目標達成、爆弾は無事処理されました
「で、どうしてわたくしを助けんですの!?」
「は?助けるなって方が無理じゃね?」
ウェラの台詞に片眉を上げるイクィノックス。
「あのままアジトまで運んでもらおうと思いましたのに」
あぁ、それで八つ当たりで周りの森ごと焼いたのか。
「は?お前、爆弾騒ぎ忘れたんか?」
「奴らのアジトは街のどこか、までは判ってますの。はぁ、まぁいいですわ、行きましょう」
夜明け前だったが、もう襲われることもあるまい。そう判断し、荷物をまとめ、移動を開始した。
道中は不思議なほど無言であった。まぁ、機嫌を損ねたウェラ面倒だもんな。
「ウェラ、機嫌悪いね」
「面白くない事が続きましたから。あと、最後に飲んだ薬も不味くてたまりませんでしたし」
「良薬口に苦しってな。で、これからどうすんだ?」
「まずは門兵の説得かしらね」
ウェラが声をかけると兵士は槍を向けたが、その同僚が慌てて止めた。
「待て!こいつらの指名手配は撤回されている。こいつらの罪はもうないんだ」
「……こ、こいつが…俺のっっ友達をっ!」
どうやら個人的な恨みがあるらしい。
「おバカさぁ~ん。本当に死んでほしくないなら、なぜ兵隊を辞めさせなかったのかしら?兵士である以上、生きる死ぬは紙一重。それが理解できないわけではないでしょう?」
ウェラってこういう時絶対煽るよな。いいけどさ、いいけどさ!
「き、貴様っ」
「おい、やめろって」
同僚がおだてるも、ウェラの小馬鹿にした態度と、何よりその表情は相手の逆鱗を逆なでしていた。
「おい、何事だ!!」
「あら、ごめんあそばせ。この方が言いがかりを」
ウェラが言うと、その同僚も
「すみません、こいつ錯乱していて……」
と、言わざるをえなかったようである。
結局、彼は引きづられるように宿舎に戻され、リール達は街へ入ることができた。
「ウェルウィッチア、検索魔法を」
ウェラに言われ、ウェルウィッチアは指先を舐めるとクルクルと指先を回す。
その指先から放たれた光は一直線に裏路地へ向かっていく。
「大当たり、ですわ」
ウェラが駆けていくと、そこには木箱が一つ。イクィノックスはその武器で木箱を破壊すると、中から目当ての物が出てきた。
「これでよしっと。無力化はしましたわ。ただ……この箱…」
箱には伝票が貼られている。住所も置き場所も、おそらくここで合っている。荷主は誰だろうか。
「では、ボクが聞いてきますね。天使様はここでは目立ちすぎますから」
「じゃあ俺は宿に行くわ。もう目先の脅威は去ったしな」
「ではわたくし達は珈琲でも嗜みに行きますわ。よろしく」
達?リールは一瞬引っかかるが、どうやらコーと一緒に行くらしい。リールはウェルウィッチアと同行する事となった。
「すみません、ボクたちここに来て浅いのだけど、この伝票を使う運送会社はどちらになりますか?」
「ん?あぁ、この伝票ならそこの通りの先にあるよ。同じロゴがあるからすぐにわかるはずだ」
「ありがとうございます」
「あの、こちらの伝票の荷主を教えていただきたいのですが」
事務所に入り、伝票を見せると、受付のお姉さんは首を傾げる。
「これ、本当にウチのかしら」
え?どういうこと?
「リーダー、ちょっとお願いします!」
「おや、何だいこれは……お嬢ちゃん、これはどこから?」
そう言えば出どころを言うのはどうなんだろうか、とは思うが
「あ、これ、そこの路地裏で見つけたんです。木箱が砕かれていたので不思議に思って……何か合ったのですか?」
「こいつぁ……まぁ、お嬢ちゃんにわかりやすく言うと、この伝票は偽物だ。ソックリに作ってあるがな。ほれ、これが本物。パっと見ると同じだが、細かい部分はまるで違う」
見比べるとフォーマットすら異なるその伝票は、見る人が見れば一瞬で分かるほどの出来であった。
「中に何があったか分かるかい?」
「えーと、銀色をした筒のような物があっただけです」
「触ってないね?」
「はい」
その後、警察ではなく、軍隊がその周辺を閉鎖したので、ウェルウィッチアはウェラと合流するためにコーヒーハウスへ向かった。
「お勤めご苦労さまですわ。こちらも、ある程度の情報が入手できましたわ」
「どうも、アナーキーの手に見せかけた帝国側の……ではなく、アナーキーが帝国に悪知恵をしていたようだの。奴らは、連邦を消し去りたいらしい。わらわとて、この連邦が地図から消えるのは困る」
「とはいえ、ボク達ができることって……ないですよね?」
「まあ……そうですわね……とりあえず、宿でも取りに行きましょうか」
「すみません、2部屋しかご用意できないのです…」
宿で言われた衝撃の事実。4人だから、2人で1部屋かな
「2人で1部屋はできます?」
「ええ、それはできますが…よろしいのですか?」
「構いませんわ」
「では、鍵はこちらとこちらになります。ごゆっくり」
「あ、そうだ。コー、貴方は一人で寝なさい。わたくし達は3人で寝ますわ」
「は?」
思わず声が出てしまった。だが、コーははじめから判っていたように鍵を受け取り部屋へと消えていった。
「あの、天使様……?」
「ほら、廊下でぼさっとしていては他の方達の邪魔になりますわ」
どうしてこうなった?
「リールを真ん中にして正解ですわ」
「それはそうですけど……何これおかしくないですか?」
真ん中のリールを左右から抱きつく形で1つのベッドで横になる。小柄な3人だからできる事なのだが、真ん中のリールは流石に困り顔。なぜなら3人は裸だから。
「なんか…おかしくないですか?」
ウェルウィッチアが再度同じことを言う。
「ウェルウィッチアはもう大人なのだから、リールを抱きしめるだけでしたら普通ですわ」
移動を繰り返していたのでパジャマが使えなかったのは仕方ない。身体を密着されると困る。ああ、とっても困る
まぁ、いいや……明日になれば…だいたい整理できるでしょ




