霊脈と川とニオイ
「河ってどんな感じになるの?」
コーに話しかける。そりゃ、気になるでしょ。
「細かい指示は出しておらぬ。全てはあの者の裁量だ」
リールは気になって山を登ることにした。
しかし、この山。険しい。もともと自然にできたのではないのもあって、登山だったら、難所と言われる箇所がかなりある。滑落したら死ぬだろうな。そんな考えが脳裏をよぎる。幸い、何事もなく山頂に到着した。
「だ、大丈夫?」
よく見たら彼女は倒れていた。慌てて抱きかかえた。身体が小さい彼では頭は重く感じたため、上着を丸め、頭の下に敷いた。
「はい、一気に加工したら、フラっときてしまって……今休憩している所です」
いや、これは倒れたって言うんだよ。
だが、見下ろせば山の麓まで溝ができている。山頂からの河だ。ちゃんと流量も考えてか、急流にならないように考えて溝が作られている。
「よし、気分も良くなったし、一気に行きますよ!」
彼女は起き上がり、地面に触れる。すると、魔法陣が描かれ、地響きがする。地面がズゾゾゾゾと音を立てて削られていく。この光景、ゲームで見た。
「よし、完成……」
彼女はそれを最後に気を失ってしまった。どうしようか悩んでいると、ケニア村長が後ろに立っていた。
「村長?丁度いいや、出番ですよ」
だが、村長の顔色は優れなかった。
「その…一滴でも水があれば魔力で増幅できるのですが……何もないところから水源を作れないんですよ」
この山を桶を持って登るのは不可能に近い。どうするか、少し考えリールは村長の下腹部を指差した。
「水ならそこに入ってませんか?」
しばらく考え、ケニアは意を決してスカートを捲りあげ、パンツを下ろし、放尿を開始した。
そして、事が終わると村長は魔法を展開する。魔法陣を描き、詠唱を唱える。あれ?地面削る時は詠唱なんてしてなかったような……術式が違うのかな
「命を司る水の精霊よ、我が問いかけに答えよ。彼の地に水の恵みを与え失われた地に今一度恵み与え給え!」
そして詠唱が終わった。すると、まるで間欠泉の如く水が吹き出て、溝に水が満たされていく。
「ほっほ、もともと楔が打ち込んであったのだ。魔力をかけてやれば、こんな物であろ。ほれ、帰るぞ」
いつの間にか現れていたコーに言われ、村に戻った。村に戻ると、森へ行くための橋も完成しており、言われたことは全てやった。
「しかし、小便で作るとは考えたの。わらわの想定以上の効果がでておる」
え?何も分からないんだけど。
「失われ、魔力が枯渇するのを待つばかりだったこの地に、魔力循環の要ができた。これはただの水ではなしえなかったであろう。素晴らしいできだ」
そしてコーは村長の肩を叩き、
「そなたの功績で、この村を焼け野原にできぬのは残念だ。せめてその腐った匂いをこの河で洗い流せ」
そう言ってコーはケニアを河に突き落とした。
「な、なにこれ……冷たくて気持ち良いのに……温かい」
「それが魔力の素だ。そなた達が忘れて久しいであろ?今後はこの河を大切にするのだぞ」
これを友人に先行して見せたところ、日本神話で見たって言われました。まじかよ日本神話やべぇな




