおまえなら

 燃焼はまるで エンディング・テロップ

 その身を溶かして 暗闇 照らしていた蝋燭(ろうそく)

 おれはやっぱり

 おまえの献身を(たた)えてなどやれないぜ



 その身を削って 白紙を埋める

 おまえの砕身を(あわ)れんでなとやらないぜ

 残した書さえ失われても

 賢人のその知恵のなか息づくだろう

 ひとつまえの(いしずえ)こそ

 いつだって踏み石でありながら 試金石でもある


 永遠を語らぬ深謀と

 永遠を語らう浅はかとの

 どちらかで選びとったのが いまのおまえなら

 軌跡はつまり ダイイング・メッセージ

 その身を削って 白紙を埋めていた鉛筆よ

 おれはやっぱり

 おまえの砕身を(あわ)れんでなどやらないぜ

 キャップをつかって、長く使います。


挿絵(By みてみん)


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【同一課題作品】
和蝋燭
作者:日浦海里先生
― 新着の感想 ―
[良い点]  讃えてなどやれない、憐れんでなどやらない。  とは云いながらも、反対の意味のように取れました。    身を捧げ、削ったものへの慈しみを感じます。    >軌跡はつまり ダイイング・メッ…
[良い点]  蝋燭は身を捧げ、鉛筆は身を砕き。  末路もまた、捧げ失い、砕け残る。 [一言]  下の子の筆箱、キャップに三つ四つ入りそうなくらいの鉛筆が(ここまでくると何本、ではなく)いくつも入ってい…
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